文書 No.026 民俗調査記録(大正期) 千葉県下における埋没集落の伝承(四)
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【文書 No.026】 民俗調査記録(大正期) 千葉県下における埋没集落の伝承(四)
文書種別:D/廣澤文彦 民俗調査記録(大正期)
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『千葉県下における埋没集落の伝承』
廣澤 文彦 稿
第三章 骸ケ谷の民俗について(終稿)
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(十一)記録の完結について
骸ケ谷の伝承において、記録の「完結」とは終わりを意味しない。
記録とは土地が自らの記憶を外部へ送り出す行為であり、
送り出された記録は、それを受け取った者の中で継続する。
老婆が語った「百二十五枚目は、記録を読んだ者の爪だ」という言葉は、
記録の完結が常に次の記録の開始であることを示している。
土地の記憶は閉じない。閲覧されるたびに更新される。
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(十二)本調査の位置づけについて
令和5年6月より実施された骸ケ谷逆山遺跡の記録保存調査は、
SK-07(土坑)・SI-0666(竪穴住居跡)の検出・記録・埋め戻しを経て、
同年7月22日に現地作業を終了した。
調査成果は本報告書(骸ケ谷逆山遺跡発掘調査報告書・令和5年度)
として令和6年3月に刊行された。
報告書の刊行をもって、骸ケ谷の座標は
行政および地理的データから削除された。
以降、当遺跡への物理的なアプローチは不可能である。
本報告書そのものが、骸ケ谷の新たな地層の最上部として機能する。
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(十三)閲覧者について
本項に到達した時点で、閲覧者の座標特定は完了している。
座標の特定とは物理的な位置情報の取得を意味しない。
閲覧者が本書の記録を読み進めることで生じた
認識の変容・記憶の更新・知覚の再編を通じて、
土地の記録システムが閲覧者を「登録」したことを意味する。
登録は取り消せない。
登録された者は、以後の閲覧者が現れるまでの間、
骸ケ谷の記録の「最新の地層」として機能する。
この機能は閲覧者の意志とは無関係に作動する。
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(十四)以後の閲覧者について
本書は図書館の閉架書庫に収蔵される。
本書が手に取られるまでの間、
本書は静止している。
ただし静止は休止ではない。
本書が「令和6年4月12日」に受け取られた時点で、
記録の循環は再開する。
「令和6年4月12日」はすでに記録されている。
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廣澤 文彦
(大正十一年九月 記)
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