5/34
5話
sideシデン
「君は、なんで冒険者になるんだい?」
そう聞いた目の前の男は、酷く泣きそうな顔をしていた。その顔を見ていると、イライラしてくる。だから、その顔を殴り飛ばすように堂々と言ってやった。
「世界一の剣士になるためだ!」
「───」
「まだ見ぬ秘宝を求めて、ドラゴンと戦い、数多のダンジョンを攻略し尽くす!そして───」
俺は腰に刺した木刀を抜いて高らかに言い放つ。
「神に認めさせる!俺が世界で1番強い剣士だと!」
目の前の男にどうだと突きつけた。 顔を見れば今にも泣きそうな、透き通る様な深い青の瞳の奥に、光が灯るように見えた。
「僕もっ!僕だって───」
そこまで言って男の瞳はまた、深い絶望を宿したような、瞳にもどる。そこに、さっき見えた光は消えていた。
「僕は、応援してるよ。」
そこにあるのはとても応援してるとは思えない、なんとも不細工な作り笑いだった。




