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火の国編9話

一同はお茶を堪能する。

そしてその後すぐに運ばれてきたどら焼き7つに目を輝かせる。

店員が出ていった後目を輝かせる。


「おぉ~!」


「これがどら焼き!」


「ちなみに3つは私のだからね!」


アマテラスが横暴に話す。


「まずは毒見を」


「食い意地凄いわね!」


アマテラスの茶々を気にせず、本当に毒見するつもりでカグツチはどら焼きを半分に割って一口食べる。


「………美味しい」


そう呟くとアマテラスとラムチは笑顔になる。


「そうでしょそうでしょ」


そう言って他の3人も食べ始める。

ツクヨミは表情を変えずにパクパク、アマテラスとラムチは美味しい美味しいと言いながら食べている。

カグツチは半分に割った口をつけていない方のどら焼きをロスカの口に近づける。


「純愛ね」


「そうなんですよ」


外野の声にやりづらそうにしながら、待っているとロスカがどら焼きを食べる。

そして僅かに表情が緩む。


「!姫!美味しいですか!?まだありますからね!」


「少し表情が緩んだ」


「どら焼き堪能されてますね」


「よかった」


アマテラスは安堵している。

その姿を優しそうな笑みで微笑むラムチ。

そうして一同はどら焼きを食べ終わる。

カグツチはロスカのことを見つめる。


「………何か変化は?」


しかし特に過去にあった著しい変化は見られない。

変わらず美しいロスカのままである。

ツクヨミを除く一同に少し悲しそうな雰囲気が生まれる。


「………」


カグツチは少し落ち込み肩を落とす。

その姿を少し悲しそうに申し訳なさそうに見つめるアマテラス。

そんなカグツチをラムチは励ます。


「まぁ美味しいお菓子を食べれただけ姫にとっても嬉しいわよ!」


「………そうですね。アマテラスさん。ありがとうございます。」 


カグツチは頭を下げる。

ラムチも同じく頭を下げる。


「いいのよ。ていうか。あんたスサノオには様付けなのに私には様付けないの?」


「あ、失礼しました。アマテラス様」


「やめて。冗談よ。さんでいいわよ」


「………はい」




そうして一同はどら焼きを食べ終わる。

食べ終わって一息ついていると、アマテラスはパンと手を叩く。


「じゃあここからも本題よ!」


「?」


「まだ席には座ってても大丈夫だと思うし!雑談タイムよ!」


おー!とラムチが拍手をする。

そしてカグツチはポカンと見ていた。


「さーて雑談を始めましょうか。と言ってもあんたへの尋問だけどね!」


そう言ってアマテラスとラムチはカグツチの方を向く。


「………?」


カグツチは後ろを向くが誰もおらず、ただ壁があるだけである。


「………え?私?」


カグツチは自分を指差す。


「そうよ。あんたに聞きたいことがあるのよ」


「………まぁ………答えられることなら」


カグツチは落ち着こうと一旦お茶を口に入れる。


「あんたロスカ姫のことどう思ってるのよ!」


カグツチは動揺し、お茶を飲み込むのに失敗し、むせてしまう。

咳き込むカグツチをよそに続ける。


「私とても気になるわ!」


アマテラスは目をキラキラさせている。

カグツチはラムチの方に目線を向けるも、ラムチはニヤニヤしており、ラムチの助けは得られないこと、むしろこの質問はラムチ起因であることを察した。


「………ただの姫の従者です。それ以上でも以下でもありません。」


「嘘ね!幼馴染で護衛騎士なんでしょ!恋慕が無いわけないじゃない!」


カグツチは困った表情を浮かべる。

どう返答しようものかと考えていると、アマテラスが畳み掛ける。


「姫に許嫁がいるんでしょ」


「!?」


カグツチはラムチの方を見るが、ラムチは口笛を吹くふりをして知らんぷりをしている。


「………はい。………いらっしゃいますね」


「許嫁に姫取られちゃってもいいの」


「………」


カグツチはトリトンの事を思い浮かべ、複雑そうな表情を浮かべる。


「………トリトン王子はとてもいい方です………。後は姫の想い次第だと思います」


「あんたは」


「はい?」


「姫の想いじゃなくて、あんたの想いは?」


「………」


カグツチはじっと考える。

ロスカはカグツチにとって大切な存在である。

それは疑いようもない。

しかしそれが恋心によるものなのか、忠誠心によるものなのか。


「………」


カグツチは俯き黙り込む。


「………分かりません。」


真剣に考え込み俯くカグツチにアマテラスは気まずそうにする。

そしてラムチに目線を向ける。


ラムチは見守るようにカグツチに目線を向けていた。

少し気まずくなった雰囲気に耐えきれずアマテラスがパチンと手を叩く。


「よし!話題を変えましょう!」


カグツチとラムチはアマテラスの方を見る。


「何か私に聞きたいことはある?」


カグツチは考える。

そして一番気にっていることを問いかける。


「アマテラスさんは国王になりたくないのですか?」


「私が?」


「はい。もしスサノオ様が王になられないならアマテラスさんが王になればと思って」


カグツチは街での民とアマテラスのやり取りを思い出す。


「民の皆様からもかなり人気そうでしたので」


「私が王に?そんなの決まってるじゃない。」


アマテラスはさも当然のことのように話す。


「嫌よ。面倒くさいし」


「えぇ………」


カグツチは予想外の返答に微妙な反応を見せる。

アマテラスは火の国の民たちのことを思い出す。


「王になったら火の国のみんなについて私が全部責任を負うことになる。誰かを切り捨てる選択もしないといけないかもしれない。」


「はい。」


「私は全員から崇め奉られたいし、仲良くしたいの。誰からも恨まれたくもないし嫌われたくもない。」


「はい。」


「だから今の責任のない立ち位置で、民からの歓声と称賛だけをずっと浴び続けたいの。王になったら誰かしらからは恨まれるでしょ?これが理由よ」


「なるほど。………ツクヨミさんは?」


「あぁ。この子は根暗だから王は無理よ。私と一緒に王女やってるのが一番いいわ。」


ツクヨミはアマテラスの言葉に反応せずじっとしている。


「………そうですか。………ではスサノオさんも同じ理由ですか?」


「スサノオ?あいつはまた違った理由よ。あいつはまた頑固だからね」


「?」


「私から話すのは面倒だから詳しくはスサノオから聞いて!………ってかあいつから直接聞くって話じゃなかったっけ?」


「確かに。そうでした。」

「危ない危ない。あんたの口車に乗せられるところだった。」

「いえ。そんなつもりは………」


「あんたがちゃんと聞きなさいよね!男と男の約束なんでしょ!」


「………はい。」


「さてと他にないなら次は私から。ラムチさん。あなたにいろいろ聞きたいわ!」


「ほぅ。私に」


「長く生きてきた人の話は面白いと相場が決まっているから!」


「あらあら。何を話しましょうかね」


そう話そうとした時に勢いよくドアが開く。

ものすごい反射神経でアマテラスはお姫様モードになる。


「すみません!」


「どうされましたか?」


「何か兵の方が来て、なんか緊急事態みたいで、今日はすぐに戻るようにって!」


兵士が2人入ってくる。


「アマテラス様!」


二人の兵士が個室に入ってくる。


「………あら。ツシマさんにクマノさん。」


「緊急事態です。直ぐ様城に戻りましょう。」


アマテラスは口を開きかけるも、状況を察しまた口を開く。


「………えぇ。分かりました。すみません。どら焼きとても美味しかったです。お代はこちらに」


そういってお金を机に置き、外へ出る。

個室から出ると外からは悲鳴が聞こえてくる。

そうして店の外に出る。

するとそこには何やら泣き叫ぶ人間達。

そしてその目の前には石と化した人間がいた。


「………何だこれ?」


一同は絶句する。

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