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風の国編20話

廊下に残ったシューは階段の前で仁王立ちしていた。

そして借りた普通の剣を抜いて警戒している。

すると猛スピードで迫ってくる物体が来ており、それを躱す。

キキーッと止まるブレーキのような音がして、そちらを見ると、そこにはヒーポと名乗っていた男ことヒッポグリフがそこにはいた。

ヒッポグリフは驚きの表情を見せる。

「お前!やっぱり斬れてなかったか!」

「うん。斬れてないねー」

「くそ。不覚だ。しかし」

ヒッポグリフは今から走り出すかのような決めポーズを決める。

「ラグナロク序列89位ヒッポグリフ!魔剣がなければただの王族!覚悟しろ」

「んー?てか普通に喋れたのー?」

すごーいと無邪気に拍手するシュー。

「………しかしお前は何で一人で残ってる?」

「んー。何となく?やばいかなーって」

「ここに倒れてた奴らを倒したのは俺。全員不意打ちだ。」

「僕には不意打ちにならないねー。」

「あぁ。所詮は王族。魔剣の力がないのに勝てると思うなよ」

「んー?そうかなー?」

「ちっ舐めやがって!」

ヒッポグリフは気にせずクラウチングスタートの体制をとる。

すると太ももの大きさが2倍にも3倍にもなる。

そして

「ボーッ!!!」

掛け声とともに突進する。

ものすごい勢いでシューの元へと向かっていく。

それをひらりと闘牛士のように躱す。

躱されたところで再度方向転換をしてクラウチングの体勢を取り、また突っ込もうとするヒッポグリフ。

「いつまで続くかな。」

そしてまたもや太ももが大きくなり猛スピードで突進する。

迫ってきているところでシューが呟く。

「あ、急がないとじゃん。」

その呟きに疑問を思いつつもヒッポグリフは突進を続ける。 今度はシューは躱そうともしない

しかしいざぶつかるぞというタイミングになったところで、ヒッポグリフは止まってしまう。

正確には進もうと必死に走る動きはしているが、ランニングマシンのようにその場で走りながらも進まなくなってしまう。

「ぽーっ!?」

ヒッポグリフは困惑するが、すぐに自分の動きが止まっている理由をしる。

ボボボボボという風の轟音と共にヒッポグリフの前から強風が吹いてきている。

「ぽーっ!?」

ヒッポグリフは綺麗なフォームで足踏みをしながら困惑している。

「風!?何故だ。今は魔剣ないはず!?」

「うーん。僕の魔法は魔剣と同じ………的な?」

「な!?」

ヒッポグリフはさらに驚くき、それに呼応して足の動きをさらに速める。

「そんなはずはない!人の魔法が魔剣と同等なんて!そんなこと!魔剣は神が作り出した結晶!」

「んー。神様なのかなー?」

「そんなはずはない!人間の魔法が魔剣を超えるなんて!」

ヒッポグリフはさらに足の動きを速める。

諦めずに走っていると、やがて前に進むことが出来るようになる。

シューの手前でずっと走り続けていたため、その進み出しの後、シューは先ほどと同じようにぶつかる寸前にかわす。

ヒッポグリフは鬱憤を晴らすと言わんばかりに走り抜ける。

「ハハハハハ!前言撤回魔剣を超えた!魔剣を超えた!ボーッ!」

先ほどよりも2倍3倍のスピードでヒッポグリフは進むことができており、気持ちよさそうに走っている。

しかし止まろうにも止まることはできない。

そのスピードアップの正体は追い風であり、ヒッポグリフの後ろからはものすごい勢いの強風が吹き荒れ、追い風となっていた。

「ぽーーー!!!止まれん!!!」

ぽっという断末魔とともに、鈍い音が響く。

そうして壁に激突したヒッポグリフは膝をつきズルズルと倒れていってそのまま気絶した。

そんな姿を見てシューは階段を登っていく

シューは追い風を発生させた。

そうすることで早く進めるようになっている。

「よし急ごー」


パズズは後退りを変わらずしている。

「もしこちらに手を出さないのなら命だけは助けましょう。」魔剣の力を警戒し、カグツチは下がりロスカの前に仁王立ちする。

戦慄の空気の中アエリが口を挟む。

「ちょっと待ってください。ずいぶんと弱気ですね。」

「………何がです?」

「あなたは何故後退りを?魔剣の力が使いこなせるならばドッと構えておけばいいじゃないですか」

「魔剣の力にまだ慣れていませんので」

「慣れてない?そもそも使えないんじゃないですか?」

「………何を根拠にそんな」

「まずは先ほどの通り魔剣が使えるなら交渉をする意味なんてないこと。早く制圧してしまえばいいじゃないですか。」

「………」

「次にあなたはこの国に復讐をしたいのですよね?であれば水の魔剣を使えばとっとと制圧出来たのではありませんか?」

「………大臣が風の魔剣を所持しておりましたので」

「復讐をするためにまだ城に残ってるなら、いずれ近いうちに風の魔剣とぶつかり合うことになりますよね?」

「不意打ちを」

「不意打ちのために城に残ってるんだとしたらいずれはバレて場所を移動されるか、警備が厳重になるだけだと思いますよ。」

「……·…」

「それに」

アエリは目線を倒れている兵士たちに向ける。

アエリの額から汗が滴り落ちる。

そして周囲の一行も汗が出続けている。

「何故あなたはこんな魔剣の力を使わずに回りくどいことを?」

「………何ですか?」

「この倒れている人たちはすごい汗をかいていて体温も暑いとのこと。」

「………私が熱湯を魔剣からかけたのです」

「であればもっとこの辺りは水浸しになっていてもおかしくないはず。」

「………」

「以上のことからあなたは魔剣を使えていないのではないでしょうか?いくらラグナロクとやらの組織の一員とてこの人数差は分が悪い。だから戦闘を避けるために言葉巧みにこの場をやり過ごしている。違いますか?」

「………そんな訳ないじゃないですか」

「トリトン様。相手は魔剣を使えません。それにこの人数差であれば………えっと制圧可能と思います。」

「うん。アエリ。ありがとう」

「え、エヘヘ」

アエリは少しの間の後はにかんだ笑いを見せる。

いつの間にか辺りに蜃気楼が出ていた。

「それにしても………何だか暑いですね。………あれ?………何か話しすぎました………かね?クラクラするかも………」

バタリとアエリが車椅子から倒れ落ちる。

「アエリちゃん!ちょっと………あらやだ」

ラムチも膝をついて、その後倒れてしまう。

「姫!」

カグツチは姫の方を向く。

ロスカは表情は一切変えていないものの汗をかなり掻いている。

「これは」

「一体」

「何をした!」

カグツチが怒り、パズズの方を向く。

トリトンは一同の上から雨を降らして周囲を冷やす。

「ハハハ。時間稼ぎどうも!」

パズズはその隙をついて走り去ってしまう。

カグツチは樹の実を取り出し投げるも距離が離れており届かない

一同は追おうとする。

「おっと介抱しないで大丈夫ですか?」

「くっ!フロマとカグツチとハワーさんは介抱を!俺は追う!」

トリトンはパズズの頭上から雨を降らして地面を凍らせようとするも、謎の高温によりすぐ溶けてしまう。

(くっ!転ばせられない)

「安心してください!ただただ暑いだけです!水分と塩分取って涼しくしてればよくなりますよ!」 

「くっ」

トリトンは追おうとするも距離は一向に縮まらない。

そんな中突如トリトンの後ろの方から突風が吹く。

そしてトリトンの横を猛スピードの何かが横切る。

その何かはあっという間にパズズに近づいていく。

そしてパズズを追い抜きパズズの前に立ち塞がる。

「なっ!」

パズズは驚き魔剣とナイフを構える。

その何かとは。

「シュー王子」

シューが追い風を使って猛スピードで追いついたのだった。 

「やほやほー」

シューは手を軽く振り、剣を抜いて構える。

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