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十国十魔剣伝  作者: 禄之羽礼
水の国編
28/30

水の国編23話

飛び去ったタコ男と鳥男、そしてゴーレムとコカトリスは何処か薄暗い城の中を歩いていた。

「全く。お前らなんでそんなに無茶したねん。」

「フォー!!!」

鳥男は落ち着かない状態で周囲をキョロキョロしている。

「気持ちは分かるけども、ちょっと厳しく怒られるかもやから覚悟はしとけよ。部屋入ったら報告やぞ」

ゴーレムとコカトリスは不服そうに俯いている。

そして大きな扉の目の前まで到着し、そこを開けると大きな楕円テーブルの周りにいくつも椅子が敷き詰められており、そこには10名ほどのメンバーが座っていた。

その中には氷の魔女もおり、氷の魔女は魔剣を傾け、首を動かし、いろんな角度から魔剣を眺めていた。

そのメンバーの数を見てタコ男はつぶやく。

「今日はまあまあ少ないな」

「あらクラーケンにグリフォン。おかえりなさい。」

「あぁ。ただいま。」

「フォー!!!」

氷の魔女が挨拶をして、タコ男ことクラーケンとグリフォンこと鳥男は返答する。

しかし氷の魔女以外のメンバーは意にも介しておらず、ピリついた空気がその場を支配する。

「ほら。報告しいや。難しかったらこっちで報告したる。」

クラーケンはゴーレムとコカトリスに促す。

「………水の魔剣の強奪任務に失敗しました。魔剣はチューン王国の王子のトリトンに渡っています」

「おう。」

場の空気が更に一気に重くなる。

氷の魔女以外のメンバーの冷たい睨みがゴーレムたちを襲う。

そして氷の魔女はやたらと大人しいゴーレムとコカトリスに気づき、立ち上がって近づき、絡みに行く。

「ゴーレムとコカトリスは特に何も持って帰ってこれなかったのね。残念残念。」

「………」

ゴーレムは悔しそうに唇を噛む。

「単独行動するなら私みたいにちゃんと奪わないと。」

魔剣を目の前で見せつけるように振る。

それを見てゴーレムは悔しそうに震える。

コカトリスも無念の表情を浮かべている。

「各地にメンバーが潜入してるからよかったものを、もし捕まってたら処刑されてたかもしれないのよ」

「………」

ゴーレムは歯を食いしばり、拳を強く握る。

そんな姿をクラーケンは同情の表情で眺めていた。

隣りにいたグリフォンは変わらず落ち着かない様子だった。

「そもそもあんたたちじゃ」

「おい。その辺にしといたれ。この後否が応でも絞られるんだから。」

氷の魔女が言い終わる前にクラーケンが口を挟む。

「まぁそうね。これに懲りたら次からは単独行動は控えることね。私が言えたことじゃないけど」

「おい。次なんてないだろ。」

椅子に座っていた太いヘビのようなモヒカンヘアー勝つ長いポニーテールの男が立ち上がる。

「序列付きのメンバーや。絞って反省すればいいやろ。ボスだって望まん」

「序列って言ったって96位と99位のカスじゃねーか。そんなのここにはいくらでもいるぜ」

「あんたも序列で言ったら82位だしどんぐりじゃない。バジリスク」

「あぁ!?」

ヘビのようなモヒカンことバジリスクは怒った様子で氷の魔女へと詰め寄る。

「てめぇ今何つった!?俺の魔法はな!」

すかさずクラーケンが仲裁にはいる。

「まぁまぁ落ち着けや。やらかした時はこの場にいる序列付きメンバーで処遇を決める。それがルールやろ」

「そんなの決まってるだろ!洞窟に放置で1番取りやすい水の魔剣がコイツラのせいで全部パーだ。水の魔剣の防衛体勢は厚くなって、まーたから計画練り直しだ。おいどうしてくれんだコラ?」

バジリスクはゴーレム達にガンを飛ばす。

それを手を出して制止するクラーケン。

「まぁ起きたことはしゃあないし、反省して次に活かしてもらう他ないやろ。コイツラの魔法もなかなか使えるし」

「あぁ?」

バジリスクはゴーレムに目線を向ける。

「お前の魔法は?」

「………岩を自由に操れる」

バジリスクは鼻で笑い、嘲笑するような目線を向ける。

「そんなカス魔法。うちにはいくらでもいるんだよ。」

「兄貴を馬鹿にするな!」

コカトリスが顔を上げて怒る。

「お前の魔法は?」

怒っていることに異を介さずに質問をするバジリスク。

「俺は見たものを石に変えるでいし!」

「ほう」

バジリスクは興味深そうな目線を向ける。

「お前は面白いかもな。」

バジリスクは後ろにいる、他メンバーたちの方を向く。

「おいお前ら。単独行動の責任は俺に一任でいいか?」

しかし問いかけには誰も反応しない。

「反応しないってことは全員OKってことだ。多数決で決まりだな。報告したうえでの判断だからな」

「おい」

クラーケンは不服そうな表情を浮かべる。

それを意に介さずに、再度ゴーレムとコカトリスの方を向く。

「さて。この魔剣の失敗の重罪どう償わせようか。」

「ねぇ」

氷の魔女が口を挟む。

「殺しは駄目よ。取り返しがつかない。」

「あぁ?何で」

「じゃないとあんた凍らせるよ。」

「………ちっ」

バジリスクは大きく舌打ちする。

「まぁいいや。おい岩野郎。」

そう言ってゴーレムに目線を向ける。

「お前だよ。岩魔法の。俺を見ろ」

ゴーレムは顔を上げて、バジリスクと目が合う。

すると一瞬にしてゴーレムは石像に変わってしまった。

身につけているものは石に放っておらず、体だけが石となってしまう。

物言わぬ石人形と化したゴーレムを見て、一瞬状況が飲み込めず沈黙するコカトリス。

しかしすぐに状況を理解し、顔を悲しみと怒りで歪める。

「兄貴いいいいいい!!!」

目から涙も流れている。

その後表情を変えずにバジリスクの方向を見ると、バジリスクの身につけているものが一瞬にして石に変わってしまう。

しかしバジリスクはそれを意にも介さずに、自分を観ながら一直線に突っ込んでくる相手を見る。

すると一瞬にしてコカトリスの体は石へと変貌した。

走って向かう体勢のまま石で固まってしまった。

同時にバジリスクが身につけていたものも、石から元の姿へと戻る。

その光景を冷ややかに氷の魔女は見ていた。

「あんた。これ解除できるんでしょうね?」

「あぁ?めんどくせえなぁ。出来るよ。ほら」

バジリスクがコカトリスを凝視する。

するとコカトリスの石化は解ける。

そしてコカトリスは状況を留めないまま前のめりに倒れ、すぐに起き上がる。

「今何が」

「俺の魔法だよ」

「!!!兄貴を元に戻せ!!!」

コカトリスは再度突っ込んでくる。

しかし再度バジリスクはコカトリスを凝視し、コカトリスは石像に代わる。

「これで処刑完了だ。おい誰か!こいつを牢屋まで運べ!」

しかし周りのものは誰一人として反応しない。

辺りにシーンとした空気が流れる。

「ちっ」

そう言って2つの石像を抱えると、バジリスクは部屋を出ていった。

「………」

クラーケンは少々不満そうに、氷の魔女は冷ややかにその姿を眺めていた。

「あぁそういえば。」

氷の魔女が口火を切る。

「今日は今ここにいるメンバーで今後の魔剣強奪について会議するっぽいわよ」

「………そうか。分かった。」

そうして3人は椅子へと向かい、腰を掛けた。

静かであるが、やたらとピリついた空気がその場を支配していた。

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