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十国十魔剣伝  作者: 禄之羽礼
水の国編
11/30

水の国編6話

一同は城の中を進んでいき、訓練場に到着する。

訓練場には多くの兵士が剣を振ったり、格闘術などの訓練を行っていた。

100名を超える兵士たちが訓練上で汗を流して鍛錬に励んでいる。

王国内もかなり湿度は高かったが、訓練上の中はそれよりも湿度が高く蒸し暑い。

実際訓練中の兵士たちも大粒の汗を汗をかいている。

「さてと」

トリトンは入り口付近に置いてある木刀入れから訓練用の木刀を2本手に取る。

「やりますか」

「ちょっと待ってください。なぜ手合わせを?」

「カグツチの実力を確かめたくてさ。危険な任務になるから。作戦についてこられるだけの実力があるかどうか」

トリトンは木刀をもう一本手に取り、カグツチに向けて投げる。

カグツチはその木刀を受け取る。

その後トリトンが耳元に近づき耳打ちする、

「アエリがちょっと納得行ってなさそうでさ。ごめんよ。ちょっと付き合って。」

手を合わせてお願いをする。

「………分かりました。」

「ありがと。姫様の護衛の力を見せてもらうとしようかな。ごめーんみんなー。今から手合わせするからちょっと」

トリトンが声を掛けると訓練していた人達が全員訓練場の端に寄って行った。

兵士達はカグツチを見てザワザワとしている。

「誰だ?」

「あの服はクリオネッタ王国の?なぜここに」

喧騒には目も暮れず、トリトンとカグツチは訓練場の中央まで歩く。

その姿を眺めているラムチとアエリ。

ロスカは変わらず虚空を眺めている。

「アエリ様?」

ラムチが気安く話しかける。

「………気安く名前を呼ばないでいただけますか?私にはウーホスという名字があるんです。先ほども言いましたよね?クリオネッタ王国の方は人の話も聞けないのですか?」

「まぁまぁ仲良くしましょうよ~。私年頃の女子とお話しするのが生きがいなのよ。」

アエリが分かりやすく聞こえるように大きくため息を吐く。

「申し訳ありませんが、私はあなた方とおしゃべりする気はありませんので。」

「トリトン王子ってお強いの?カグツチもかなりの実力者ですから」

その言葉を聞いて鼻で笑うアエリ。

「カグツチさんが実力者?自分の主君も守れかったのに?一体どんな実力があるのですか?トリトン様は強いです。この年で隊長を務められるほどです。剣の腕も魔法の腕も一流。もうすでにチューン王国内で5本の指には入る実力者です。お強い上に優しさも兼ね備えております。主君も守れないような野蛮な方では人間性も実力も到底太刀打ち出来ないかと。」

「お話ししてくれてありがとう。愛が伝わってきたわ。よかったら恋愛相談のるわよ」

「愛?恋愛?」

一瞬呆けて、うっすら顔を赤らめる。

「!!!何か勘違いしてませんか!?私とトリトン様は主従関係です!家来が主君のいいところ知っているのは当たり前のことです!家来が主君に恋するなど………」

どんどんしりすぼみになっていくアエリを見てラムチはニヤニヤしている。

そんな話をしている内にカグツチとトリトンは訓練場の中央に到着する。

そして1mほど離れてお互いに向き合い真剣な眼差しで向かい合う。

「ルールはありますか?」

「そうだなー………。相手を戦闘不能にするか、参ったをさせるか、首か心臓に一発剣での攻撃が入れたほうの勝ちでどう?魔法も使用OK。ただし加減は考えること」

「分かりました。」

「コインを投げて落ちたら手合わせ開始で。えーっとクリオス!」

トリトンの目線の先には小柄で深い茶髪に、青いメッシュが入った少年が立っていた。

その横に同じ顔の小柄で深い茶髪に、赤いメッシュが入った少年も腕を組んで立っていた。

「は、はい!」

青いメッシュの少年が返事をする。

「急にごめん。コイン投げお願いしてもいいかな?」

「わ、分かりました!」

クリオスが訓練場の中央まで走ってくる。

「急にお願いしてごめん!走らないで大丈夫。ゆっくりでいいよ」

構わず走ってくるクリオス。

ある程度近くに来たタイミングでトリトンはコインをクリオスに向けて投げる。

クリオスは慌てて受け取ると、2人から少し離れた位置に立った。

「そ、それでは始めます。」

クリオスがコインを宙に放る。

そしてカツンという金属音とともにコインが床に落ちる。

落ちた瞬間にカグツチがトリトンの眼前に近寄る。

そしてトリトンの直前で軽く踏み込み、左腕の関節を目掛け左から右に木刀を振る。

トリトンはすんでのところ木刀を合わせ止める。

その後剣を切替し、今度は右腕の関節を目掛け右から左に剣を振るがそれも防がれる。

その後もカグツチは連続して右脚に左脚に右手、左手に木刀を振るって攻撃するが、いずれの攻撃も的確にトリトンが防いでしまう。

そんな攻防を眺めているラムチたち。

「トリトン様凄いですね。攻撃を的確に防いでる」

フフンと誇らしげに笑うアエリ。

「当然です。チューン王国の剣術は絶対防御の剣術です。トリトン様は剣の腕も一流なのです。」

「今ってどちらが優勢なのかしら?」

「チューン王国側の私にそれを聞きますか?トリトン様でしょうね。クリオネッタ王国の剣術は相手の動きを封じるためのものと聞いています。ただそれも当たらなければ意味はありません。」

「ふーん。押してるようには見えるのだけど。剣術って難しいのね。」

トリトンはカグツチの木刀を下に強く弾く。

そして木刀を持ったまま前のめりになっているカグツチに片手で木刀を突き出す。

何とか体を捻って回避するも、服に僅かに木刀がかする。

カグツチは一旦距離を取るために後ろへ下がった

「中々やるな」

「………」

トリトンの言葉に返答もせずにずっと見つめ続ける。

そしてジリジリと警戒しながら距離を詰めていき、剣先がギリギリ届くくらいの距離まで近づく。

そして一瞬で距離を詰め斬りかかるが、やはり防がれ、鍔迫り合いで拮抗した状態となる。

カリカリと木刀がぶつかり合う音が継続的に響く。何度か押して反撃を試みるり

しかし押し返しても、押し返しても、すぐに木刀を合わせるため、鍔迫り合いの膠着状態が続く。

その膠着を破ったのはカグツチだった。

カグツチがトリトンの膝より下を、押すように蹴る。

トリトンは脚を少し後ろに下げてよろける。

その隙にカグツチは左手で木刀を軽く触る。

「?」

その行動に疑問を思いつつも、すぐさま木刀が振り下ろされるのですかさずで受け止める。

トリトンがそれを上に弾くと、カグツチは後ろへ下がりまた元の距離へと戻った。

少しの沈黙と膠着の後口を開く音カグツチ。

「………1つ聞いてもいいですか?」

戦闘中の急な声かけに、木刀を構えつつ首を傾げるトリトン。

「うん。どした?一旦手合わせ止めたほうがいい?」

「いえ。大丈夫です。木刀は壊してしまっても大丈夫ですか?壊してしまわないかが心配なので」

ポカンとした後に笑うトリトン。

「大丈夫。消耗品だから。訓練で使ってても定期的に折れちゃうし。そこは気にしないで。カグツチって優しいな。」

「分かりました」

「よし!じゃあ仕切り直しで………ん?」

トリトンは右手に何やら熱を感じた。

そう思い視線を向けると木刀が勢いよく燃え上がっていた。

急な炎の出現に周囲のもの全員が驚きの表情と声を浮かべている。

「!?あっつ!」

火は持ち手の部分まで広がり、思わず木刀を落としてしまう。

それを見てすかさず距離を詰めるカグツチ。

(俺の魔法は触れたものを燃やすことが出来る。それに木刀は木だから燃える。以下に凄い剣士といえど、剣がなければこちらが圧倒的に有利………!)

近づきながら木刀を振るい、首元を捉える。

(獲った!)

しかし木刀の近辺で何故か急に大量の水滴が出現する。

水滴は木刀に向けて降り注ぎ木刀の炎は消えてしまう。

「なっ!?」

困惑しながら木刀を振り下ろすが、トリトンは落ちかけていた木刀を拾い上げトリトンの攻撃を受け止める。

カグツチは防がれた後、後ろへ飛んで再度距離を取った。

周りからはおーという声が聞こえ、アエリは何故だがドヤ顔をしていた。

木刀に降り注いだ水滴により地面に水溜りができたが、やがてそれは地面の水は白い煙のようなものになって空気へと消えていった。

カグツチは険しい表情を浮かべトリトンを見つめる。

「さて。」

トリトンが口を開くと濡れた木刀の水分が瞬く間に凍りつき、木刀が白くなる。

トリトンは剣を布で磨くように、手のひらで木刀をこする。

「ここからは魔法勝負と行きますか!」

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