オテンキアメ
「明日から夏休みだなー」
「じゃあこの日に8時集合だよ。忘れないでね」
「うぉー、勉強させられるぅー・・・」
明日から夏休み。真友たちは中学校最後の夏休みだった。
チラッと木坂を見る。
「・・・っ!」
1人で顔を赤くして、真友はそっぽを向いて――――――
ドンッ!
「わっ」
「あっごめーん。真友が急に変な方向向くから悪いんでしょうけど」
・・・音葉だった。
「音葉・・・」
「そんな目で見ないでくれる?さんざん、私振り回しといて・・・」
・・・いつからこうなっちゃったんだろう。
真友は音葉の後姿を見て思った。
「有岡、あのさ」
「ん、なあに?」
「・・・放課後、体育館裏来てくんないかな」
「え・・・」
「きゃぁっ、木坂君!!有岡さんに告るの!?告っちゃうの!?」「いやぁー木坂くぅーん!!!」
・・・告白・・・?
「じゃ、そこで、な」
「うっ、うん・・・」
・・・木坂から告白される・・・?うそ、そんなことってあるのかな!!?真友は1人でパニック状態に陥った。
「・・・」
木坂の横顔を見ながら真友は、1人、恋の妄想を爆発させていた。
「・・・お天気雨だ?」
放課後。
体育館裏に来た真友は、空を見上げた。
「・・・めずらしい」
空にはくっきり、太陽がこちらを向いてのほほんとしていて。そんな中から、雨がパラパラと降ってきて。
「・・・木坂くん、遅いなぁ」
やっぱり私をはめただけのワナだったのかな?
真友がそうため息をついた瞬間だった。
「ごめん有岡!おそくなって」
「・・・木坂くん」
「えっお天気雨か?めっずらしいなあー」
木坂は空を見上げてそう言った。
「・・・まあちょうどいいや」
「え?」
「有岡、雨好きだったろ。・・・ちょうどいいってこと」
・・・???
・・・真友はドキドキしていた。
今から私、告白される――――――・・・。
「・・・有岡、俺、有岡のことが・・・・・」
間があった。
「・・・ぅっ、す・・・っ、・・・好きだ!!!」
・・・パラパラ、パラパラ・・・。
雨の降る音だけが、体育館裏に響いてる。
真友は呆然と立ち尽くした。
「有岡、返事、考えといて。・・・待ってるから」
「・・・木坂くん、私―――――――」
「真友せんぱーーーーーいっ!」
大声が響いて、真友は言おうとしたことを飲み込んだ。
「・・・蓮くん・・・?」
・・・そうだった。どうしよう。
私蓮くんに断らなくちゃ・・・。
「ごめんなさい、蓮くん。・・・私やっぱり、蓮くんとは付き合えない」
「・・・うん。・・・木坂先輩のこと好きなのわかってるし。・・・分かった」
蓮くんがそう言って去っていった。
「・・・これで、いいんだよね」
真友はつぶやいた。
「木坂くんは、音葉のこと好きじゃないんだから。・・・音葉と私は、もう友達じゃないんだから・・・」
言ってるうちに、悲しくなってきた。
「・・・私・・・音葉の友達じゃないんだから!」
叫んだ。
もうすぐ部活も引退だし。蓮くんとはかかわらないんだろうし。
真友はそう思った。
そんな真友に、近づく影があった・・・。




