文書 No.005-A 報告書本文 第一章 骸ケ谷逆山遺跡(一)
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【文書 No.005-A】 報告書本文 第一章 骸ケ谷逆山遺跡(一)
文書種別:A/報告書本文
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1.骸ケ谷逆山遺跡
(1)調査に至る経緯
令和4年11月25日付けで、個人より宅地造成工事にかかる埋蔵文化財保護法第93条に
基づく届出が提出された。対象地は千葉市某区骸ケ谷に所在し、これまで遺跡として
の登録がない未調査区域であった。
ただし、周辺には縄文時代の貝塚として知られる「へたの台貝塚」(中央区仁戸名町、
本遺跡より北西約2.4km)、中世城郭跡の「生実城跡」(中央区生実町、本遺跡より
南西約3.1km)、古墳時代の集落跡「居寒台遺跡」(花見川区浪花町、本遺跡より北
西約8.5km)が点在しており、潜在的な埋蔵文化財の包蔵地である可能性が高いと判
断した。
これを受け、令和4年12月15日に市教育委員会による試掘調査を実施した。
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(2)試掘調査の結果
試掘は対象地内に3か所のトレンチを設定し、人力および重機による掘削を行った。
本地域における通常の遺構確認面は、地表面から20cmから80cm程度の深度で検出さ
れることが多い。しかし、本対象地においては、表土および撹乱層の除去後も遺構確
認面が現れず、掘削を継続した。
深度1.5m地点において、通常であればより深い位置に堆積するはずの関東ローム層が、
塊状かつ不連続な形で検出された。ローム層は地域全体に連続的に分布することが一
般的であるが、本対象地では当該層の上位に、ローム層よりも新しい時代の土層が存
在しており、堆積順序に逆転が認められた。
さらに掘削を進めた結果、深度2.8mの地点において、炭化材および赤色粉状物質(水
銀朱)を伴う土坑(SK-07)を確認した。
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(3)SK-07の所見と本調査の決定
SK-07は平面形がほぼ円形(直径約1.2m)を呈し、埋土は周辺包含層に比して黒褐色
で粘性が高い。
覆土を精査したところ、通常の生活遺物(土器片・石器等)ではなく、白色の微細な
角質片が層をなして堆積していることが判明した。現場に立ち会った調査員による肉
眼観察の結果、これらはヒトの「爪」に類似した形状・厚みを有する角質片であると
推認された。現場第一次精査の時点での計数は110枚であった。
角質片の断面には、鋭利な器具による「抜去」に類する痕跡が認められた。また、同
層からは多量の水銀朱が検出されており、何らかの儀礼的行為の痕跡である可能性が
高い。
以上の異例の所見を受け、教育委員会は速やかに本調査の実施を決定し、記録保存の
措置を講じることとした。
なお、試掘調査の時点では地表面に目立った地形的特徴は認められなかったが、対象
地周辺の旧版地形図を参照したところ、現在の地表形状とは異なる谷状地形の痕跡が
確認された。当該地形と本遺跡の関係については、調査の進展に伴い検討する。
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