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風の国編2話

一同はクリオネッタ王国城内の作戦会議室に集まった。

それなりに広い作戦室だが、人の多さでかなり閉塞感を感じる。

そこで一同は今後の作戦について話し合う。

まず街の防衛については5班に別れ、当番制で休息等を取りながら警備をすることに決定をした。

そちらが決まり次第、ハッセルを除く風の国に向かう者たちは作戦室から出て各々の任務へと向かっていった。

そして風の国に向かう者たちだけが作戦室に残った。

しかしこの場で話し合えることもほとんどなく、一同は風の国に向かうための大まかな経路だけを決めた。

「じゃあまた明日」

「あ、爺さんだけちょっといい?」

解散の直前にカグツチがハッセルに声をかける。

「あらあら。内緒話?」

「すみません。爺さんと話したいことがあって」

「はーい!じゃあ宿舎に案内しますよー!ベッドメイキングもしないとですねー。お料理もしないと。忙し忙し」

ラムチはイキイキとした表情でスタスタと軽やかなステップで歩き出す。

明日レアスサイドに向かう5人がついていった。

アエリの車椅子はトリトンが押していった。

そしてこの場にはカグツチ、ハッセル、ロスカの3人が残った。

少しの沈黙を場が包む

「………改めて長旅ご苦労だった。………長旅明け早々すまないな。」

「いや。大丈夫。………姫のことを少しでも早く元に戻したいから」

「そうだな」

「………ねぇ爺さん」

「何だ?」

「強くなるためにはどうしたらいい?」

「?」

カグツチは水の国でのコカトリスとの一戦のことを思い出し複雑な表情を浮かべる。

カグツチはコカトリスとの戦いで一度気を失っている。

つまりそこで姫を襲われてもおかしくはなかった。

結果的に倒すことには成功しているが護衛としての役割を果たせていたかどうかカグツチは疑問に感じていた。

「俺水の国での戦いで一度気を失ったんだ。その間に姫が襲われてもおかしくなかった。」

「そうか」

「トリトン王子とも手合わせをしたけど実戦なら負けてた。氷の魔女みたいなやつが今度いつ来るかもわからない。だからもっと強くなりたい。」

「何にやられたんだ?剣術か?魔法か?」

「相手の魔法にやられた」

ハッセルは顎に手を当てて考える。

「これは老いぼれの知恵だが、魔法使い同士の戦いにおいての戦い方は2つだ。1つは相手の魔法をじっくりと分析した上で戦う方法、もう1つは初見殺しの技で相手に何もさせずに制圧する方法。この2つについてはお前も理解しているな?」

「うん。爺さんの教えの通り両方考えるようにしてる」

「俺が考えるに、1つ目は出来るに越したことは無いが、どんなに分析力があっても完璧は難しい。初見殺しの技を打たれれば分析もままならんからな。」

「うん」

「だから取り急ぎであれば2つ目を鍛えろ」

「2つ目………。技を鍛える方法」

「お前の魔法は触れたものに火をつける魔法。応用力はピカイチだ。様々なことが出来る。様々な技を考えて試すことだ。技のレパートリーは強さに直結する」

カグツチは自分の戦い方を思い出す。

基本的に今までのカグツチの戦い方はは相手の物を触れて燃やすか、火のついた樹の実を投げるかの2択である。

「お前の任務は姫を守ること。不意打ちでも卑怯でも何でもいい。技を鍛えて姫を何としても守れ。姫の脅威は全力で排除しろ」

「分かった。色々考えてみる」

「他は大丈夫か?」

「大丈夫」

「よし。では先に行った者たちに合流するとするか。」

カグツチ達は先に行ったラムチ達を追いかけていった。


その夜ラムチ特製の料理が水の国の一同に振る舞われた。

一同は大食堂に集まる

テーブルに並ぶ具沢山のシチューやパン、肉団子など様々な献立に一同は目を輝かせる。

「わぁー美味しそう!」

トリトンが無邪気に料理を眺める。

そんな一同を微笑ましそうに嬉しそうにラムチは見ていた。

そんなラムチの隣にハッセルが来る。

「よく作ったな。この人数分の料理を」

「私を誰だと思ってるのよ。」

「我々も手伝うと言ったのに一人で作るとは」

「血が騒いじゃったのよね。メイド長の血が」

えへへと笑うラムチ」

「ていうか私またいなくなるけど料理は大丈夫そ?人数がたくさんだけど」

「俺が作る」

「えぇ~?爺さんが?」

「うるさい」

「あんた料理出来たっけ?」

「盗賊の奴らには何回か振る舞った。」

「感想は?」

「味が濃いらしい。盗賊の分際で飯に文句を言うなと殴ってやった。」

「わぁ〜。これぞ男飯」

「水の国の方とも相談はして進めていく」

「これもう食べて良いですか?」

ハッセルと談笑するラムチにトリトンが問いかける。

「えぇ。いいですよ」

「ちょっとお待ちください。まずは私が毒見を」

アエリが仏頂面でスプーンでシチューを掬い口に運ぶ。

一口食べた後に表情が和らぎ、無心でシチューを2口目とパンを一口食べる。

トリトンとラムチはその食べ姿を微笑ましそうに眺める。

「美味しい?」

「お口には合いそうかしら?」

アエリはハッとして仏頂面に戻し、トリトンに話す。

「………毒は入っていなさそうです」

「美味しいんだね!ありがと!いただきます!」

「美味しいとはひと言も!」

いただきまーすという掛け声とともに一同は食事を口に運び出す。

美味い美味いといいながら食べる者、一心不乱に貪る者。

それぞれが三者三様の反応を見せながら美味しい料理をいただいた。

トリトンの近くに座っていたカグツチは少し恥ずかしそうに、隣に座るロスカにシチューとパンを食べさせている。

熱々のシチューになるので、少し掬ってからその場で時間をおいてからロスカの口に運んでいた。

シチューを食べたあとロスカの口が若干緩む。

トリトンとアエリはそんな姿をニヤニヤと見ている。

また同じくしてその場面をハッセルとラムチが見ていた。

「カグツチが食べさせているのか。」

「えぇ。カグツチに練習させてるの。護衛たるものご飯を食べさせるようにならなきゃって」

「護衛の仕事なのか?それは」

「まぁいいじゃないの。」

ラムチは一度掬って空中で冷ましているカグツチの姿をみる。

「フーフーくらいしてあげればいいのにねぇ。あ、ベッドメイキングとか入浴の準備もしておかないと」

「おい」

「何?」

「お前は食ったのか?」

「仕事してから食べるから大丈夫よ。よーしお仕事お仕事」

「すまないな。あまり無理はするなよ」

ハッセルの言葉にラムチは問題無いと言わんばかりに片手を上げる。

そしてイキイキとした表情を浮かべて宿舎の方へと走っていった。

その後一同は美味しい食事を堪能したあと、入浴して身体を癒し、ぐっすりと眠る。


そして夜が明けた。

カグツチたち風の国に向かう一同とハッセルはクリオネッタ王国の北の入り口に集まった。

辺りには兵士たちが見送りに来ている。

王国の入り口には馬車が既に準備されており、一同は馬車に乗り込む。

そして出発にあたりハッセルが声をかける。

「気をつけてな。」

「水の国の皆さんに迷惑かけないようにね爺さん!」

「うるさい」

ラムチの茶化しにハッセルが不機嫌そうに返答する。

「じゃあ行ってきます」

お見送りの水の国の兵達が頑張れと手を振る。

そしてカグツチたちを乗せた馬車は出発し、風の国へと向かっていった。

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