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火の国編11話

煙が晴れていく。

煙の中からは急に煙が解け、動揺する火の国の兵士たちがいた。

一同は石像になったイズモを見て驚く。


その近くには両腕にクローをつけたバジリスクが立っていた。

対面するのは目の瞑ったスサノオ。

その姿を見て不敵に笑うバジリスク。


舌で唇の周りを舐めずりした後に、不適な笑みを浮かべたままバジリスクはスサノオ目掛けて走り出す。

あっという間に2人の距離は縮まり、バジリスクは手につけたクローで交互に連続攻撃を繰り出す。


スサノオは目を瞑ったままそれを躱し続ける。

バジリスクは不適な笑みを浮かべたまま攻撃を続ける。

しかしそれは当たらない。

バジリスクは不適な笑みを浮かべたままだが、汗が増え、滴り落ちていく。


「読めた」


「は?」


理解する間にバジリスクの眼前に剣が迫る。

それを身体をそらしてかろうじて躱す。

しかし鼻に剣が掠り、軽く血が流れる。


唇まで滴り落ちた血を舌で舐め取り、前を見るがそこにはスサノオはいない。

直後バジリスクは後ろから斬り捨てられる。


後ろに立っていたスサノオが剣を振るっていた。

何が起きたかも分からないままバジリスクは前に倒れる。

背中の痛みに耐えつつ、すぐに後ろを向くと、バジリスクの喉元には剣が突き付けられていた。


目を瞑ったままスサノオは静かに剣を向けている。

バジリスクは不適な笑みを浮かべ続けている、


「………いいのか?俺を殺したら石にしたやつは元に戻らないぞ」


「そうか。お前が石にしたのか。元に戻せ。」


「ハハハ」


バジリスクは笑う。


「そもそも何故死んだら元に戻ると分かる?死んでもいないのに」


「は?」


「まぁいい。解除条件は吐かせる。拷問でも何でもでだ。最後まで吐かない場合は殺す。お前の精神力に敬意を評してと、死んで元に戻ることに一縷の望みをかけてな。」


「………は?」


バジリスクは冷や汗をかき、生唾を飲む。


「………お前随分と上から目線だな。俺の魔法で石にした奴ら全員灰にすることもできるんだぜ。主導権は俺にあるんだ。分かったらその剣早く退かせよ」


「………そうか。お前たちの目的は何だ?」


「早くその剣どかせよ。灰にしちゃうぜ。いいのかよ?やっちゃうぜ」


「こちらにはもう一人人質がいる。君の仲間だ。」


「………あ?あぁ。コカトリスか。別にあいつはどうなったっていいよ。」


「そうか」


スサノオは目にも止まらぬスピードでバジリスクの首元に平手打ちをする。

するとバジリスクはカクンと意識を失い、ドサリと倒れ込む。


すると石にされていたイズモが元に戻る。

イズモは状況もわからず困惑している。

そして周りの家からは、戻った!と歓喜の声が聞こえてくる。


しかし建物などは依然として石からは戻っていない。

スサノオが兵士たちに声をかける。


「お前たちすまなかった。コイツを恐らく人間を石に変えられるようだ。目隠しして縛り付けろ」


「はい!」


そう言って兵士たちがバジリスクに駆け寄る。

一方暴れているコカトリスにスサノオが近づいていく。


「くそ!離せでいし!兄貴を元に!戻すんでいし!」


「………兄弟がいるのか?」 


「そうでいし!兄貴を助けるために!火の魔剣を!」


「!そうか。お前たちが噂に聞く」


「は!?はかったいしな!目的を言わせるなんて!」


「………建物の石化はお前か?」


「!」


コカトリスは動揺する。


「………ち、ちがうでいし。僕の魔法は………物を早く投げる魔法でいし」


「………そうか。詳しい話はこの後聞かせてもらう」

「は!?ふざけんなでい!!!」


スサノオは再び首に平手打ちをしてコカトリスを失神させる。

すると今度は建物の石化がみるみると解けていく。


「………やはりお前だったか。」


建物の扉がうっすら開いて民たちが様子をうかがっている。


「………イズモ。コイツラを城に運ぶぞ。その後パトロールを増やした上で民たちに外出許可を出すぞ。」


しかしイズモからの返答はない。


「………イズモ?」


スサノオはイズモの方を見るも、イズモは再び石になっていた。

それどころかそちらにいた兵士たちはみんな石になっているようである。


「………」


スサノオはバジリスクがいた方を向く。

しかしそこにはすでにバジリスクの存在はおらず、ただ捕らえようとした兵士たちの石像があるばかりである。


「………」


スサノオは走り出した。




一方その頃カグツチ達馬車組は馬車が元に戻ったことに驚いていた。


「戻った!」


「ですね。スサノオ様たちが多分倒したのでしょうか?」


「流石はスサノオね。」


アマテラスは誇らしげにうんうんと頷いている。


「やはりスサノオ様は次期国王として相応しいお力をお持ちなのではないですか?」


アマテラスがそれを聞いて複雑な表情を浮かべる。


「………あいつも気にせず国王になっちゃえばいいのにねぇ………。」


「?」


カグツチが疑問に感じていると、外からも声が聞こえる。


「クソ。何が頭に当たって、その方向に人がいて、そこからの記憶がない」


「俺は物陰に何か人がいて………。そこから俺たち石にされてたのか?」


「よかった!あなた達も元に戻ったのね!」


「申し訳ありません!」


「不覚を取りました!」


ツシマとクマノが謝罪をする。


「無事戻ってよかった!馬は?」


「はい!馬も元に戻っています!」


「了解!ありがと!じゃあ城に戻りましょうか。後始末とかも色々あるでしょうし、私達が街にいると多分迷惑だから!」


「承知しました!」


そう言ってツシマが馬車の荷台に乗り込む。

そしてクマノが運転し馬車が再び動き出す。




同じ時間。

バジリスクは辛そうな表情を浮かべながら、全速力で街を走る。

あの時確かに気絶していたバジリスクは驚異の生存本能で意識を取り戻していた。


そしてスサノオが指示をしている間に他の兵士を石にして、その隙に乗じて逃げ出していたのであった。

スサノオに斬られた背中はジンジンと痛みが続けて出ている。

時々扉の隙間から覗いている住民達と目を合わせ、石にしながら街を進んでいた。


「クソ!流石に一次撤退だ!」


走りながらも愚痴を吐き続ける。


「コカトリスの野郎。何にも出来ねえじゃねえか。使えねえ野郎だ。魔法は強いのに。あいつのせいで作戦失敗だ。クソが。作戦練り直しだ!」


バジリスクは前を見る。

前には馬車が進んで来ているのが見える。


「!馬車だ!あいつを奪って逃げるか」




クマノが前から近づいてくるバジリスクに気づく。


「!!!何者かが近づいてくる!」


馬車の中の面々は驚く。

そしてカグツチ、ツシマの2人は立ち上がり警戒する。


「一度馬車を止める!」


そう言うと馬車の動きが止まる。

そしてクマノは馬車から降り、向かってくるバジリスクを迎え撃つため、剣を抜く。


「何奴だ!止まれ!」


剣を構えて威嚇をするも、次の瞬間クマノは石と化してしまう。

そしてバジリスクはニヤリと笑い、馬車に勢いよく乗り込む。

そして馬車を方向転換し、城とは逆方向に進み始める。


「!!!クマノ!?クマノ!?無事か!」


しかしクマノは既に石となり、地面にただ鎮座しているのみであり返答は返ってこない。


「貴様!何者だ!止まれ!」


ツシマがすごい剣幕で馬車を運転するバジリスクに投げかける。


「だったら自分で飛び降りろよ」


バジリスクは悪びれもせず返答する。


「お前!何が目的だ!」


「うるさいな。黙っとけよ」


ツクヨミとロスカ以外は不安そうな表情を浮かべている。

カグツチは考える。


(こいつは………?多分石に出来る敵?スサノオさまが捕らえ損なったのか?だったら何故一度解除を………いやそれよりも………今この馬車は敵の完全な手中にある。)


カグツチはロスカを見る。


(………まずい)


バジリスクの手中となった馬車は進んでいく。

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