魔力なしと力
魔法騎士団が肩を抑えながら、私を見つめて固まっていた。
手前にいたからこの人が隊長なのだろう。
「君からは魔力を感じられないが、今のは一体……。」
ダガーナイフについた血を拭いながら
「魔法なんて使ってませんよー、私魔力見ての通りゼロですから。」
魔法騎士団と冒険者に近づいて、マジックポーチからポーションを取り出す。
「このポーションをどうぞ。私は回復魔法もできませんので…毒は入ってないですよ。」
一口飲んで見せてから渡す。躊躇っていたようだが、全員回復魔法を使う余裕もないためか一気に飲み干した。
「これは…。」
魔法騎士団の隊長らしい人の肩が綺麗に塞がっていく。冒険者たちの傷もたちまちなおっていく。
「回復魔法が使えないので、薬草で研究してみたんです。まぁ、ギルドに提出したけど回復魔法があるから意味ないと言われたんですけどね。」
何年もかけたからお墨付きなんだけどね、やっぱり魔力が大切にされてるこの世界では厳しいんだろう。ましてや聖女様がでてきた地点でより神格化されてるだろうし。
傷がなおったところで魔法騎士団の隊長らしき人が被ってた兜を外した。
銀髪がさらりと風にゆれる。切れ長の翡翠色の目と目が合う。思ったより若く整った顔に目を見開いてしまった。
「助かったよ、君。
私の名前はザイル・カドック
魔法騎士団の団長をまかされている。今回冒険者の捜索でこの『禁忌ノ森』にきていたんだがシルバーウルフの群れに襲われてる冒険者を見つけてな。
君は一体?」
名前を聞いた瞬間に思わずヒット声を出してしまった。その名前はよく聞かされていたから知っている。
しかし私は名前しか知らない。
よし。何も気づかなかったことにしよ。
失礼かと思いずっと被っていたフードを外す。
冒険者が私の髪色をみて驚愕の目を向けてくる。
「黒髪……本当に魔力がない人間が存在してるなんて…。」
私はギルドではある意味魔力ゼロで有名だ。この世界では魔力が何より重視されるから。
そして魔力は髪の毛に力を宿す、魔力が少ないものほど淀んだ色になるのだ。
「魔力ゼロのあんたがどうやって魔物しかもSレベルだぞ?!どうやって倒すんだよ?!」
「ダガーナイフで首を切っただけですよー。」
魔法でなければ倒せないということもないし、パワーがあれば普通に首を切れる。
「いやいや魔力ゼロ身体強化もなしに無理だろう!」
「力さえあればできますって、いっつもそうなんですよね。ギルドでも魔物倒したと報告しても虚偽だと認識して把握してくれないんですよー。」
力こそ正義なのに、全く理解されてない。
「私はノエル。
魔力ゼロで薬剤師をしています、まっ需要はあんまりないんですけどね!」




