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アストラル・エコー〜星樹の輪廻と光影の戦記〜  作者: 真毅
【本編】第1部

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廃鉱山の暗闇と奇襲

 結晶街道で合流した天馬騎士セリアを迎え、補給路の安全を確保した第7小隊に、新たな任務が下されたのはその直後だった。

 街道の北方に連なる山岳地帯――旧帝国の魔導廃鉱山が、帝国軍の別動隊によって占拠されたという凶報である。敵は坑道内に拠点を築いて街道への再侵攻を窺っているだけでなく、作業に当たっていた民や鉱夫たちを人質として坑内奥深くに監禁しているという。

 敵の補給路を断ち、囚われた人々を救出するため、アルスたちは森を抜けて現地へと急行した。


 廃鉱道の入り口を取り囲む原生林は、昼なお薄暗く、湿った土と腐葉土の匂いが立ち込めていた。黒々と口を開ける坑口の前に、第7小隊は足を止めていた。


「すぐ戻るからね、フェザー。いい子にして待っているんだよ」


 天馬騎士セリアは、愛馬である純白の天馬フェザーの首筋に両腕を回し、柔らかな白銀の羽毛に額を押し当てていた。フェザーは低く鼻を鳴らし、主の細い肩へ甘えるように温かい吐息を吹きかける。


 セリアは手早く鞍の革帯を緩め、背負い袋から乾燥させた薄切りの林檎を取り出すと、愛馬の口元へ運んだ。愛馬がしゃくしゃくと咀嚼する音を聴きながら、翼の付け根に走る筋肉の張りを、細い指先で丹念に確かめていく。


「狭くて暗い穴倉は、ボクたちには似合わない。……だけど、ここを通らなきゃ敵の補給路は断てないんだ。外の見張りは任せたよ。空の風をよく聴いていて」


 フェザーが短く嘶き、大きな翼を一度だけ小さく羽ばたかせた。風切り羽が立てる清冽な風が、森の淀んだ空気を払う。


 セリアは長槍を握り直し、坑口へと背を向けた。その蒼い瞳には、誇り高き相棒を地上に残していく痛切な寂しさと、騎士としての固い決意が宿っていた。


「アルス隊長、準備完了だよ。いつでも行ける」


「ありがとう、セリア。……行こう」


 黒い坑口へと一歩足を踏み入れた瞬間、外界の光は断ち切られた。


 冷たく、ひどく湿った空気が、露出した肌にねっとりと絡みついてくる。呼吸をするたびに、肺の奥深くまでカビと泥、そして長年澱みきった空気の臭いが入り込み、抗いようのない不快なざわめきを胸の内に引き起こした。


 二百年前の凄惨な戦乱期に掘削され、その後、不吉な言い伝えと共に完全に放棄されたという旧帝国の廃坑道。外界からの陽光を一切拒絶するその空間は、まさに絶対的な暗闇と静寂に支配されていた。


「……ひどい埃と、澱んだ空気ですね。それに、なんだかひどく息苦しいです。気のせいでしょうか」


 一列になった隊列の中央を歩く白魔導士のエレアが、愛用の杖の先端に小さな光の球を灯しながら、口元を白い布で覆って小さく呟いた。彼女の美しい亜麻色の髪も、このひどい湿気でわずかに重たげに沈み、本来の輝きを失っている。


「ああ。だが、この息苦しさは空気のせいだけじゃないな。天井が今にも崩れ落ちてきそうだ。岩盤そのものが泣いているような気がするよ」


 アルスは右手に掲げた松明を高く上げ、ゴツゴツとした粗削りの岩肌を照らした。第7小隊の隊長であり、若き聖騎士である彼は、小隊の先頭に立って慎重に歩みを進めている。松明の炎がパチパチと爆ぜる微かな音と、自分たちの厚い軍靴が水たまりや小石を踏み砕く音だけが、不気味なほど大きく反響していた。


 迷路のように入り組んだ狭い通路。岩壁には無数のひび割れが走り、太古の地殻変動の痕跡をまざまざと見せつけている。崩落の危険が常に付き纏うこの場所では、数歩進むだけで方向感覚すら容易に奪い去られてしまう。まるで巨大な地竜の胃袋に呑み込まれ、ゆっくりと消化されているかのような、圧倒的な閉塞感と重圧が一行の肩に重くのしかかっていた。


 アルスの胸元で、金色の鎖に繋がれた日輪のペンダントが歩調に合わせて微かに揺れ、鎧の胸当てとぶつかって小さな澄んだ音を立てた。行方不明となった父、レグルスが残していった唯一の品である。アルスは時折、無意識のうちにその金属の冷たさを左手で強く握りしめ、自らの心を繋ぎ止めるように深く息を吐いた。父であれば、このような過酷な状況でも決して歩みを止めなかったはずだ、と己に言い聞かせながら。


「おいおい、そんなに気を張るなよアルス。肩の力を抜けって。ガチガチに緊張してたら、いざ敵が出たって時に剣が振れねえぞ」


 背後から、重斧騎士のガウェインが豪快な笑い声を押し殺しながら、丸太のように太い腕から伸びる大きな掌でアルスの肩を叩いてきた。彼ほどの筋骨隆々とした巨漢ともなれば、この狭隘な坑道では常に頭上を気にし、背を丸めて歩かねばならない。ひどく窮屈そうだが、その歴戦の余裕を感じさせる大らかな態度は、張り詰めた空気を少しだけ和らげてくれた。


「わかっている、ガウェイン。だが、帝国軍がこの廃坑道を秘密の補給路として使っているという情報が本当なら、いつ、どこで敵と遭遇してもおかしくない。警戒を緩めるわけにはいかないよ」


「違いねえ。だがよ、こんなモグラの巣みたいな薄暗い場所でドンパチやるのは、俺のデカい斧にとっちゃちと分が悪いな。壁をぶち壊して生き埋めになっちまうかもしれねえ。……なあ、新入りのお嬢ちゃんも、さっきから随分と不機嫌そうじゃないか?」


 ガウェインの視線の先には、前回の任務からこの第7小隊に合流したばかりの天馬騎士、セリアの姿があった。


 セリアは、彼女の瞳と同じ美しい蒼色を基調とした軽鎧を身に纏い、手には鋭い銀の穂先を持つ長槍を固く握りしめている。しかし、彼女の表情は初陣の時に見せたような凛々しさとは裏腹に、明らかな苛立ちと戸惑いに満ちていた。


「……不機嫌にもなるよ。ボクの半身とも言える大切な相棒の天馬は、入り口の深い森に置いてくるしかなかったんだから。こんな狭くて暗い、身動き一つ満足に取れない穴の中じゃ、飛ぶことなんて到底不可能だよ」


 セリアの声には、自分の最大の本領を発揮できないもどかしさが強く滲み出ていた。大空を駆け、上空からの広範囲な索敵や、重力を味方につけた急降下攻撃を得意とする天馬騎士にとって、地の底を這うような廃坑道での任務は、誇り高き翼をもがれたも同然である。先程から、狭い曲がり角のたびに自慢の長槍が岩壁につっかえそうになり、その度に彼女は小さく、しかし鋭い舌打ちをしていた。


「無理もありません、セリアさん。でも、あなたが一緒に来てくれて本当に心強いんです。地上での戦いでも、あなたの槍術は見事でした。私たちはみんな、あなたを頼りにしています」


 エレアが優しく微笑みかけ、労うように言葉をかけると、セリアはハッとして姿勢を正した。


「あ……ありがとう、エレアさん。……うん、わかってる。天馬がいなくとも、ボクは誇り高きエルシオンの騎士。ここでただのお荷物になるつもりなんて毛頭ないよ」


 セリアはぐっと桜色の唇を噛み締めると、長槍の構えを短く持ち直し、岩壁にそっと白魚のような手を触れた。


「上空からの広い視界がないのなら、この閉ざされた地上の変化を、誰よりも早く察知するまでさ。通路を吹き抜ける風のわずかな動き、岩の奥から響く反響音、土と埃に混じる微かな匂いの変化……。ボクの目と耳を、みんなの代わりに使って」


 彼女は目を閉じ、全身の神経を極限まで研ぎ澄ませて坑道の奥を探ろうとしている。空気を読む力、僅かな気配を肌で察知する能力は、常に風と共にある天馬騎士ならではの特長でもあった。自身の不甲斐なさと苛立ちを押し殺し、新たな役割を見出そうと奮闘するセリアの横顔には、新参者ながらも小隊に貢献しようとする、騎士としての強い意志が宿っていた。


「頼むよ、セリア。君のその感覚は、僕たちにはない大きな武器だ。助かる」


 アルスが振り返って力強く頷くと、セリアは少しだけ頬を染め、「任せて、隊長」と短く応えた。


「……無駄口を叩いている暇はないぞ。歩調を乱すな」


 最後尾から、低く重厚な声が響いた。漆黒の外套に身を包み、顔の半分を銀の半面仮面で覆った男、ヴェルだ。第7小隊の客員指南役として同行しているこの正体不明の男は、完全な暗闇の中でも全く足取りを乱すことなく、音もなく隊列の最後尾を守っている。


「すみません、ヴェル殿。つい……」


「警戒を怠るな、アルス。この闇は、我々よりも敵に味方している。お前は先頭を歩いているのだ、常に最悪の事態を想定しろ」


 ヴェルの言葉には有無を言わせぬ説得力があった。この客員指南役は時折、常軌を逸した執念を見せる。まるで、この隊列から一人でも欠ければ世界が終わるとでもいうように、ガウェインの足取りやエレア、セリアの僅かな気配までも常に数え続けているのだ。――そして、その警戒の最も鋭い切っ先は、いつも危険な先頭を歩くアルスの死角へと注がれていた。背後からヴェルの張り詰めた意識が、見えない闇を休みなく塞ぎ続けているのが、背中越しにもひしひしと伝わってくる。守られているはずなのに、どこか息が詰まるほどの鬼気――なぜこの人は、初対面の僕たちにここまで気を張り詰めるのだろうか。


 坑道をさらに深く進むにつれ、徐々に人工的な補強の跡が目立つようになってきた。朽ちかけた太い木組みの支柱や、壁面に等間隔に穿たれた採掘用の横穴。どうやら、かつての大規模な採掘場跡、その中心部に近づいているらしい。


「待って。前方の開けた空間から、微かに人の汗の匂いと……鉄の鎖が擦れるような音がする。複数人だ。それに、殺気も」


 先頭から少し下がった位置にいたセリアが、鋭い声で警告を発した。彼女の耳が、闇の奥に潜む異常をいち早く捉えたのだ。


「……警戒しろ。来るぞ」


 ヴェルが低く地を這うような声で告げる。銀の半面仮面の奥に光る彼の双眸は、闇の奥を射抜くように細められていた。


 アルスが松明を前方に突き出すと、狭い通路は急に途切れ、ドーム状の巨大な空洞へと繋がっていた。空間のあちこちには、数十メートルもの深さがある底無しのような縦穴が黒々と口を開け、頭上には入り組んだ採掘用の古い木製足場が、蜘蛛の巣のように張り巡らされている。


 その時だった。


 ヒュッ、という風を切る微かな音。


 アルスが反射的に首を竦めた瞬間、彼の持っていた松明が、闇の中から飛来した何者かの短剣によって正確に弾き飛ばされた。


「あっ……!」


 松明が縦穴の底へと落下していき、空洞は一瞬にして漆黒の闇に飲み込まれた。


「なっ……!?」


 アルスの全身から、どっと冷や汗が噴き出した。完全な視界の喪失。それに乗じて、頭上の足場や、死角となっていた複数の横穴から、黒装束を纏った帝国軍の兵士たちが、まるで湧き出す虫のように次々と飛び出してきたのだ。


「奇襲だ! 上と横から来るぞ! 固まれ!」


 ガウェインの怒号が響く。だが、方向感覚を完全に失わせるほどの暗闇と、予想外の立体的な同時攻撃に、第7小隊は一瞬の混乱に陥った。


「エレア、灯りを頼む!」


 アルスは腰の太陽長剣を引き抜こうとしたが、暗闇の中で敵の刃がどこから迫っているのか全く見極められない。背後から無音で迫る明確な殺意。凶刃がアルスの無防備な首筋へと振り下ろされようとした、まさにその刹那。


 ――刃は、届かなかった。


 甲高い金属音が暗闇を鋭く引き裂いた。火花が散り、一瞬だけ周囲の輪郭を青白く浮かび上がらせる。


 アルスの目の前、ほんの指二本ほどの距離で、帝国兵の刃が弾き返されていた。


「……遅い。隙だらけだ」


 ヴェルの静かで、しかし底冷えするような威圧感を伴う声がすぐ耳元で響く。


 彼はいつの間にか、最後尾からアルスの真横へと移動し、双極魔剣を抜いていた。光の全くないこの絶望的な状況下で、ヴェルはまるで真昼の陽光の下にいるかのように、敵の動きを完璧に把握しているのだ。


(半歩、右。首の高さで受ける。この闇では、最初の一撃を通せば終わりだ)


 常人離れした恐るべき索敵能力と、規格外の洗練された剣技。ヴェルはアルスの周囲に展開する複数の敵の攻撃を、最小限の動きで全て弾き落としていく。彼の体捌きは流水の如く滑らかで、一切の無駄がない。そして何より、その立ち位置は常にアルスの死角を塞ぐ絶対の盾として機能していた。アルスへ向けられた殺意の刃を、ヴェルが冷徹に刈り取っていく。


「ぼんやりするな、アルス。お前の手にあるその剣は飾りか」


「っ、はい!」


 ヴェルの鋭い叱咤を受け、アルスはハッと我に返った。彼は太陽長剣の柄を両手で力強く握り締め、体内に巡る魔力を一気に刃へと流し込む。


「輝け……太陽長剣!」


 アルスの呼応に応え、太陽長剣の刀身から、眩い黄金の光が強烈な閃光となって放たれた。それは松明のちっぽけな火とは比べ物にならない、周囲の闇を暴力的に一掃するような光の爆発だった。


 突如として空洞内を照らし出した強光に、暗視に完全に慣れきっていた帝国兵たちが目を射られ、「ぐあっ!?」「目が……!」と悲鳴を上げて顔を覆い、たじろぐ。


「今だ! 一気に押し返すぞ!」


 アルスが叫ぶと同時、視界を取り戻した第7小隊が怒涛の反撃に転じた。


「おおおおっ! 狭かろうが関係ねえ! まとめてぶっ飛べ!」


 ガウェインが咆哮と共に重斧を横薙ぎに振るう。風圧がうなり、横穴から飛び出そうとしていた兵士たちを、足場の木組みごと粉砕して吹き飛ばした。坑道全体が、その一撃で揺れた。


「やらせない! 落ちて!」


 セリアは眩い光の中で敵の配置を瞬時に、そして完璧に把握すると、狭い空間を逆手にとり、槍の突きのみを極限まで鋭く放った。壁の隙間や足場の陰に潜む敵の急所を、針の穴を通すような恐るべき正確さで次々と貫いていく。空を飛べない苛立ちを全て研ぎ澄ませた力に変えたかのような、鬼気迫る見事な槍捌きだった。


「アルス隊長、奥に……奥に人がいます!」


 杖の光を高く掲げながら後方支援をしていたエレアが、悲痛な声を上げた。


 空洞の最奥、帝国兵たちが何よりも死守しようとしていた場所。そこには、太く冷たい鉄の鎖で幾重にも繋がれ、ボロボロの衣服を纏った数十人の人々がうずくまっていた。彼らはエルシオン側の国境付近の村から帝国軍によって強制連行され、この過酷で劣悪な廃坑道で、秘密裏に重労働の採掘作業をさせられていた民間人の鉱夫たちだった。


「……なんて非道なことを。ガウェイン、セリア! 敵を分断する! エレアは怪我人の治療を最優先に!」


「了解だぜ、隊長!」


「承知しました!」


 アルスは太陽長剣の黄金の光を道標にし、鉱夫たちの前へと勢いよく躍り出た。残存する帝国兵たちが、形勢不利と見て鉱夫を盾にしようと卑劣な動きを見せるが、それより早くヴェルの銀閃が闇を奔った。目にも留まらぬ速さで兵士たちの手首を正確に打ち据え、一切の殺傷を避けつつも完全に無力化し、武器を落とさせる。


「怪我はないか! もう大丈夫だ、エルシオンの騎士が助けに来た!」


 アルスは剣を振り下ろし、鉱夫たちを繋いでいた錆びた分厚い鉄鎖を次々と断ち切っていった。


 解放された人々は、突然の眩い光と怒涛の救出劇に、すぐには状況が飲み込めない様子だった。しかし、アルスの胸に誇り高く輝くエルシオン軍の紋章を見て、安堵のあまりその場に泣き崩れた。


「あ、ああ……エルシオンの……助かった……本当に……」


「お怪我はありませんか? 痛むところは? 今、癒やしの魔法をかけますからね。もう安心ですよ」


 エレアがすぐさま駆け寄り、衰弱しきっている者たちに温かく柔らかな治癒の光を注ぎ始める。彼女の祈りと共に淡い緑色の光が広がり、鉱夫たちの傷や疲労をゆっくりと癒やしていった。


 戦闘はものの数分で完全な決着がついた。不意打ちによって一瞬の死地に立たされたものの、ヴェルの圧倒的な防御とアルスの機転、そして各々の卓越した実力によって、帝国兵は一人残らず制圧されたのである。


「……よし、民間人に犠牲者はなし。全員無事だ」


 気絶させて縛り上げた帝国兵を見張りながら、ガウェインが額の汗を拭って大きく息を吐く。


「しかし、本当に肝を冷やしたよ。まさかあんな死角から、しかも完全な暗闇の中で一斉に仕掛けてくるとは……ボクの索敵も、まだまだ甘かったってことだね」


 セリアが槍の穂先を下ろし、ほっとしたように肩の力を抜いた。彼女の表情には、空で戦えずとも地上で仲間を危機から救い、支えられたという、小さな自信が確かに芽生えているようだった。


「ああ。ヴェル殿の加勢がなければ、僕は今頃首と胴体が離れていた。本当にありがとうございます、ヴェル殿」


 アルスが振り返り、深く頭を下げる。


 少し離れた岩壁に静かに背を預けていたヴェルは、仮面の奥の底知れない瞳をアルスに向け、ただ一度だけ、小さく頷いた。


「……お前が隙を見せただけだ。戦場において、次はないと思え」


 相変わらずの容赦のない厳しい言葉。しかし、彼が長剣を流れるような所作で鞘に納めるその姿には、どこか安堵したような、微かな柔らかさが滲んでいるようにアルスには見えた。


「さあ、このままここに居続けるのは危険だ。彼らを連れて、急いで坑道を脱出しよう」


 アルスの力強い指示に、第7小隊の面々が深く頷く。


 廃鉱山の息詰まるような暗闇と冷気は、依然として彼らを包み込んでいた。しかし、アルスの手にある太陽長剣の放つ黄金の光が、救い出した人々の震える背中を、そして仲間たちの進むべき道を、確かな温もりと共に明るく照らし出していた。


(第5話・完 / 次話へ続く)


---


 暗闇の廃坑道から囚われの人々を無事に救い出したアルスは、己の死角を塞ぎ続けたヴェルの剣に学びながら、守られて掴んだ確かな勝利の手応えを胸に、暗い坑道の先へと歩みを進めた。


■ 登場人物ステータス(第5話終了時点)

- アルス (20歳):Lv 5 / 第7小隊長・聖騎士(太陽剣・ソーラーブレード)

- ヴェル (40歳):Lv ?? / 客員指南役(真・陽光一閃 / 極光氷結波・双極魔導)

- エレア (19歳):Lv 3 / 白魔導士(フォース・シールド / 治癒魔法)

- ガウェイン (32歳):Lv 10 / 重斧騎士(アイアン・ガード / 鉄壁の大盾)

- セリア (22歳):Lv 9 / 天馬騎士(スカイ・ストライク / 愛馬フェザー号)

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