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風の国編3話

クリオネッタ王国を出発してから早2日。

一同は途中で休息を挟みつつ、広大な草原を進んでいた。

草原には心地よいというにはほんの少しつよいくらいの風が吹いている。

草原には馬車を連れた行商人たちが転々と存在し、いろんな方角に進んでいた。

馬車の操縦はキツネ顔の男フロマが担当し、それ以外のメンバーは馬車の中にいた。

「しかし今回の旅は平和ですねぇ」

「前回は何かあったのですか?」

ラムチのつぶやきに、ハワーが反応する。

「前回は盗賊に襲われたんですよ。あらやだ恐ろしい」

「なるほど。明るい内は転々と商人が通っているのと、兵士が商人に扮してパトロールもしているので、レアスサイドは比較的安全かと」

「あら。良いですね。」

「行商人もかなりいるので、食料なども基本困ることはないでしょう。」

「行商人から道の途中でスイーツも買って皆で食べましたもんね。美味しかったわドライマンゴー。姫様もご満悦だったし」

少し前に姫の口元にドライマンゴーを持っていくとそれを食べて、少し表情が緩んでいたのを思い出す。

トリトン、アエリが並んでドライマンゴーを食べている。

「そういえばハワーさん」

「何ですか?」

「レアスサイドには有名なスイーツはありますか?」

「レアスサイドですか?」

「えぇ。ドライマンゴー以外にも何かあればと思って。」

「うーん。あまり自分は甘いものには詳しくなく………」

談笑をしていると急に馬車が止まる。

慣性で一同前に倒れそうになる。

「何かあった?大丈夫?」

トリトンが声をかけつつ馬車の外に出る。

カグツチはロスカの側で警戒している。

馬車の外では何やらざわざわとしている。

「何かあったのかしら?」

「あ、私も!」

「あ、はーい!」

アエリの車椅子を押してラムチも外に出ていった。

ハワーもそれに続いて外に出ていき馬車の中にはカグツチとロスカだけが残った。

「カグツチごめん!カグツチも来てくれる?困ってる人がいて!」

トリトンの呼びかけにカグツチもロスカの車椅子を押して馬車の外へ出ていった。

馬車の外に出ると、自分たちの馬車の前でまた別の馬車が立ち往生していた。

どうやら馬車についている車輪が外れてしまっているようである。

外にはの男性が馬車から出てきていた。

恐る恐るその集まりに近づいていく。

「ごめんカグツチ。この人達の馬車が壊れて立ち往生してるみたいで。」

「すみません。学校の仲間と旅行中で。」

集まりの一人のにこやかな金髪一礼する。

もう一人の茶髪は申し訳なさそうに一礼し、もう一人の黒髪の少年がぶっきらぼうに一礼した。

「車輪が外れてしまってますね。」

ハワーが馬車の下部を見つめて話す。

「困りましたね。行商人は歩いてても、職人は歩いていないかも。」

一同はうーんと悩んだ表情を浮かべる。

「ひとまず街に行って職人を呼んできますか?」

「街までそれなりに時間がありますし、タイムロスが………」

渋るハワーを尻目にカグツチは考える。

「あの、馬車の車輪の接合部って金属ですか?」

一同はカグツチの方を向く。

カグツチはポケットから樹の実を取り出し手のひらに乗せる。

「自分の魔法で金属を溶かせれば、外れた部分を繋げて………」

カグツチの手のひらに火が灯るが、その日は一瞬で消えてしまう。

「おい」

誰かが声をかける。

黒髪の少年が手をカグツチの方へ向けて睨んでいた。

「この草原で火は危ないだろ。風でその火が飛んだらどうするんだよ?」

黒髪の少年が気ダルげに話す。

カグツチ達一行は急に火が消えたことに驚き、黒髪の少年を見つめる。

「ごめんなさい!こいつ魔法使いなんですよ!ザグ!言い方言い方!」

金髪の少年がすかさずカグツチと黒髪の少年の間に入る。

プイッと黒髪の少年はそっぽを向く。

「いやーごめんなさい引き止めてしまって。何とか押して街まで行くのでお気になさらず」

「押してくなら手伝いますよ!」

「えぇ?押して街までだととんでもない時間が………」

「お気になさらず!足のトレーニングにもなりますし!」

金髪が残りの2人に目を向けるが、茶髪は嫌そうな、黒髪の少年は相変わらずそっぽを向いていた。

「あのー」

そんなやりとりを見ていたラムチが気まずそうに声をかける。

「釘とかって持ってます?私多少の修復の心得はありますので。あっ」

偶然近くを行商人が通りかかり、ラムチが走って近寄る。

そして帰ってくるといくつかの釘と金具を持っていた。

「これで繋げちゃいましょうね。」

そしてラムチは驚くべき手際の良さで釘と金具とどこからともなく取り出した工具を持って馬車を修復していく。

そんな後継を一同はポカンと眺めていた。

トリトンがカグツチに近づき小声で話しかける。

「………ラムチさんって何でもできるの?」

「………多分?」

「すみません。ありがとうございます。」

金髪と茶髪がペコリペコリと頭を下げる。

黒髪の少年はラムチの手際を眺めていた。

「そういえばあなた方は何をされてる方なのですか?見たところ色々と装備を持たれているようですが」

答えようとするトリトンを手で制し、ハワーが回答する。

「すみません。守秘義務がありまして………。通りすがりの兵士とでも」

「なるほど。だから馬車の修復等もお詳しいのですね。」

「まぁ………はい。」

トリトンが3人に話しかける。

「ところであなた方は?」

「あぁ。僕たちはヘリオローブの魔法学校に通ってる学生です。しばらく休みなので今日は旅行に………」

「!」

カグツチは魔法大国ヘリオローブのことを思い出す。

「ヘリオローブって魔法大国の?」

「えぇ。ヘリオローブで一番の魔法学校に通ってるんです。」

カグツチが金髪の少年に詰め寄り肩を掴む。

「ヘリオローブに!魔法を解除できる魔法使いはいますか?」

急なことに困惑して戸惑う金髪。

戸惑っている中でカグツチの眼前に剣が迫ってきたため、咄嗟に避ける。

剣の方向を見ると、黒髪の少年が剣を構えていた。

黒髪の少年は金髪の少年の前に立つ。

「おい。いきなり何だよ?」

トリトンが咄嗟に二人の間に入る。

「ごめんなさい!ちょっとヘリオローブで魔法解除が得意な魔法使いの方を探してて!」

黒髪の少年の少年は警戒を止めない。

茶髪はアワアワとしており、金髪は必死になだめてる。

「落ち着いて。俺は大丈夫だから。」

黒髪の少年は深くため息をついて剣をしまう。

その後カグツチが深く頭を下げる。

「突然の非礼本当に申し訳ございませんでした」

黒髪がフンとそっぽを向く。

「あ、いえ。お気になさらず。えーっとうちの学校には優秀な先生がたくさんいるので、多分分かる人もいるかと。ヘリオローブに来ていただいたら紹介しますよ。ヘリオローブ魔法学校に来たらフォスを呼んでくれとお伝えください。」

「………すみません。ありがとうございます」

カグツチが深く頭を下げる。

「はーい。馬車直りましたよー」

馬車を見ると外れていた車輪が無事にくっついていた。

「おー!本当にありがとうございます!」

フォスと茶髪の2人はテンションが上がり、深く頭を下げる。

黒髪は軽く会釈程度に留まる。

「いえいえ!応急処置なので街についたらちゃんと職人さんに直してもらってくださいねー。」

「本当にありがとうございます!」

2人は直った場所へと走って向かっていく。

「本当にありがとうございました!」

黒髪の少年は馬車に戻る前ににトリトン達に目を向ける。

そして目線の先ににトリトンの腰につけた魔剣が入る。

一瞬唖然とした表情を浮かべた後にトリトンに詰め寄り肩を掴む。

「おいあんた!その剣!」

一瞬遅れてトリトンが反応する。

「え?あぁこの剣?かっこいい剣でしょ?」

「その剣どこで………?」

黒髪の少年が魔剣に触れようとするので、その手をカグツチが掴んで止める。

その後アエリが車椅子で凄い勢いで間に割って入り、一同は避ける。

アエリは黒髪の少年の方を向き、警戒の表情を浮かべる。

「ちょっと何ですか?」

「アエリ。大丈夫。じゃあ自分たちもこれで。お気をつけて。」

トリトンがアエリの馬車を押して戻っていく。

だが黒髪の少年の少年の目線はトリトンの腰につけた魔剣にあった。

その目線を見逃さず、カグツチは警戒している。

「おーいザグ!早く行こうぜ!」

「………」

金髪の声がけに、黒髪の少年の少年は振り向いて馬車へと走っていった。

その後カグツチ達も馬車へと戻っていく。

馬車へと戻る途中トリトンの目線に大きい塔が遠くに映る。

「ハワーさん。あの塔は?」

「あまり詳しいことは分からないのですが、大昔に軍が見張り塔として使っていたという言い伝えです。ただ今はもうほったらかしですね」

「なるほど。ありがとうございます。」

一同は馬車に乗り込んだ。

「人助けも済んだし、と言ってもラムチさんがに全部解決してもらったけど………風の国に向かいましょう!」

馬車は再び風の国を目指して進み始めた。

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