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火の国編6話

カグツチはスサノオの授業の呼びかけを受け少し悩む。


(この人の言うとおりだ。今の自分には姫を守る力が足りない………。圧倒的に。もっと強くならないと………)


カグツチは頭を下げる。


「どうかご師事させてください。」


フッとスサノオは笑う。


「いいだろう。だが、ただ修行するだけじゃつまらない。我が王にならない理由。これはお前が修行を終えて我に一本でも取れたら教えるとしよう」


「………分かりました」


「「「火消しーーー!!!」」」


そう言って複数の兵士たちが桶を持って駆け寄ってくる。

そうして話してる最中も燃え続けていた木刀に一斉に水をかけて無事消火する。

道場の床に軽い焦げ跡が出来ていた。


「………少なくとも道場では緊急時以外は魔法を使うな。」


「………はい。分かりました。」


こうしてカグツチの修行の1週間が始まった。




翌日昼。

ラムチ、ロスカ立ち会いの元、道場で訓練が始まる。

車椅子のようなものがマガハラにもあり、ロスカはそれに乗っている。

忍者装束の4人も近くに立っていた。


「申し訳ありません。道場まで来て頂いてしまい」


「いーのよいーのよ!しっかり強くなるのよ!」


同時にその場にはアマテラスとツクヨミも来ていた。

アマテラスはお菓子を床に広げる。

どらやきやまんじゅうといった和菓子がそこにはたくさん広げられており、ラムチが目を輝かせる。


「おぉー。これが火の国のスイーツ!」


「待ってる間はお菓子パーティーよ!」


「おお!最高です!」


「たくさんお菓子持ってきたわ!私が一番好きなお菓子があるのだけど………それは店限定だから今度お店に行って食べましょ!」


「いいんですか?ありがとうございます!」




女子たちのトークを尻目にスサノオとカグツチが対面する。


「そうだな。まずは太刀筋が見たい。素振り1000回からだ」


「はい」


「いつもやっている通りに振ってみろ」


そう言うとカグツチは木刀を振り始める。

カグツチは前に人がいるイメージで足や手の関節目掛けて剣を振るうイメージで振っている。


そして少し時間が立ち1000本の素振りを終える。

カグツチから少し汗が出てきている。


「なるほどな。少し聞かせてくれ。君の太刀筋は。というより氷の国の剣術は何を目的としている?」


「関節などを攻撃して、相手の動きを封じることを目的としています。」


「そうか。であれば火の国の剣術とも親和性は高いな」


「はい?」


「火の国の剣術は烈火のごとく止まらない連続の剣術だ。相手の骨をも残さず、連続攻撃で相手を灰にする」


「なるほど」


「要は氷の国の剣術は急所を狙い続けるのだろう?であれば我々の剣術ともかなり親和性が高い。」


「お前の太刀筋は分かった。次は我の動きを真似して木刀を振れ。まずは動きを叩き込む。」


そうしてスサノオは流れるように剣を振り始めた。

足を使って軽く動きながら剣を振るっていく。

ダイナミックな動きではあるが、決して隙はなく、綺麗に剣が振るわれている。


足の動きもバタバタしておらず、本当に流れるように攻撃が繋がっているように見え、カグツチは感嘆する。


「………凄い」


「………真似をしろ」


「はい」


そう言ってスサノオの通りに足と手を真似して木刀を振るっていく。

しかし何やらスサノオと違いぎこちの無い動きとなってしまい、所々躓いてしまう。


諦めずに何度も何度も真似をするも、やはりぎこちのない動きになってしまうことには変わりない。

そうして2人で木刀を振るう動きをしていった。




結構な時間を費やしたところでスサノオからコメントが入る


「一度休憩にしよう。少しずつではあるが良くなってきている。」


「ありがとうございます。ですがまだ出来ます」


「いや。成長のためにはリラックスも必要だ。」


「………分かりました。」


少し不満そうにカグツチは了承する。

休憩したところを見計らってアマテラスが声をかける。


「あー。あんたらもお菓子食べたいの?あんたらでちゃんと買って来なさいよ!」


「食わん!」


スサノオが大声で返す。

カグツチは気になっていることを聞く。


「スサノオ様」


「何だ?」


「スサノオ様の動きすごいです。無駄がなくて精錬されているというか。」


「そうか。」


「どれくらい鍛錬を?」


「ほぼ毎日だ」


「なるほど………」


「焦るなよ。鍛錬を続けていけば必ず強くなれる。」


「スサノオ様がこの国で一番お強いのですか?」


「いや。我ではない。」


「………?スサノオ様はこの国の騎士団の団長なのですよね?」


「あぁ。マガハラ武士団の中では我に叶うものはいない」


「………?団長なのにですか?」


「あぁ。最強は国王だ」


「………え?国王って魔剣の使い手なのですよね。それは魔剣込みでですか?」


「いや。魔剣抜きでだ。」


「!!!」


カグツチは驚く。


「国王はずっと鍛錬を続けている。何かに取り憑かれたかのようにずーっとな 我の動きとは比べ物にならん。魔剣抜きでも剣術はこの国で一番は間違いない。世界中に叶うものは居ないとまで思える。そんな実力者だ」


「なるほど………。そういえば国王はどちらに」


「今は各地の修行スポットを側近と回っている。修行の旅というやつだ。」


「国王なのに修行を?一体何で?」


「理由は分からん。だがあの方はずーっと修行をされている。それこそ何かに取り憑かれているかのようにな」


「それで国の指揮は大丈夫なのですか?」


「あぁ。側近や部下が回しているからな。我も前に出ている」


「なるほど」


考え込むカグツチを見てスサノオが声をかける。


「焦るなよ。カグツチの剣術に火の国の剣術が合わされば必ず強くなれる。」


「ありがとうございます。」


(王子でありながらこの強さ………。見習わないと………)

そう考えていると、カグツチの脳裏にふと一つの疑問が宿る。


「よし。リラックスできただろう。」


「………あの。」


「何だ?」


「なぜ国王になられないのですが?」


「………」


「お強くて、自ら民の前に出られている。それなのにどうして?」


「………そういえば話していたかったな。」


スサノオは俯き考える。


「この一週間で我に一本でも当てられれば教えよう。」


「!」


「ただ教えるのではつまらない。これでどうだ?」


「………わかりました」


「よし。では稽古再開だ。」






その後の訓練は同じく動作の真似、その後組手が行われた。

長丁場の訓練だったが、ラムチとアマテラスは飽きずにずーっとお話をしていた。

恋バナにスイーツのトークに色々と話していた。


同じく動作の真似については絶え間ない反復練習の末、少しずつぎこちない動きは改善されていった。

そしてその後の肝心の組手だが。


「駄目だ!隙だらけだぞ!」


組手については先ほど真似した火の国の剣術を使って行うが、実践となると真似のように冷静な動きというものが出来ない。


相手に当てようとするあまり動きが大きく、逆に動きだけを意識すると小さくなってしまい、初期の真似のようにぎこちなさが出てしまう。


そしてそこでバランスを崩したところを容赦なくスサノオは攻撃してくるため、身体中に青痣が出来てしまう。

そうして迷わず向かっていくがこの日は1本も取れずに訓練の時間を終えた。


辺りはすっかり暗くなっている。

訓練を終えたカグツチは木刀を地面について息を切らしている。


そしてカグツチはロスカの方を見る。

ロスカは変わらず死んだ目をして虚空を見ており無事である。


「よし。これで今日の訓練は終わりだ。明日に向けてゆっくり休め!」


「はい!」


そう言ってその場にいた一同は大部屋に向かう。

大部屋に戻ると食事が準備されており、魚とみそ汁に漬物の和定食を堪能する。


その後風呂等に入った後に各自の部屋へと向かう。

部屋へと向かう中でカグツチとラムチが話す。


「訓練お疲れ様。」


「いえ………。道場に拘束する形となります申し訳ありません。」


「いいのよいいのよ。アマテラスちゃんとお話するの凄く楽しいし。」


「そうですか。申し訳ありません。ラムチさんだけでもお出かけされて大丈夫ですからね」


「何?土地勘ないババアを放り出す気?」


「いえ。そういうつもりでは」


「ハハッ。冗談よ。冗談。あ、そういえば。」


「?」


「火の国のスイーツ食べさせて貰ったけど、姫に変化は無さそうだったわ」


「………そうですか」


カグツチは少し落ち込む。


「まぁでもアマテラスちゃんの一番のおすすめを今度食べに行くから、そこで何かあるかもしれないわよ」


「………そうですね」


「そうよ!じゃあ今日はゆっくり寝ましょう!」


「はい」


そう言ってロスカとラムチは自分たちの部屋に入っていく。

そしてカグツチはその部屋の前で座り警戒をしていた。

訓練は続いていく。

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