クモリゾラ
・・・蓮と付き合い始めて、真友の一週間は大変だった。
蓮のどこを好きになったの、出会いはどこで――――――あの男子絶対無理な有岡に彼氏ができた――――噂はすぐに広まった。
あの有岡を振り向かせた天才、沢村蓮――――2年5組だ、とか、14番だ、とか。蓮のことも、とにかくいろいろ流れて、大変だったのだ。
「真友、お疲れ様」
飛鳥は部活になると、きまってそういった。
「・・・なんで、付き合ったりしたの?私、気づいてたんだからね。・・・真友が、木坂を好きってこと」
「・・・飛鳥には、わかんないよ・・・」
真友はそう言って、トントントン・・・リズムよく、ニンジンを切り続けた。
「真友・・・」
「・・・もう、いいの。あきらめるしか、ないんだから」
飛鳥は真友のそばを離れていった。
「真友先輩、そっちは大丈夫ですか」
「・・・見たら、分かるでしょ・・・」
「ですよね」
蓮と真友、2人だけの調理室。
「・・・僕とつきあって、本当に真友先輩はいいんですか?」
蓮は手を止めて、言った。
「・・・木坂先輩は、もう、音葉さん・・・井上先輩のこと、好きじゃ、ないんですよ」
「・・・でも、・・・とはが、す・・・きで・・・。うばうようなこと、・・・きなくて・・・」
音葉がいる限り、ムリ。
でも、いなくなってほしいんじゃない。
私はこのままでいい・・・真友はそう思っていた。
「真友先輩。・・・別れたくなったら、いつでも、言ってください」
「・・・」
ここ何日か、雨も降らない、けど、晴れはしない。そんな曇り空ばっかりだ。
真友と音葉がケンカしたときは、大雨が降って。仲直りしたら、晴れて。雨が降る日には必ず何か、木坂との出来事があって・・・。
今は、もやもや、悩んでいる、真友の気持ちなのか。
木坂のことを忘れられなくて、でも、蓮も・・・。そんな気持ちが、今の曇り空なのかな。
真友は空を見つめた。
「ついに明後日に迫った、木坂のバスケ大会ーーーっ!」
「音葉は?何持ってくの、差し入れ?」
「どーしよっかな・・・。ポテサラ」
音葉がチラッと木坂を見るけど、その目はなんだか悲しそうだった。と、いうより、憎そう?
「・・・真友はハンバーグ作ってけば?」
飛鳥の声がして、振り返ると、飛鳥はウインクしながら立っている。
「安心して。真友は1人じゃなくて、私も、蓮くんも、木坂もいるよ」
飛鳥の一言で・・・真友は、バスケ大会、行こうと決めた。




