キョウフウ
「まっ、ちょ・・・木坂くん」
真友が声をかけても、木坂は聞こえているのかいないのか、ずんずんと先へ行ってしまった。
「・・・今のって・・・」
・・・キス・・・?
真友はまた、1人で顔をぼっと赤くした。
「・・・じゃあ、次、これのるか」
木坂が言ったのは、観覧車だった。
「まあ、景色は見えないかもだけど。乗るぞ」
「・・・ん」
いたって普通の木坂に、真友は混乱してしまう。
じゃああれは、キスじゃなかったのかな?・・・でも・・・。
「それでは、楽しい空の旅へ、いってらっしゃーい」
キャストさんの声に送られて、木坂と真友は空の旅へ出発した。
「・・・」「・・・」
黙り込んでしまった2人。
「・・・さっきの、ごめん」
口を開いたのは、木坂のほうだった。
「え・・・」
「気づいたら、なんか、・・・体が動いてて。びっくりしたよな、・・・ごめん」
真友は顔を赤くした。
「いや・・・」
「・・・俺もわかんない」
木坂の突然の言葉に、真友は「へ?」と声を出した。
「俺なんであんなことしたんだろう・・・」
「・・・木坂く――――――」
ガタンっ!!
「きゃあ!!」
真友は悲鳴を上げた。
「えっ、なんだ!?」
木坂も驚いている。・・・と、そこに、アナウンスが流れてきた。
『観覧車へお乗りの皆様、ただいま、強風となり、観覧車を動かすのは危険な状態です。しばらくお待ちください。』
「・・・え・・・ここ頂上だよ・・・」
真友は外を見た。
結構高いこの観覧車。真友たちは頂上にいた。
こんな高いところで強風で・・・これほど怖いこともない。
ガタガタっ!!
「きゃあーー!!」
「ちょっ、有岡、落ち着け!」
木坂が慌てて、真友をなだめる。
「ごごっ、ごめん・・・なさい・・・。こういうの苦手で・・・」
「もしかして、高所恐怖症なのか?」
「・・・うん・・・」
「じゃあ観覧車なんて乗るなよ・・・。いえばよかっただろ」
「・・・ううん、違うの」
真友は言った。
「・・・木坂くんが乗りたかったから・・・私も乗りたくなったの」
真友は自分の言ったことに自分で照れてしまった。
「・・・有岡・・・」
木坂がこっちを見る。
ゴッ!!
「わぁっ!?」
ガタゴトっ!!
「有岡!?」
木坂が叫ぶ。
真友はバランスを崩して・・・木坂の体へと、倒れこんだ。
「えっ・・・」
「あ・・・ごめっ」
『観覧車へお乗りの皆様。風が弱くなったのでただいまより、観覧車を再開します』
「「ぎゃあ!!」」
2人で、突然なったアナウンスに驚いて同時に声を出した。
「・・・アハハ・・・」
「今ハモったな!!」
「うん!あははは!」
真友は木坂から離れると、そう言って笑った。・・・頑張って笑顔を作った。
恥ずかしくて、うれしくて。自分の気持ちがあふれてしまいそうで・・・。
「おかえりなさいませー。先ほどは申し訳ございませんでした。しかも頂上でしたよね?お怪我は・・・」
「あ、大丈夫っすよ。楽しかったです」
木坂はニコッと笑うと、真友のほうへ来た。
「帰るか、有岡」
「うん・・・今日はありがとう、木坂くん」
「いいって。俺も楽しかった」
木坂と真友は笑った。
「雨の日・・・って、やっぱ、いいかな・・・」
家に帰った真友は、1人でそうつぶやいた。




