22話
少年の青眼にまた、光が映る。
そこを狙い自分の剣を当てるより先に、目の前に立つシデンは当てている。そしてまた、受け流す。
(分かってたけど、遠い!ずっと、ずっと!!)
ロードは、目の前のシデンとの距離が近づこうとすればするほど、距離が離される感覚に陥っていた。
──気を抜けば、置いていかれる!!
ロードは必死に食らいつく。不格好で、不細工で、無様で、ただの猿真似だったとしても。
──それでも、今の僕にはそれが必要なんだ!
少年は二振りの剣を振るい続けた。暴力の嵐に逆らわぬよう、流して、流す。足掻いて、藻掻いた先に勝利があると信じて。少年はまた、大地に刻む。
──後、少し!!
少年の青眼に一際いっそう強く輝く光を視た。
──あれが、最後!!!
だが、目の前に映るシデンは、咄嗟に身を引く。
──っ、なんで─
「─避けろ!ロォオオオド!!!」
「グルァアアアアアアアア!!!」
少年の目に映ったギラギラと輝いた光は、瞬いた瞬間に消ていた。
獣は右腕の大振りに見せかけ、体を回し、今まで使っていなかった足でロードを蹴り飛ばす。
「ぁが───」
「ロード!!!」
ロードの体はボールの様に吹き飛ばされていく。獣はここで、フェイントを交えた駆け引きをシデンとの打ち合いで学習していた。獣は今度こそ、勝利に吠える。
「グルォオオオオオオオ!!!」
獣は己の願いに手をかけ、酔いしれていた。
「ぁ──」
「クソッ、なんでこんな時に俺はっ──」
──シデン、ごめん。失敗しちゃったね。
シデンはロードの方に足を引きずりながら向かってくる。
──来ちゃダメだよ、シデン。危ないよ。
「グルアアアアアアア!!!」
「クソ、クソ。ふざけんじゃねぇぞ。勝手に死ぬんじゃねぇ!!」
意識が朦朧し、霞み、赤くなる視界に捉えたシデンの顔は、いつも怯えていた僕にそっくりだった。
──笑ってよ。シデンが笑ってくれたら、僕は怖くないさ。だから、笑ってくれよ。
死の淵に立たされたロードは意識を手放しそうになっていた。シデンは庇うようにロードの前に立ち、それらを諸共潰すように持ち上げられた右腕が振りかざす瞬間───
『 』
少女は謳う。




