魔物と魔力なし
「魔物の咆哮?!」
立ち上がりローブをしっかりと被らあたりを見渡す。
しかもシルバーウルフ、Sランクで最悪なことに群れを呼ぶタイプで今の咆哮からして群れを呼び寄せたパターンだと思う。
仲間を呼んだということは誰かが接触している可能性が高い。
「冒険者が森に入ったってことかな?!命知らずめ。」
とりあえず、薬草つみは中断する。師匠ならこの事態に気付いてそうだけど魔女はきまぐれだ。お気に召したら助けてくれるかもしれないけどあの人は本当に気まぐれなのだ。
立ち上がり、音の聞こえた方向へ走る。
この森は熟知しているから迷うこともない。
駆け抜けていると複数の人の気配と血の匂いと獣の匂いがした。
シルバーウルフの群れと冒険者が2人、あとは魔法騎士団の格好をしたやつが4人か。
王都での警護隊である魔法騎士団がいるということは、冒険者が森に行ったきり帰ってこないから捜索願が出されて出動したということだろう。
冒険者2人はかなりの重症で、魔法騎士団も庇いながらで上手く戦闘に集中できないのであろう。
突然現れた私に魔法騎士団も気づいたのだろう。
魔法剣士がシルバーウルフを薙ぎ払いつつ、私に向かって叫んでいる。
「そこの君!逃げろ!」
銀髪の騎士が私に気を取られたせいか、肩にシルバーウルフの爪が突き刺さる。血の匂いがより濃くなる。
彼らからは魔力ゼロであることが理解できたのであろう。他のメンバーも青ざめた目でこちらを見ている。
さすがに魔石くらいじゃ、シルバーウルフはのけないかぁ。私は呑気にそんなこと思いながら、屈伸をして準備運動を始める。
「君はや……く……にげろ。」
氷系の魔法で何とか足止めしてるみたい。冷静に眺めているとシルバーウルフが私に向かって突っ込んできた。
魔法騎士団の絶望した顔がスローモーションで見えた。
「でっかいわんちゃんですこと。」
私は太ももにしまっていたベルトからダガーナイフを取り出した。
そして首をあっさりとはねた。
そのまま群れに向かってジャンプして首を順番に跳ねていく。冒険者と魔法騎士団の人たちを肩に担いで離れたとこらにおきながら順番に保護しつつかたっぱしら首をはねていった。
最後の一匹を倒した後に、私の声が響いた。
「力こそ正義ですわね!」




