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第3話 聖剣
王都を出て三日。ヒロは西の森を抜ける古い街道を歩いていた。王が用意した馬車も、護衛の騎士も断った。必要ないと言ったからだ。
日が傾き始めた頃、木々の向こうに白い石柱が見えた。半ば崩れた神殿だったが、正面の扉だけは残っている。
内部の祭壇には、一本の剣が立っていた。鞘に収まったまま、石の台座へ突き立てられている。柄には古い紋章が刻まれ、台座の周囲には鎖が幾重にも巻かれていた。
「その剣は聖剣です」
入口に立っていたのは姫と数名の騎士だった。
「勇者が現れたとき、その者を選び、抜かれると伝えられています。何百年もの間、誰にも抜けなかった剣です」
ヒロは柄に手をかけた。一度引く。鎖が軋んだ。もう一度力を込めると、剣は音もなく台座から抜けた。
神殿を白い光が満たす。
「聖剣が……あなたを選んだ……」
ヒロは刀身を眺め、軽く振った。風が鳴る。
「違うな」
「え?」
ヒロは剣を肩に担いだ。
**「俺が聖剣にチャンスをやったんだ」**
姫は返す言葉を失った。
「その剣を持っていくのですか?」
「魔王を倒すんだろ」
ヒロは聖剣を鞘に収め、神殿を出た。北の空には、魔王領へ続く黒い雲が広がっている。
聖剣を手にしたヒロの旅は、ここから始まった。




