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風の国編16話

風の城のとある倉庫のような一室でラグナロクの3人は潜伏していた。

周囲からはどこだー?出てこーい!という声が響き渡っている。

「あんなクソ大臣。なめたこと言いやがって」

ケルピーは怒っている。

「あぁ。この水の魔剣を持ち帰ることが最優先だが、あの大臣にはしかるべき報いを受けさせてやりたいな」

「それはそうなんだけど。この人数はさすがに厳しくないか。しかもさっきの城の入口見たかよ?」

パズズ達は城の入口に向かったが、城の入口は兵士達が厳重に警備をしていた。

また風の城はかなり低く他のどこに入り口があるかも分からない状態である。

「大臣への復讐どころか脱出すらも難しい かもだぜ?現にこの城広すぎてどこに出口があるのかも分からねえし」

「あぁ。そうだな。この警備の数だし安易に歩き回るのは自殺行為。普通にまとまって戦ったら負けるだろうな。しかし」

パズズは一室のドアをバレない程度に軽く開ける。

そして警戒しながら歩いている兵士の一人を急に引きずり込む。

引きずられた兵士は動揺し叫ぼうとするが、すぐに口を塞ぐ。

ムガムガと言っている最中に首を絞める。

最初は暴れるがやがてそれは静かになった。

「こういう風に暗殺をしながらコソコソ進む。時間は掛かるが今の現状これがいいだろう」

「ははっ!いいね」

ケルピーは寝ている兵士に一発パンチをお見舞いする。

兵士は痛みで目を覚ますがすぐさまケルピーがまた首を絞めて落とす。

そして動けないように倉庫にあったものを重りがわりに乗せる。

「舐めた風の国共に復讐してやるとするか!」

「あぁ。3人に分かれてそれぞれ倒しまわるとしようか。」

ケルピーとヒッポグリフはパンと手を叩く。

「ラグナロクの恐ろしさを奴らにも見せつけてやろう。」

そうして3人は周りを見ながら人が少なくなったタイミングで倉庫から脱出し、風の国の兵士たちを襲い始める。

外からは何やら集団の声が聞こえてくる。

何やら城の中にも慌てているような雰囲気が出ている。

「この声なんだ?」

3人は耳をすます。

外からは怒号のような声が響いている。

「………分からん。しかし俺達に有利な状況には変わるまい」

そうして3人は分散して、それぞれが城の中の各地で兵士たちの襲撃を初めて行った。



概ね同刻風の国の入り口に近づいている一行が一つ。

カグツチ達は風の国めがけて馬車で進んでいた。

馬車の運転はフロマ、それ以外のメンバーは馬車に乗っていた。

「もうすぐふるさと!風の国!」

シューがルンルンしながら話している。

「シュー王子はお元気ですねぇ」

ラムチが微笑ましそうに話す。

「うんうん!風の国は好きだから!」

「この一大事で随分と能天気ですね」

すっかりと泣き止んだアエリが毒を吐く。

「アエリ!」

「風の国の方々のせいでこんな状況になっているというのに。そもそもトリトン王子の命を狙おうとしたこいつもどれだけ信用できるか分かりませんし」

アエリは冷ややかな目線をハワーに向ける。

「まぁまぁ。そういう事言わないの」

アエリはため息をついてそっぽを向く。

「本当にごめんね。僕たちのせいで迷惑かけて」

アエリは特に反応しない。

トリトンがすかさずフォローする。

「すみません」

「ごめん」

どんよりした雰囲気が流れる中カグツチが話題を変える。

「シュー王子。作戦を確認しましょう。」

「ん。いいよー」

「今やこの国の不満はすごく高まっている状況と聞いてます。」

カグツチはハワーの方を向きコクリと頷く。

「そこでシュー王子とトリトン王子とハワーさんが風の国の大臣にされた事を触れ回って民を味方につける。そして民に協力してもらって、色んなところで怪我しない程度に暴れてもらう。その隙に城の裏口に侵入して、大臣を制圧する………ですよね。ハワーさん」

ハワーはこくりと頷く。

「風の国の民の方が少々危険ではないですか?」

「うーん。確かにね。危ないよね。」

うーんと腕を組んで悩むシュー。

「城の裏口は普通にあるから、こそこそ裏口に進もうか。ハワー君が物資の搬入と称して馬車を搬入させようか。」

「そうしましょう」

「裏口までの道は分かってるから国に近くなったら、馬車の運転をハワー君に交代で!」

一同は賛成する。

そして馬車の運転をハワーに交代して進んでいき、カグツチ達は風の国に到着した。

風の国に到着するが、辺りには人っ子一人の気配もない。

「あれ?」

「ハワーさん?」

「辺りに人っ子一人いません。兵士も民も」

「!?」

その異様な光景に一同は戦慄する。

街を進んでいくも、最初に来たときはまばらにいた商人たちも存在していない。

露店にはただ店番のいない店が並ぶだけである。

「おかしいです。人っ子一人いないんですけど」

「えぇ………」

一同は困惑している。

「いったい何が………」

困惑している中で城の方角から何やら声が聞こえてくる。

「城の方から声が聞こえてきます。」

「急ごう!」

そして城の前まで到着し一同はその声の正体を知ることになる。




またもや同刻。

ファサードは国王の目覚めを待っていた。

入口の近くでオクシジーンが待機している。

そして国王が目を覚ます。

目を覚ました国王をキラキラとした目で見ていた。

「おはようございます国王。お目覚めはいかがですか?」

国王は寝ぼけたばかりで目をこすっている。

「ここは?」

「玉座ですよ。シュー王子の反乱がありましたので、救出させていただきました。」

国王は隣を見る。

隣にはシューの妹であるテフヌトが寝ておりひとまず安心する。

そしてすぐ後に何かを思い出し、必死な表情になる。

「シューは?今どこに?記憶が………」

国王は頭を押さえている。

「あー………。今は一旦牢獄に入れてます。後ほど事情は聴取しましょう」

「そうか………」

ひとまずその事を聞いて、胸を撫で下ろす国王。

「トリトン王子は?トリトン王子にも救出を手伝ってもらってた記憶なのだが………」

「あー。お礼をしてもうお帰りいただいてます。」

「そんな。お礼と謝罪をしなくては」

「私から色々言っておきますね。すみません。」

「そうか………。すまないな。」

国王はファサードの手元に目線を向ける。

ファサードの手に風の魔剣が握られているのを見て、困惑の表情を浮かべる。

「おいファサード。それ………」

「あぁ。これですか?風の魔剣です。シュー王子から取り戻しました。一応宝物庫にすぐに戻すのは危険と判断して手元で持ってます」

「そうか。ありがとう。その魔剣預からせてもらうよ」

国王が手を伸ばす。

「………」

「おい」

「………すみません。こちらの魔剣私に託していただくことはできませんか?必ずしもこの国のお役に立てます。」

「………」

国王は諭すような目線を向ける。

「ファサードよ。お前がこの国で頑張ってきてくれたことは知っている。だがお前にもこの剣は渡せん。すまない。それに魔剣はお前だと使いこなすことはできないだろう」

「!………そうですか」

ファサードは無理やり作った笑顔を浮かべる。

「変なことを言ってすみません。お返しします。ただもしよろしければ魔剣を使いこなすための条件を教えていただけませんか?」

「それは」

外から怒号のような大きな声が絶えず聞こえてくる

国王は口パクしているように見え、

その声のせいで会話が聞き取りづらい状態になっている。

「………うるさいですね。何ですか?」

ファサードと国王は玉座の後ろ側にあるバルコニーに出る。

ファサードと国王はバルコニーから街を見下ろし、その光景に驚愕する。

「………は?」

そこには風の国の民一同が城に詰め寄り、周りを占拠している姿であった。

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