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十国十魔剣伝  作者: 禄之羽礼
水の国編
18/30

水の国編13話

「ふぅ。これでいっちょう上がりでいし。これは奥の手でいしから誇っていいいしよ」

カグツチは倒れたまま空を見上げていた

そんな様をクリオス達が見ていた。

クリオスは口的を押さえる。

「そんな………。………あの人強そうだったのに………………僕一人で勝てるのか?兄さんでも勝てなかったのに………。やばいよ………。どうしよう………。………超要人だよ。………守れるのかな………」

クリオスがブツブツとつぶやいている。

コカトリスはそんなクリオスたちの方を向く。

「安心するでいし!そっちが来なければこっちも手は出さないでいし!僕は平和主義でいしから」

クリオスは少しの間のあとに胸を撫で下ろす。

「ほっ………トリトン様………早く………」

「ちょっと!」

ラムチがクリオスの背中を叩く。

「何ほっとしてんの!あともう少しよ!」

「えっ………?でも………あの人向かわなきゃ反撃しないって………」

「ここまで2人が削ってくれたんだから美味しいところ持っていきなさいよ!カグツチー!後はクリオスさんが何とかするから!ゆっくり休んで!よく頑張ったわねー!」

「………ちょっ!勝手に何を!僕は貴方方を守らないと!」

「じゃあ私が行くわ!」

「いや!勝ち目ないですよ!」

「じゃあ2人で行きましょ!」

「死んじゃいますよ!」

「2人と行きましょうよ!ここまで繋いでくれたんだし!」

「トリトン様に任せましょう!帰ってきたら絶対倒してくれますから!」

カグツチはその喧騒の中、空をぼーっと見上げていた。

ボロボロのカグツチは河川敷に跪く。

カグツチは首より下が石となっていた。

周りには石にされたゼストス、クリオス、ラムチがいて、その石像に囲われている。

そしてカグツチの目の前には車椅子に乗ったロスカ。

その眼前にはローブを着た男がいた。

その男はロスカの顎に手をかける。

「お前僕の嫁にならないでいしか?」

しかしロスカは何も答えない。

「ちっ!つまらない女でいしね」

コカトリスは勢いよくフードを脱ぎ捨てる。

(やめろ)

カグツチの体はびくとも動かない。

コカトリスの目が光る。

(やめろ………)

ロスカの身体がみるみる石へと変化していく。

(あ、あぁ………)

そしてロスカの全身は石へと変化した。

カグツチの目から光が消える。

その横に石像と化したハッセルが現れた。

その姿を見てハッセルの言葉を思い出す。

「魔剣も魔法も人が作り出したものだ。同じ人間である俺たちに解除できない道理はない」

(あぁ。そうだ)

カグツチの目に光が宿る。

(魔法による石化なら、それを解除できない道理はない。諦めなければ………)

しかしその思いは泡沫に消える。

ロスカの目の前に剣を持ったコカトリスが立つ。

「俺の嫁にならないやつは!」

コカトリスはいつの間にか剣を持っており、構える。

「こうでいし!」

そして剣を思い切りロスカの石像めがけスイングする。

カグツチの目から光が消えて、涙が流れ落ちる。

「あ、あぁ」

カグツチの眼の前には粉々に砕け散ったロスカの石像があり、わけも分からずただカグツチはその石像を見ていた。

石像に風が吹くと、一瞬にして砂となりそれが何処かへと流れ飛んでいく。

カグツチは現実を少しずつ理解し始める。

「可能性?頑張り?守れなかった………?あ、あ」

いつの間にか石化は解けていた。

カグツチの体は五体満足で傷一つない。

そんな自分自身の体を眺め、粉々になったロスカを思い出す。

「うわあああああ!!!!!!!」



カグツチは勢いよく起き上がる。

遠くから何やら喧騒が聞こえるが、カグツチはそれどころではない。

カグツチの眼の前にはコカトリスがいて、コカトリスは驚いた表情でカグツチを見ていた。

「………タフでいしねー」

カグツチは虚ろな目つきでコカトリスを見ていた。

「あぁ………姫………」

コカトリスは首を傾げ、怪訝そうな表情を浮かべる。

「………もう向かってこなければもうこちらからは攻撃しないから安心するでいし。僕たちの目的は魔剣でいしから」

カグツチの脳裏には粉々になったロスカの姿が宿る。

ヨロヨロと力無く立ち上がる。

「姫………」

コカトリスは呆れた表情を浮かべる。

「………もう勝ち目ないでいしよ。向かってこなければ危害は加えないでいしから。」

(危害?ロスカ姫を粉々にしたのに?)

カグツチの脳にその言葉が反芻する。

カグツチの眉間に皺が寄っていく。

そして落ちていた剣を手に掴む。

はぁと大きくため息をつくコカトリス。

「休んでおけばいいものを。分からないやつでいしね」

(休む?姫があんな目にあったのに?どの面を下げて?)

コカトリスの目が光り、剣が再び石へと変わる。

カグツチはヨロヨロと近づいていく。

「………最後通牒でいし。これ以上近づいたら反撃するでいし。倒しちゃうでいしよ」

(反撃?そっちから仕掛けてきた癖に?)

カグツチは眉間にシワを寄せて近づいていく。

コカトリスは大きなため息をつく

「はぁー。しょうがないやつでいしね。恨むなでいしよ!」

コカトリスが石を思い切り至近距離から投げつける。

石はみるみる内にカグツチの眼前まで到着した。

石が眉間に直撃する刹那、カグツチの脳裏に何やら声が響く。

「人は感情で動く。感情は人の動力源だ。お前は………」

声はだんだんと小さくなっていった。

何やらハッセルでもない知らない大人の男性の声が脳裏に反響する。

カグツチの眉間に向けてスローモーションで石が近づいていく。

(姫………守れなかった………また守れなかった………俺は無力、死ぬべき存在、せめて敵を)

カグツチは刹那コカトリスの姿が目に入る。

(あいつが殺した、姫を殺した、粉々にした、もう戻らない、姫の未来は、許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない)

カグツチの心が黒く塗りつぶされていく。

カグツチの額に石が直撃する。

眉間から血が線のように流れて片目に入る。

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!」

遠くで揉めていたラムチとクリオスがびっくりしてカグツチを見た。

コカトリスもビクッと体を震わせ、驚きの表情を浮かべる。

怒りの声を上げながらカグツチは殴りかかる。

コカトリス体を横に動かして躱す。

カグツチは前のめりに体勢を崩し、そこにコカトリスはカウンターで攻撃を加える。

しかし攻撃を意に介さず、カグツチは振り返り再び殴りかかる。

再び躱すも、すぐさま次の殴りが来る。

まるで自我を失った獰猛な獣のようにコカトリスへと襲いかかる。

コカトリスは額に汗を浮かべ驚きの表情を浮かべながら躱す。

「急にどうしたいしか!こいつ!」

「姫を!よくも!」

「は!?急に何でいしか?」

「殺す!!!殺す!!!」

「は!?怖いでいし!怖いでいし!」

カグツチは血走った目で、力に任せて剣を振るい始める。

眼力と勢い任せの攻撃に押され中々近づけず後退りを続ける。

(こいつ急にどうしたんでいし?訳わからんでいし)

コカトリスは困惑とうっすらと恐怖を感じていた。

コカトリスは足元の複数の小石をつかみカグツチの目に向けてへと投げつける。

その小石はカグツチの目に当たりカグツチは目を塞ぎ、一瞬動きが止まる。

「これでトドメでいし」

その隙を逃さず、手のひら大の石を持って殴りかかる。

砂利を踏む音が響く。

「音ぉ!!!!!」

カグツチは目をつぶった状態で再び剣を力任せに降り出した。

コカトリスはかろうじて躱すも、石の剣が鼻をかすめる。

カグツチは躱された後も虚空に剣を振り続けていた。

コカトリスは虚空に剣を振り続けるカグツチを見ていた。

冷や汗を浮かべて呟く。

「本当に何何でいしか」

「声ぇ!!!」

カグツチはコカトリスの方を振り向き石の剣を前のめりに振り抜く。

躱されるもその場でカグツチは剣を振り続けていた。

コカトリスに背を向けてカグツチは剣を振り続けていた。

コカトリスは口を塞ぐような仕草をする

(………多分目が潰されて音に反応してるでいし。)

コカトリスはカグツチの後頭部を見据える。

(静かに攻撃すればバレないでいし)

コカトリスは後頭部めがけて静かに近づいていく。

(本当に何何でいしか。恨まないでくれでいしよ。)

コカトリスはカグツチの後頭部へと石を振り下ろす。

しかしカグツチが振り向き、その振り下ろそうとする手を掴む。

カグツチは真っ赤に充血した目を見開いて、唸り声を上げながらコカトリスを睨みつけていた。

「ひっ!」

コカトリスはその光景に恐怖の表情を浮かべて咄嗟に振り払おうとするも、カグツチは剣を捨ててコカトリスの服に手をかける。

「死ね!!!」

カグツチがどすの聴いた声を上げると次の瞬間コカトリスの服がが勢いよく燃え始める。

「!?」

突然の炎上に驚くコカトリス。

「あっついぃぃ!燃えてるでいし!水!水ーーー!!!」

コカトリスはカグツチの手を振り払い、カグツチに背を向け急いで後ろの川へと向かう。

そして川の浅瀬に何度も寝転がり、炎を消そうとする。

その結果炎は無事消火された。

「ふーよかったで」

コカトリスはカグツチの方向を見るがそこにはもうカグツチはいなかった。

そして眼前に石となった折れた剣を持ったカグツチが走る。

「死ね!!!」

カグツチは大声を上げながら既に剣を振りかぶっていた。

防御態勢を取ろうとするも間に合わず、カグツチのスイングする石の剣が側頭部に直撃する。

そしてカグツチは思い切りその剣をスイングし切る。

同時にコカトリスはその衝撃で横に吹き飛んだ。

「いしーっ!!!」

そしてジャリジャリという砂利の音とともに、河川敷を転がる。

「い、い………」

コカトリスはヨロヨロと起き上がろうとする。

「いし………」

しかし起き上がることはできずに河川敷に倒れて動かなくなる。

その姿をカグツチはフラフラとしながら眺めていた。

石となっていた服や剣が元の材質へと戻った。

「………」

カグツチはフラフラとコカトリスへと近づいていく。

何やらカグツチの遠くから朧気に大声が聞こえる。

そしてコカトリスの目の前まで立ち止まり、無言で剣を振り上げる。

絶えず大声はやまない。

カグツチは少し耳を立てる。

「カグツチー!よく倒した!あんた凄いよ!でも殺しは駄目よ!」

剣を振り下ろす直前に声に気づきその方角を向く。

ぼやける視界にはそこにはクリオスと、そしてラムチが車椅子に乗ったロスカ姫を押してこちらへと駆け寄ってくる姿が見えた。

カグツチは剣を地面に落とす。

(………あれ?………姫?………どうし………て?)

カグツチはガクンと膝から崩れ落ちる。

そしてそのまま横に倒れ、状況が理解できないまま意識を失った。

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