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風の国編13話

トリトンたちはカグツチのことを解放する。

カグツチとシューの2人は目を合わせる。

そしてシューが口火を切る。

「落ち着いた?」

「落ち着きませんよ!」

少しの間があったが、アンガーマネジメントは出来ず、変わらずカグツチは怒っている。

カグツチはキレ気味に話している。

シューはロスカに目線を向ける。

「そこのお姫様は何か大変そうな状況だねー。」

「………魔剣にやられたんです。氷の魔剣に。だから解除方法を探してるんです。」

「じゃあさじゃあさ。父さん達の救出に付き合ってよ!」

「………え?」

カグツチは急な呼びかけにポカンとする。

そして考えるのは姫の身の安全である。

「風の魔剣で魔剣の効果消せるか確かめてしんぜよう!」

「………本当ですか?」

カグツチは先程騙された手前疑念の目線を向ける。

「うん。ほんとだよ。魔剣はあるから確実でしょ?水の魔剣も取り返さないといけないしー」

シューはトリトンの方も向く。

「はい。ご家族と魔剣の奪還には全力で協力致します。」

そのトリトンの返答を聞いてシューがニコリと笑う。そして再度カグツチの方を向く。

「たーだし。条件が一つ。父さん達の救出に付き合うこと!そうしたらお姫様の魔法解除に協力してあげる。」

カグツチは自問自答する。

(今は水の魔剣も奪われている。水の魔剣の奪還は少なくとも必要。でも奪還となれば、大規模な戦闘になる)

ロスカに目線を向ける。

(………姫にとって危険すぎるだろうか。………そもそも魔剣使いに勝てるのか………?………それかトリトン王子たちに奪還を任せて自分は姫と馬車の護衛に徹すれば………。後は確実に協力してもらうための担保を)

自問自答が続き、無言の時間が継続してしまう。

「えーっと、カグツチさんだよね?」

「………姫に必ず魔剣を利用いただけるという担保をいただけませんか?」

「………うーん。そうだねぇ………」

シューが悩む。

トリトンはカグツチに声をかける。

「カグツチ。今の状況になってるのは完全に俺の責任だ。姫を危険な目に巻き込んでしまって本当に申し訳ない」

トリトンはカグツチに頭を下げる。

「いえ。トリトン様は悪くありません。」

「その上で水の魔剣の奪還に協力してほしい。」

トリトンは深々と頭を下げる。

カグツチはハッと思い出す。

(そうだ。元々魔剣使いに協力してもらうという差し出がましいお願いをしているのはこっちだ。姫に危害が及ばない範囲で協力はしないと)

トリトンは頭を下げ続けている。

シューは担保の方法を考えている。

その中でカグツチが口を開く。

「分かりました。全身全霊で協力させていただきます。トリトン王子に普段絶大な協力を頂いている手前のご無礼申し訳ございません。」

カグツチも深々と頭を下げる。

「いや。こちらこそごめん。」

シュー王子はそのやりとりを聞いておらず考え続けている。

「シュー王子」

「ん?どしたの?」

話しかけらたことに少しびっくりする。

「先ほどは申し訳ございません。協力させていただきます。」

「あ、………うん。ありがと。大丈夫?」

「はい。問題ありません。」

カグツチはその自問自答によりアンガーマネジメントに成功し、今は特に怒ってはいない。 

カグツチは取り出した樹の実をポッケに入れた。

「ありがとー。じゃあ作成を立てようか。急いで。とその前に」

シューがハワーの方を見る。

「君はどっちにつくー?」

しゃがみ込んでハワーに質問する。

「………え?」

「僕たちと大臣どっちがいい?」

シューはニコリと笑う。

「えーっと。何がですか?」

「僕たちと大臣どっちの味方?」

自分が敵であるというカミングアウトと、周りには敵しかいない状況、そしてハワーの生存本能から導き出される答えは1種類であった。

「………王子に協力させていただきます。」

ハワーは渋々了承した。

「ありがとー。じゃあ、作戦を考えて急ぎ救出しにいきましょー!」

おー。とシューが1人腕を上に突き上げる。

ラムチがトリトンに近づき耳打ちする。

「中々愉快な方ですね。緊急事態でしょうに」

「………でもきっと悪い人ではないとお思います」

辺りには

緊急事態とは思えない少しゆるふわな雰囲気が流れていった。




一方その頃

パーズことパズズ、ヒーポことヒッポグリフ、そしてケールの3人は馬車に乗って移動をしていた。

3人が乗っている馬車の周りには、囲うように他の馬車が移動している。

その異常なほどの包囲で馬車の他の風の国の兵士が祝勝ムードとは言えない警戒を向けていることに3人は気付いていた。

パズズが魔剣は持っており、3人は水の魔剣を眺めていた。

「魔剣を奪ったのにこの警戒ムードは悲しいな。」

「そうだな。王様と姫も他の馬車に乗せられたからな。」

「お前俺たちにも敬語で喋らんのかよ」

「馬鹿。何でお前にまで敬語で話してやる必要があるんだよ。ケルピー」

ケールと名乗っていた男はケルピーと呼ばれている。

「しかし魔剣手に入れたんだし。ここ壊滅させて逃げてもいいんじゃ」

「あぁ。正直ここを壊滅させてもよかったんだが」

パズズは話した後に水の魔剣を軽く振るが、何も出ない。

同じくして風の魔剣も振るが何も出ることはない。

「この通り。魔剣からは何も出ない。」

ケルピーは頭を抱える。

「おいおいおい。せっかく魔剣を手に入れたってのに。使い方があるのか。」

「そうには見えない。トリトン王子とシュー王子はバンバンこの魔剣を使って戦闘していた。」

「そんな………」

「何かしら理由があるだろうが見当もつかないな。」

「くそ」

「今俺たちはかなり警戒されているようだ。まぁ風の魔剣を持っているからな。この人数相手だと全員無事に魔剣の無事にはリスキーだ。大人しく国に戻らざるを得ないだろう」

「………苦労して手に入れた魔剣だってのに。」

「………そうだな。」

「しかしあの大臣信用できるのかよ?絶妙に胡散臭いぜ」

「そうだな」

「そもそも俺たちをどうやって見つけてきたんだ?」

「そうだな。風の国に潜入して魔剣の調査をしているところを急に声をかけられた。かなりコソコソしていたつもりだったが、俺たちラグナロクにどうやって繋がったのか見当もつかん。だが奴は少なくとも裏の世界には精通しているだろう。少なくともクリーンな人間ではないな。」

「見るからにあいつ腹は黒そうだもんな。風の魔剣は返しちゃうのか?」

「あぁ。一応な」

「あーくそ。勿体ないな。折角の魔剣が。」

「大国との対立はボスが望んでいない。極力命令には従うべきだ。まぁ最終的にはあれだがな。」

「そもそもあいつ正直に返してくれるか?」

パズズとケルピーが会話する中で、ヒッポグリフが違和感ありげな顔をしている。

その表情にパズズが気づく。

「おい。ヒッポ。どうした?」

「いや。何でもない」

「小さなことでもいい。何かあったか?」

「………シュー王子たちを斬った時、斬った感覚がしなかった。」

「………何?どうして言わなかった」

「いや。急いでると思って。でも血しぶきも上がったから気の所為かも。」

「………まぁ生きていたとて魔剣がなければ何かすることは出来ない………か。」

「ごめん。」

「いや。俺も早く聞くべきだった。すまん。とはいええ」

一同は水の魔剣を見る。

「この魔剣さえあれば俺達は更に上に行ける。あの魔女が魔剣と引き換えにかなり上げてる。だから俺たちも今回魔剣を持ち帰って序列を上げるぞ。」

「あぁ。長い魔剣調査にもこれで終わりか。」

「あぁ。もうあと一歩だ。このまま駆け抜けるぞ」

おー!!!とケルピーとヒッポグリフの2人も拳を上に突き上げた。

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