アマグモ
ジュー・・・
「いい感じかな」
できあがったハンバーグを見て、真友は満足そうに笑った。
明日は、木坂のバスケの試合。
これで勝てれば、優勝で終わることができる。
木坂に、勝ってもらいたい・・・。
「真友、何焼いてるの?」
「お母さん」
あわてて振り返った。
「・・・最近恋でもした?」
「えっ」
「ふふっ。言わなくていいわよ、お母さん、見てるだけでわかっちゃうもの」
真友は茫然としてしまった。気づかれてたの!?ウソ!
・・・私、・・・いろいろあるけど、恋してよかったかも。
真友は心の中でそう思った。
「えー、明日のお天気ですが、急に雨雲の動きが変わって明日は大荒れとなるでしょう。では、西日本から天気見ていきましょうかー。中継の佐藤さーん」
・・・真友は夕方のニュースの天気を見て凍り付いた。
「では続いて、東日本の明日のお天気です。こちらは西日本よりも強い雨が降る可能性が高いです。まずは、東京のお天気・・・」
真友はごくんと、つばをのんだ。
「明日は朝からずっと大雨。大きな雨雲が覆いかぶさってますねー。午前、午後、どちらも出かけるのは困難でしょう。明日は洗濯もやめたほうがいいんじゃないでしょうか?」
「・・・そんな」
真友はぽろっといった。
あんなに、木坂くんがんばってたのに。あんなに、練習してたのに。そんなのって・・・そんなのってないよ。
真友はこの前作ったてるてる坊主を見つめた。
子供っぽい?何、それ。そんなの効果ない?やってみなくちゃ、分かんないよ。
真友はてるてる坊主に向かって、必死にねがった。
(お願い、神様。木坂くんのバスケの試合・・・どうか晴れにしてください)
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「明日は、木坂のバスケ試合・・・」
音葉はつぶやいた。
音葉は今、ポテサラを作っている。
「・・・なんで?」
音葉は言った。
「なんで、私より真友なの?真友なんて、友達少ないし、全く男子と話せないし。いつもいつも引っ込み思案で何もできないのに。私のほうが、真友よりかわいいし。友達多いし。男子とも話せて、みんなの中心にいて。なのに、・・・」
・・・昨日のことだった。
木坂に別れようって言われたのは。
「・・・え?」
「・・・俺、もう無理。井上のホントの性格、知っちゃったから」
「・・・は?」
・・・信じらんない。
「木坂は、私より、真友なんかが好きなの?ねえなんで?ねえ、どうして?」
「は・・・?有岡は・・・俺、好きじゃねーけど・・・?」
「ウソつき。あのどしゃぶりの日だって、迷わず、真友を選んだくせに。あの日、真友を家にあげたってホントなの?木坂」
「ああ、あのときか。あげたけど、それと好きかどうかはかんけーないよな?」
「ある」
「・・・うるせえな。とにかくもう俺、お前とは話さねえから」
・・・どうして。
私じゃないの。
今までいろんなことで真友に勝ってきた。
今度も、真友には勝たせないんだ。
私のほうが、木坂につり合っているもん。
音葉はその時、天気なんて、気にしてもいなかった。
ただただ、明日勝つことだけ、考えてた。




