第3話 来訪者たちの再会
「徳田理事長、質問ーー よろしいですか」
「なんでしょうか? 」
「いいえ、些細なことなんです」
「どうぞーー 」
昼間は、娘の朝子に視線を送りながら、理事長に向かい緊張していた。
「そのーー 理事長は神聖女学園の理事長ですね」
「ええーー 」
「私がいた時代の理事長も徳田理事長と名乗っていました」
「そうですか。多分、先代の前の前のご先祖かと思います」
「容姿も似ていて、もしやと思いました」
「でもーー その方はどんな方でした」
「物腰も柔らかく親切で素敵な女性でした」
徳田理事長は、昼間の言葉に目頭が熱くなりハンカチで目元を抑える。
「私は、祖母から先代のお話を子どもの頃に聞かされました。昼間会長のお話もね」
夕子は、まさかの理事長の言葉に眩暈を感じた。
思わず朝子の手を強く掴む。
夕子には、まだ昨日のことのような出来事だったからだ。
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徳田神聖女学園理事長は、秘書を連れて夕子と朝子を案内する。
徳田大統領の母である理事長にも、数名の女子高生警備が随伴していた。
理事長を先頭に神聖女学園の長い廊下を進む。
廊下は北側にあるためグランドは見えなかった。
神聖神社の赤い大鳥居と屋根が見えている。
「昼間先生、神社も昔と同じですか? 」
「いいえ、ちょっと大きくなっているみたいです」
「そうですか」
「それに、以前はショッピングセンターもモノレールもございませんでした」
昼間夕子、朝子、理事長と秘書は廊下の端で立ち止まった。
秘書が生徒会室のインターホーンを鳴らす。
受付の女子生徒が用件を確認して入り口のロックを開錠した。
「徳田理事長、わざわざありがとうございます」
「いいのよ」
生徒会役員の門田菫恋は用件を大統領補佐官の明里光夏に伝え急いだ。
「理事長、明里でございます。ご無沙汰しております」
「明里さん、徳田大統領はーー 」
「こちらでございます」
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門田が大統領執務室の観音扉の扉をノックした。
重い油圧扉が音もなくゆっくり開く。
門田はやや明るい声で康代に告げた。
「大統領、お客様ですーー 」
門田や明里、豊下は、公用と私用で、康代への呼び方を使い分けている。
門田の背後に母の理事長の姿があった。
康代は、咄嗟に神聖女学園理事長に声を掛けていた。
『理事長、お呼び頂ければ、私から参りましたのに』
「康代さんは、我が国の女子高生大統領よーー 私が来るのが筋ね」
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門田と明里が、理事長と新任教師を連れて奥の応接室のソファに案内する。
「康代さん、この部屋は狭いわね」
『ここは、あまり人が来ませんので』
「まあいいわ。ここは私の神聖女学園ですから、私が増改築させます」
康代は、理事長の性格を知っていたので反論を控えた。
執務室は、徳田幕府の建築技術者によって幾度も改修されている。
「それでね、康代さんはもう面識があると思うけどーー 他にもあるの」
『理事長、なんでしょうか』
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徳田理事長は、昼間夕子を見て目配せした。
「昨日は、ありがとうございました。大統領」
夕子は言葉を切りながら続けた。
「実は私たちが今回、この時代にやって来たのはーー 」
『昼間先生、なんでしょうか』
「朝子と私だけじゃありません。あの光を浴びた者たち全員です」
『・・・・・・ 』
「それがーー はぐれてしまいました」
康代は側近の天宮静女を見て言った。
『静女、協力してくださる』
「康代殿、静女で良いのでござるか」
『静女さまなら、問題ないわね』
「静女さまでござるか」
静女は、応接室の窓からグランドを見て言った。
「見かけない者がグランドにおるでござる」
昼間夕子はーー もしやと思って窓際に駆け寄り外を見た。
「紫! 美夏! こっち見て 」
グランドにいたふたりが夕子の声と姿に気付いた。
「夕子!」
紫と美夏は夕子の名前を割れんばかりの大声で叫んだ。
紫と美夏の声に気付いた夢乃真夏がふたりの背後に突然現れた。
霧が晴れたように現れたのだ。
「3人でござるなーー 」
昼間夕子と昼間朝子親子は、星乃紫、朝霧美夏、夢乃真夏と未来の神聖女学園で再会した。




