表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
55/59

風の国編 25話

ファサードに国王が刺されている姿を見て驚くトリトン。

国王は刺さらながらもファサードの手を必死に抑えていた。

ファサードもトリトンを見て驚いている。

「この爆発はあなたが!?」

国王は虚ろな目のまま抑え続けていたが、トリトンが来たことで目に安堵が灯る。

その後すぐにその手は力なくプランと垂れてしまう。

直ぐ様トリトンは国王に駆け寄る。

「国王!」

剣を構えて向かっていく。

「ひっ!」

ファサードは急いで国王から剣を抜くが、抜いた頃にはトリトンの射程圏内であった。

剣を抜かれた国王がバタリと力なく倒れる。

トリトンは剣を振るってファサードの風の魔剣を弾き飛ばす。

弾かれた風の魔剣は床に金属音とともに転がる。

「ひっ」

ファサードは腰を抜かして、座り込む。

そしてトリトンはファサードを抑え込み拘束する。

その表情には焦りも見られた。

「くそ。国王が。姫は無事なのか?誰か!!!」

「呼んだー?」

トリトンが大声を出すと、玉座の入り口付近にシューが立っていた。

その手には水の魔剣が握られていた。

シューは倒れている国王とテフヌトの姿を見渡す。

シューの表情はいつものように飄々としていなかった。

「国王が刺されていました。姫の様態は見れてません」

「んー」

シューはテフヌトにまずは近づいて脈を確認する、

「ん。テーちゃんは大丈夫」

そして国王に近づいていき、目視で国王の状態を確認する。

国王はかろうじて息や脈は感じられるものの意識はない状態だった。

刺されていたお腹からは止めどなく血が流れ続けていた。

「ハワーくーん!」

シューはハワーを呼びかける。

丁度外で看病をしていたハワーが入ってくる。

「オクシジーン団長はかろうじて息はあります!」

「んー。こっちも辛うじてだから医務室運んでー」

そう言って国王を指さす。

その声には少し怒りが含まれているように見えた。

「は、はい!」

そう言ってハワーは国王に近づいていく。

「………は?なんでお前………」

ファサードは自分の手下であったはずのハワーがシュー達に従う様に驚いている。

しかし直ぐ様表情に若干の希望を取り戻し、作った笑顔で話しかける。

「あ………。君!よく来てくれたね!大臣である私を助けなさい!国賊に襲われててね!助けてくれれば昇進を約束する」

「うるさいなー」

シューが口を挟んでファサードとハワーがビクンとする。

「命が関わってるんだよー。」

暗い目つきでファサードを睨みつけ、ファサードが蛇に睨まれた蛙のようにビクつく。

「………救護室に向かいます!」

「んー。よろしくー」

ハワーはバツが悪そうに国王を抱えて、玉座を後にする。

そして瀕死のオクシジーンも抱えて、走り去っていった。

「あ、あぁ………」

ファサードは手を伸ばすが、そんなことには関係なくハワーは去ってしまう。

「あ、トリトン王子ー。」

トリトンがシューの方を向くと、シューは水の魔剣を見せびらかしていた。

「水の魔剣取り返したから、返すねー。」

「あ、ありがとうございます。」

「風の魔剣はー」

シューは玉座を見渡す。

「あ、あった」

そう言って床に転がっている風の魔剣に走って近づいていき拾い上げた。

そしてその後トリトンにも近づく。

「そいつ一旦離していいよー」

「え?しかし」

「いいよー」

シューの呼びかけに応じ、拘束をやめるトリトン。

高速が解かれたことで立ち上がろうとするも腰が抜けて立ち上がれないファサード。

起き上がれないため、腕の尻の力だけを使い後退りをしていく。

「はい。ごめんね。うちのせいで」

シューは水の魔剣をトリトンに手渡す。

「いえ。ありがとうございます」

トリトンは水の魔剣を受け取る。

「………すみません。国王をお守りすることができず」

トリトンは俯き反省する。

「んー。大丈夫」

シューはそう言ってファサードの方を向く。

ファサードは必死に後退っていたが、大して進めていない。

そして風の魔剣を向ける。

「じゃー大臣。弁明聞いたげる?」

「ひっ」

ファサードの顔が恐怖で歪む。

「何で父さんを刺したの?」

「い、いや。さ、刺す気はなかったんですけど………」

震えながら話すファサード。

「本当に?」

真っすぐシューはファサードを見つめ、それに狼狽えてしまう。

「あ………あ………」

「本当のことを説明してほしいな」

ファサードは恐怖に気圧されてしまう。

「さ、最初は姫を刺そうとしたんです。それを国王が庇って………。姫を遠くに突き飛ばしました。ですが剣の勢いは止まらずにそのまま………。」

「それで?」

「すぐさま………姫に対しても攻撃しようと………しかし国王に抑えられてしまい………。その後は膠着状態で………」

「そう。分かった。他には………何でこんなことしたの?」

「………」

周囲にはかなり強い緊張が走っており、トリトンも固唾を飲んで見守る以外に何もできなかった。

ファサードからは冷や汗が止めどなく流れ続けている。

「いや………その………」

「言って…………」

冷や汗の中、ファサードは歯を食いしばる

「………王になりたかったんです!この国の!一番に!トップに!」

「うん」

「それを目指して底辺からここまで這い上がってきた!でもこれまでの王は王族からと相場が決まってる!だから!王族をまとめて始末して、王になりたかった!」

「………それだけ?」

「生まれながらにしてなりたいものになれないなんてあまりにも不公平でしょう!!!」

「………君の言い分は分かったー。でももっとやりようあったんじゃなーい?」

「………これが私のやり方です。」

「ふーん。まぁ何思ってても企んでても構いはしないんだけどさ」

今までで一番怒りのこもった声で静かにシューは続ける。

「僕たちを巻き込まないでほしいなー」

「………」

「勝手に何かやる分にはいいけど父さんとテーちゃんに迷惑かけないでよ」

「………」

ファサードは固唾を飲む。

「それにー。僕個人としては王位なんてどうでもいいんだ。こうなるくらいなら相談してくれれば良かったのにー」

「………は?」

ファサードの中にふつふつと怒りが湧く。

ここまで悩んでいたことを上の立場の人間はこうも簡単に判断を下せるその上から目線に。

そして内心もっとやりようがあったかもしれないという自分への怒りに。

「そんな簡単に済む問題じゃ!これだから王族は!」

ファサードは怒りをあらわにする。

シューは自分の耳を塞ぐ。

「うるさーい。じゃあ他に言いたいことはあるー?」

ファサードは怒りに満ちた顔でこっちを睨んでいる。

「ないかな。じゃあどうしようかなー。」

シューはそれを見てうーんと悩む。

悩んでいるとシューの耳に外からの人の声の塊のような轟音が入ってくる。

「んー?」

その声が気になり、ベランダへ向かう。

すると城の前には未だに多くの国民達が国に対する不満を叫んでいた。

それを必死に抑えている兵士たちの姿があった。

シューが玉座のベランダに出るとその声は一層強まった。

「王子だー!!!」

「国王出せー!!!」

「どうしてくれるんだー!!!」

わーと驚きの表情を浮かべるシュー。

そしてうーんと悩む。

トリトンはファサードが動き出さないかをじっと見つつ、シューの動向も確認していた。

「あ、これでいいや」

そう呟くとスーッと息を吸い込む。

「みんなー。話を聞いてー」

必死に声を張り上げるシューを見て、一層声が強まるが、その後も必死にアピールを続けるシューにいずれ周りは静かになった。

「うちの大臣がやらかしちゃってごめーん!これ全部大臣のせーい!」

「………!」

さっきまでファサードの脳内は怒りで支配されていたが、脳裏に群衆の前で処刑される姿が思い浮かび一気に顔が青ざめる。

「おい!」

「大臣を出せ!」

群衆の怒りはアップグレードする。

「国王が倒れちゃったので自分から!一旦重税は解除しますー!王子権限で!今この瞬間から前と同じく商売やってよし!本当にごめんなさいでした!」

深く頭を下げるシュー。

ヒートアップしている群衆は止まらない。

「ふざけんなー!」

「補填はどうするんだー!」

シューはうーんと悩む。

「もう少しだけ待ってー!2週間くらい!」

「待てるかー!」

「ふざけんなー!」

「うーん。今日は一旦帰ってほしいなー。」

そう呟いたあとに、うーんと罵声を聞きながら悩む。

そして何かが閃いたかのように、魔剣を上に掲げる。

すると上空に風の塊のようなものが出来上がる。

それはかなりの強風を吹き荒れさせており、怒りに満ちていた群衆に恐怖が含まれる。

「ごめーん!補填はあとで考えるから今日のところは帰ってー!ごめんねー!」

強風の塊を少しずつ群衆に近づけていくと、民は自然と悲鳴を上げながら捌けていった。

その間たくさんの群衆が、転んで怪我をしないように、シューは風を使っていい感じに逃げる経路を複数作り上げていたため自然とそれに従って人が避けていく。

その光景を見ていたトリトンが呟く

「いや………それは…………駄目じゃね?」

恐怖統制に苦言を呟いた。

そしてシューが玉座へと戻ってくる。

ファサードはプルプルと震えている。

「うーん。一旦休憩かなー。」

………え?とファサードとトリトンは思考が止まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ