文書 No.011 報告書本文 第三章 遺構各説
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【文書 No.011】 報告書本文 第三章 遺構各説
文書種別:A/報告書本文
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3.遺構各説
(1)竪穴住居跡 SI-0666
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a.検出の経緯
令和5年7月3日、第8トレンチの深度2.5m付近において、
硬化した平坦面を確認した。清掃後、貼床(F-01)の範囲が明らかとなり、
竪穴住居跡(SI-0666)として記録した。
同時に炉跡候補(L-01)および主柱穴(P1〜P4)を確認した(第6図参照)。
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b.平面形の所見
SI-0666の平面形は、F-01の範囲から推定するとおおむね長方形を呈する
(推定規模:3.0×4.2m)。
床面の四隅付近に主柱穴(P1〜P4)が対称的に配置される点は、
一般的な竪穴住居跡の形式に準じる。
ただし、本遺構は深度2.5mという極めて深い位置で検出されており、
上位の堆積状況から、地表面から直接掘り込まれた構造ではなく、
第5層(縄文期包含層)の内部に形成された可能性が高い。
主軸方向については、測量の結果、長軸がほぼ真北から約3度偏向している。
この偏向はSK-07検出面で確認された磁石偏向の方向と一致する。
偶然の一致か設計上の意図によるものかは判断できない。
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c.床面(F-01)の所見
F-01は周囲の土質と明瞭に異なる硬化面として検出された。
貼床の所見が認められ、人為的な整地が行われていることは確実である。
床面の水平度は高く、施工の精度が認められる。
なお、床面(F-01)の下位においては、熱源探査(T-01)により
深度0.3〜0.5mの範囲に現在も温度差が認められる箇所が確認された。
当該箇所については熱源の特定に至っておらず、
探査画像の掲載を見合わせた(付録G・写真20参照)。
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d.炉跡(L-01)の所見
F-01の北東隅において、灰および炭化材の集中が確認され、
炉跡(L-01)として記録した。
炭化材は規則的な湾曲を示し、肋骨状の配列が認められる(写真8参照)。
各炭化材の湾曲方向は内側(床面の中心方向)へ向かっており、
通常の焚き火痕で見られる無秩序な分布とは異なる。
湾曲のパターンは、何かを「包む」ように配置された
有機物の骨格が炭化した状態に類似している。
ただし、骨格状構造の中心部には当該有機物の残存は確認されておらず、
灰のみが検出された。
炉跡底面の温度を測定したところ、床面(F-01)全体の熱源探査(T-01)で
確認された温度差と連続する分布が認められた。
炭化材組成(K-01)を採取し、分析機関へ送付した(第3表参照)。
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e.主柱穴(P1〜P4)の所見
P1〜P4はF-01の四隅付近に検出された円形の落込みである。
各柱穴の平面規模はおおむね直径0.2〜0.3m、検出面での深度は確認できなかった。
通常、竪穴住居跡の主柱穴は床面の下位0.3〜0.8m程度に底面を有する。
しかし本遺構のP1〜P4については、床面(F-01)より下位へ向かって
継続的に延伸することが確認され、人力掘削(深度3.5mまで)および
ボーリング調査(深度5.0mまで)においても先端部を確認できなかった。
各柱穴の断面形は、深度が増すにつれて直径が縮小する傾向を示す。
P1について深度ごとの直径を計測すると以下の通りである。
検出面(深度2.5m):直径0.28m
深度3.0m :直径0.24m
深度3.5m(掘削限界):直径0.20m
この縮小傾向が継続すると仮定した場合、
各柱穴は地中の一点で収束する可能性がある。
P1〜P4の延伸方向を幾何学的に延長すると、
深度約21.8〜22.4mの範囲で四本が交差することが計算上確認された。
(再計算のたびに値が僅かに変動するため、範囲として記録する。)
なお、骸ケ谷の旧版地形図(明治二十年代測量)における
当該地点の標高は海抜22mである。
地表の標高22mと地中22mの収束点が同一であるとすれば、
地形が内側に折り返している構造——すなわち「逆山」——の
物理的な収束点が本遺構の直下に存在することになる。
当該一致が偶然によるものか設計によるものかについては
現時点での解釈を保留する。
P1〜P4の延伸方向および柱間距離から構造体の形状を推定すると、
各柱穴は床面(F-01)の下方で集束する傾向を示す。
この配置に基づけば、構造体の「頂部」に相当する位置は
床面よりも深い地点に設定されていることになる。
すなわち、本遺構においては床面(開口部に相当する面)が最も上位に位置し、
構造体はそこから下方へ向かって構成されている。
一般的な竪穴住居跡とは上下関係が逆転した構造形式と解釈されるが、
この形式に対応する類例は現時点で確認されていない。
構造の解釈については今後の検討課題とする(第7図参照)。
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f.SI-0666と SK-07の位置関係
SI-0666(床面深度2.5m)とSK-07(検出深度2.8m)は
水平距離にして約3.2mの位置に並存する。
両遺構の水銀朱の分布が空間的に連続する可能性があり、
同一の使用期・同一の行為者による遺構群である蓋然性は高い。
ただし、時期の比定および機能的関係の確定は今後の課題とする。
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