ツユアケ
「・・・晴れてる・・・」
真友はポカーンと口を開けた。
「今日、雨雲が以上に早く東京を通り過ぎたため、晴れとなりました。今日梅雨明け宣言も出ましたねー」
「はい。これで梅雨は終わりですね」
「・・・やったぁ!」
真友は飛び跳ねて喜んだ。
これで木坂くん、バスケできるね!
そう。バスケなのに、雨?って思った人もいるかもしれませんが、今日木坂がバスケをする場所は天井に穴が開いている形のドームなのだ。
「ただいまより、○○地区バスケ選手権が始まります。まずはじめに、バスケ選手の△△さんからお言葉です――――・・・」
アナウンスが聞こえて、真友は慌てて走り出した。
会場内に入ると、選手の人の言葉が終わって、拍手が起きていた。席、席・・・あった!
笑顔で座ろうとすると・・・
「ちょっとそこの人!どいてくれる?」
「えっ?」
「あーもうじゃまじゃま!どいたどいたー。私、この席前からとってたんだけど」
顔を見て・・・真友の動きが止まった。
「音葉・・・!?」
「あ、なーんだ真友だったの。私、この席、座るから、真友は他を探せば?・・・って、もう、ないか」
音葉は見まわして、「ごめーん」といった。
・・・音葉は真友だって分かってた、と真友は悟った。
音葉は知らない人に、「じゃまじゃま」なんて言わないもん・・・。
立っていても、邪魔なだけだった。他のお客さんの迷惑になるだけだ。
「・・・」
真友はハンバーグを手に持って、会場の外へ出た。
外にも、人はわらわらといる。真友は人の少ないところに行こうと、会場の裏側へ回った。何やら怖そうな係員がいるけど、ここにいても、怒られないみたいなので、真友はここにいることにした。
「はぁ・・・」
・・・ハンバーグ。
作ってきたけど、・・・捨てるしか、ないか――――――・・・
「有岡!」
・・・声が聞こえた。
「・・・木坂くん⁉」
「よっ!もしかして、有岡、この穴場調べたの?」
「穴場?」
「うん。ここって、あの怖い係員がいるからみんな近寄ってこないんだけど、実は最高なスポットなんだぜ。出場前、後の選手は大体人の少ないここでゆっくり休憩してるし、来いよ」
木坂に背中を押されて、ドキッとしてしまう真友。
「ここ、ここ。座れないけど、ほら」
会場の中を見ると・・・ちょうど、よく見える位置だった。
「わぁ・・・」
「ここなら、声上げて応援してる会場内より、有岡もいやすいと思うし。な!」
・・・木坂くん・・・。
「・・・あの、あのね。・・・くって・・・たの。・・・これ・・・」
真友はそっと、ハンバーグを渡した。
「いっ、いやだったら、・・・すてっ、て、いい・・・ら・・・うけとって、くだ・・・さ・・・い」
「・・・ありがとう」
木坂の声が、ちょっとだけ小さくなったように感じた。やっぱり、いやだよね・・・と思いながら真友が見ると。
「あ、あんまみんなよ有岡!ほらっ、だ、第一試合始まってる」
木坂はそのあと、こういった。
「・・・一緒に、見るか」
「・・・うん」
「あ、もう俺行かなきゃだから。じゃー、頑張ってくるわ」
木坂はハンバーグを手に持って、にかっと笑った。
「このハンバーグ、後で休憩時間に一緒に食べねー?」
真友の顔が、真っ赤になった。
・・・一緒にいられる・・・。
「うん。うんっ、食べたいです」
木坂は「何そのかしこまった言い方」と笑うと、言った。
「ちゃーんと俺の活躍、見とけよ。後で、俺が何点入れたかクイズ出すからな!」
「・・・うん、絶対、答える」
真友はそう言うと、「がんばってね」といった。
・・・真友の位置からよく見えるコートに、木坂は出てきた。




