火の国編21話
カグツチは黙り込み考える。
そして口を開く。
「信用できない。だから色々と質問したい。」
「えぇ。どうぞ。心ゆくまで」
「イザナギの目的は」
「あなたへの復讐とか何とか。何でも大切な奥様が貴方に殺されてしまったんですって」
「!?………俺が人を?いつどうやって………?最愛の人を奪ったからあの怒りようだったのか。」
「まぁ物心付いてなかったんでしょうし、あなたに罪はありませんよ。」
「………」
カグツチは俯く。
「あれ。1問だけでいいですか?」
「………質問を続けます」
「イザナギは今何を?」
「復讐を完了したことに一旦満足してるんじゃないですかね?道場で鍛錬でもされてるかと。他にはありますか?」
「スサノオ様は敵ですか?味方ですか?」
「どうでしょ?ただここにあなたを連れてきたということは信用ならないと思いますよ」
「じゃあ何故ここになぜ姫を連れてこなかったんですか?」
「自分の判断ミスですね。すみません。」
「あなたが火の国側の人間でない証明は?」
「証明は難しいですね。契機付けに誰か殺せば信用されます?」
「………」
「貴方くらいしか知り得ないラグナロクの情報を持ってたんでそれでは駄目です?駄目であれば誰かの首をとってきますよ」
「いえ………結構です。」
「何故あなたは一人で火の魔剣を取ろうとしない?」
「火の魔剣の使い手が奴ですからね。流石に叶わないので」
「じゃあ作戦は?あいつには敵わなそうです」
「敵わなくても良いんです。奴はあなたに何度も何度も復讐することを狙ってる。復讐って1回じゃスッキリしませんしね。そのために何でも傷を治せる自分を側に置いてるんです。」
「!!!」
「だから満足するまであなたを殺してもらって、満足したらきっとあいつは切腹すると思うんで、そこで火の魔剣を奪う。これが作戦です。あなたにすごい負荷は掛かりますがね」
「待って。なんで腹を切ると」
「あいつ。奥さん狂いですから。死ねば奥さんに会えるじゃないですか。だから死ぬと思うんですよね」
「………」
「おっと。他にはありますか?」
「何故私を仲間にしようと?」
「あぁ。魔剣は王族にしか使えないんですよ」
「!!!」
「言い伝えですけどね。だからあなたが必要なんです」
「ちょっと待ってください。じゃあ氷の魔女は」
「あぁ。あの人王家の血を引いてるって言ってましたよ」
「は?」
「いやー。ロスカ姫の生き別れの姉妹とか?」
「そんな訳ない!!!」
「うーん。でも氷の魔剣使いこなしてますからね。」
「………」
「まぁ隠し子とかそんなオチじゃないですかね?質問は以上ですか?じゃあどうします?今の作戦はあなたへの負担が以上に大きいです。だからこの作戦が嫌なら、別作戦も考えますが」
カグツチは風の国にて出会ったパズズ達3人を思い出す。
「やはり信用なりません。最近もラグナロクのメンバーに騙されました」
「あら。騙されるくらい深い関係だったので?」
「違います。ともかく信用なりません。」
「大丈夫ですよ。私は戦闘能力は高くありませんから」
「………え?」
「だって魔法は人の傷を直す魔法。攻撃で使える魔法じゃないですよ」
「………あなたたちの、ラグナロクの目的は?」
「はい。この世界をぶっ壊すことですかね。」
「!!!」
「魔剣の力でこの世界を終わらせて、新しく作り変えるんです。そのために魔剣を集めてます。」
「そんなこと出来るわけ」
「我々の仲間にはフェンリルクラスの魔法使いがゴロゴロいます。フェンリルの手で一国がほぼ壊滅状態になってる訳ですし。それに加えて魔剣もあったら容易にいけちゃいますよ。あなたがたも含めてね」
「………」
「もし仲間になればあなたもあなたの大切な姫様も天寿を全うできますよ。仲間にならなければどこかでのたれ死んじゃいますけど」
「………」
「どうします?仲間になるか。ならないか」
カグツチは考える。
「今あなたこの国に優秀な味方が一人もいないじゃないですか。だから信用出来なくても協力することをお勧めしますよ。一人で出来ることなんて限りがありますから」
(………信用出来ない。全くもって信用出来ない。………でも。こいつの言うとおりここに戦える味方がいないのも事実。でもラグナロクのやつと手を組むなんて………)
「まぁゆっくり悩んでください。きっとイザナギ様もロスカ姫を襲ったりはしませんでしょうし」
イザナギと姫と言うワードを聞き、カグツチはイザナギとの一件を思い出す。
イザナギはこう話していた。
「だからお前の大切な人も奪う。お前の前でな」
「お前の姫君を君の前で殺す」
その言葉を思い出しカグツチの表情は歪んでいく。
「駄目だ!!!」
急な大声にオオカは耳を塞ぐ。
「急にどうしました」
「奴は姫を狙ってる。俺の前でに目を殺そうとしてる。だから満足するまで待ってたら姫が殺される!」
「あぁ。死んでなければ私が再生させますよ」
「駄目に決まってるだろ!!!」
ものすごい剣幕で怒るカグツチに、オオカは少し狼狽える。
「姫を少しでも傷つけるのは俺が許さない!絶対に!早く守らないと。早く行かないと。早く」
カグツチは外は出ていこうとする。
「あー。ちょっと待ってください。」
構わずカグツチは外へ出ようとする。
それを肩を掴んで止めるオオカ。
カグツチは止めた瞬間すごい剣幕で掴みかかろうとするが、それをオオカは手首を掴んで止める。
「邪魔するなよ!!!」
「落ち着いてください。スサノオ様は信用ならないです。ロスカ姫は今スサノオ様の手中です。イザナギ様がロスカ姫を狙ってるのなら、奪おうとしたら戦闘は避けられないのではないですかね?それに」
カグツチはガクッと膝をつく。
何が起きたか分からないような表情をする。
「再生って体力いるんですよ。まだ体力が万全に戻ったわけでもありませんし。その状態では難しいんじゃないんですかね?」
「………」
パンとオオカが手を叩く。
「なのでここは私に任せてはいただけませんか?」
「?」
「幸い私は外向けにはイザナギ国王の側近ですので、私がロスカ姫を護衛すると言えばここに連れてこれると思うんです。」
「………」
「まぁ果報は寝て待てってやつです。ここで休んでてください。ロスカ姫保護しますから。そしたらまた考えましょう。」
「………」
カグツチはギリっと唇を噛む。
そして苦虫を噛むような表情で口を開く。
「……………分かり………ました」
「よし。じゃあ早速連れて来ますから、待っててくださいね」
そう言ってオオカは歩き出す。
「多分イザナギ様にカグツチが自由に動いてるとしれたら、ヤバい状況になっちゃうんで。大人しくしててくださいね。絶対連れて来ますから。眠って体力回復させてください」
そう言って部屋の外へと向かっていく。。
ガラガラという音とともにオオカは外へ出ていく。
その後ガチャンと何か音が聞こえる。
オオカが出たあと、カグツチはすぐ音の方角を見る。
立ち上がろうとするも、体が言うことを聞かず立ち上がれない。
「………クソ」
カグツチは居間に座り込む。
そしてロスカのこと、氷の魔女のこと、イザナギのことを思い浮かべる。
そして拳を握りしめ、力を振り絞り、強く地面を殴る。
鈍い音が周囲に反響する。
「俺は無力だ」
そう言って下を向いた。




