探し物
読んでいただきありがとうございます。
今回は短めです。
スキル画面を表示しながら森の中を進む。草を踏み締める足音がいつもより多い現状も合間って、緊張感で手がベタつく。
検索画面の表示では、アイリーンとの距離はそれほど離れていない。誘拐犯は森に入ったのはいいものの、何処かにとどまることなくずっとうろうろとしている。
「アイリーン姉様はこの辺にいるはずなのですが、誘拐犯がずっとウロウロしていて、しっかりとした位置が掴めません」
エメラルダと一緒に歩いていたリデアが数秒思案したのち、ポツリとつぶやいた。
「何かを探しているのかもしれない」
「森の中でですか?」
リデアがこくりと頷く。
「最初は、逃げ込んだ森から出る為にウロついているのかと思ったが…時折止まって物色している様な時間がある。…この魔素の森は特別な魔獣や魔草、鉱石が存在している。しかし、魔道具を持っている者しか出ることが出来ない。森の物を持ち帰る為に、戦闘に特化していないアイリーンを攫ったのでは無いだろうか…」
リデアの推理に、グレイブが肯定するように浅く頷く。
「アイリーンと一緒にいたメイドが殺されずに倒れていた…という事は暗殺者の類では無い。金銭を要求するのが目的ならば、わざわざ危険な森へ入る必要もない。そう考えると森に目的があったと考えるのが自然だな」
魔素の森にしかない何かを手に入れる為に、こんな大胆なことをするなんて…誘拐犯は相当切羽詰まった状況なのかもしれない。
王族誘拐だなんて、捕まったら拷問ののち血縁者と共に死刑だ。
「何もできないアイリーン姉様を攫うだなんて許せない…!」
ローレンが暗い顔で拳を握る。慰めの言葉をかけようとした時、アイリーンの声がした。
「せっかくここまで来たのに、お前は役に立たない女だ」
アイリーンの声なのは確かなのに、喋り方が粗野すぎる。
アイリーンの声に1番最初に行動したのはグレイブだった。
「アイリーン無事か!!」
走りだしたグレイブに続く様にエメラルダ、リデア、ローレンも走る。
木々の狭間を抜けた先には泉が広がっていた。魔素の森特有なのか、泉の水は黄金色に輝いて眩しい。眩しさに目が慣れてくると、美しいシルエットが二つ見えた。
「アイリーンが………二人いる…」




