鉄板厚さは2.3mm
甲冑を着た時の事をちゃんと書いていなかったのを思い出したので急いで書きます!
はっきり言って鎧よりも反響は大きかった。
だってみんな動く甲冑見た事ある?? 動画や映画の中じゃなくてマジで現実で。多分ほとんどないんじゃないかな。
まずは会場がどんなだったか話さなくちゃいけない。
今回のコスプレ会場はめちゃくちゃ綺麗な都会だった。もうすんごい都会。道行く人も華やかで私のような田舎者が30キロ越えの化け物を連れて歩いちゃいけないような世界だった。
しかも露骨にコスプレ会場の更衣室で差を見せつけられた。
あのですね、事前情報は広々とした鏡付きの綺麗な部屋が更衣室だったのですが、どういう訳か10畳ほどのスペースしかなくてですね、しかもそこがコンクリ打ちっぱなしの床の上にブルーシート敷きましたがなにか? っていう感じの場所だった。
マジなんなんでしょうね。留置所だってもっとましだと思ったよ。事前情報の部屋はたぶんイメージだったのではないだろうか。もうほんとに違うんだから。まあいんですけどね。自分なんて着れれば幸せなので。でもやっぱり納得いかねーんですわ。
でもこのコンクリがいい仕事をしたね。
私がスキューバダイビング用のバッグから甲冑を出して一個一個並べる訳ですね。
ゴトリ。チリチリ。
とそういう音がするんです。軽い金属やプラスチックではこうはいかない。あまり重いのでちょっとふざけてヘルムに体重をかけてみても全く歪まないんですね。これが甲冑。
この日の更衣室は見張り付きで、他の会場では見たこと無い程ギラついた見張り員がこっちをみてくる。珍しいことに他のコスプレイヤーまで見てくる。
ああ、そうか。みんな見るのは初めてなのだと思った。
私は毎日見ているので珍しくも無いのだが、この人たちは初めてだ。
感嘆の声を上げる者まであった。まだ着ていないのに。
私はこれを着るのが大変に難しいことを知っていたのでそれどころじゃなかった。
基本的に鎧は下から着て行く。甲冑が重すぎたので足を持って行かなかったが、それでもすさまじい存在感だった。
それはまごうこと無き鉄の塊である。最後にヘルムとその下に被る鎖帷子の頭巾があるので広げるとジャララララ!!と音がするのだった。
男子垂涎。もはや自分の着替えを忘れて見てくるのだった。
コスプレイヤーにしては大変珍しい出来事である。皆自分がいかに輝くかを考えて鏡を向き合っているのに。
でもそんな彼らに話しかけてくることも無く、私は黙々と着替えて行った。
着替えというのは少しおかしいね。連結というべきか。全ての鉄板を繋ぎ合わせる作業をするので服を着るのとはまたちょっと違う。何キロもある腕を落とそうものなら、ものすごい音がするので神経を使わなければいけなかった。これが一番疲れたかもしれない。
一通り着終わって、鎖帷子の冷たい頭巾をかぶると戦闘準備完了。
見張り員はもはや俺しか見ていなかったし、その扉を抜けた先では女性のスタッフが目を落とさんばかりに見開いて、小声で参加証の提示を求めてきた。
これがまた大変で。甲冑は指先まで鉄板が覆っているためにポケットに手を突っ込むだけで時間を要した。
「はい、いってらっしゃいませ」
なんて言われて送り出されて、外に一歩出れば、バチバチと音がするようだった。人の目が注がれる音だ。そこにはすでに着替えをすませたコスプレイヤーたちがいたのだが、みんな見てくるのだった。一斉に。じろじろ!鉄板に穴が開く。痛い!
最近流行りのあのアニメキャラも、ガン〇ムも、仮面ライ〇ーも、人力車のあんちゃんとも全員と目が合った。
勿論私は当たり前という風に肩で風を切って歩く。
甲冑は肩幅が強制的に大きくなるからものすごく大きかった。
しかもまだこれでヘルムを被っていない。
ガシャガシャガチャリ。ジャララララ!と音が鳴るし、そのギラギラ光る姿は中身はともあれ外側だけは本物だった。




