タオル
「あーあ、今日結局雨じゃん」
「残念だね・・・」
電話の向こうに向かって真友はため息をついた。
「ま、小雨だし。行くぞ、有岡」
「えっいくの?」
「俺だって、有岡との思い出、台無しにしたくねーんだよ」
「・・・うん」
木坂くんも、おんなじこと、考えてたんだ――――――・・・。
真友はあわてて、家を飛び出した。
今日の遊園地は、あいにくの雨だ。けど、最高の思い出にする・・・2人の思いは通じたみたいだ。
「さすがは雨だから、人少ないな」
「いいじゃん。すいてるし」
「だなー!行くぞー」
木坂と真友は、さっそく、室内の乗り物に乗りまくった。
「うわぁーっ!」「きゃーーーーっ」「いやぁぁぁ!」
悲鳴を上げすぎて声が枯れた真友に、木坂は言った。
「次あれ乗らね?」
木坂が指さしたのは・・・お化け屋敷だ。
「えっむり!!!!!!!!!」
「えーなんでだよ。もう室内のアトラクション、あんまないし、室内って言ったらやっぱお化け屋敷じゃね?」
「おっ、お化け屋敷行くぐらいなら、・・・死んだほうがマシ・・・」
「大丈夫だよ」
木坂は真友の肩に手をかけると、言った。
「俺が守る」
「・・・木坂くん・・・」
そんなわけで、2人はお化け屋敷に入った。
「うう・・・くっ、く・・・らい・・・」
「落ち着けよ有岡。まだ何にも出てねーし、それに」
木坂はちょっとためらって、でも、言った。
「・・・手、にぎってて、いい、から」
「・・・」
真友はひたすらに木坂の手をぎゅうっと握りしめると、がくがくとふるえた。
ガシャーン!!
「きゃああ!!!」
真友は叫んで、ギュッと、木坂に抱き着いた。
「えぉあっ」
「木坂くんもうでよ・・・」
真友が頑張って涙をこらえて言うので、木坂は分かった、分かったよ、というとリタイアドアを探した。
「う・・・っ、う・・・わん・・・・!」
真友は慌てて走り出すと、・・・走り出して、気が付いた。
「あ・・・」
真友はさっき、・・・木坂に抱き着いたんだっけ!?
「有岡待てよーーーっ!!」
木坂の声が聞こえて、真友はしゃがみ込んで泣き出した。
「ごめん、有岡。泣かせるつもりじゃなかったんだ、ほんとごめん」
「ううん、いい・・・ヒック、こっちこそ、ごめ・・・なさ」
「何で謝る?」
「私、・・・木坂くんに、・・・着いたりして」
「あっ・・・」
木坂の顔がかあっと赤くなる。
「・・・いいんだよ別に。・・・あ、待て」
「え?」
顔を上げた真友の髪の毛を、木坂はタオルで拭きだした。
「・・・髪の毛濡れすぎ」
「ごめんなさい・・・」
真友はそう言いながら、木坂の顔をまともに見れなくなっていた。
・・・木坂くんのにおいが、近くでする・・・。
木坂くん家の、においだ。
さっき抱き着いたときにした、あのにおい・・・。
「有岡?顔赤いけど、熱でも出た?」
「えっ、ううん、・・・」
顔を覗き込まれる。
木坂くん、顔近い・・・。
「有岡」
「え?」
「・・・お昼でも食べるか。行くぞ」
「・・・え?」
木坂はどんどん、先に歩いて行ってしまう。
「・・・え!?」
真友はその場に立ち尽くした。
・・・今、真友と木坂は、・・・キス、をした。




