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転生探索者のすべき事  作者: 寿司
第一章

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44/50

孤独

「なんで...助けた?」

『助けた?思い違いですよ。私はただ、貴方を最高の状態で喰いたいだけ』

「意味が分からなねぇ。お前の目的は俺を利用する事だったはずだ」

『いえ、あくまでそれは星の智慧派の目的でしょう。彼らの目的が、私の目的とは限らない。何度も言いますが、私が求めるのは終わり(強者との戦い)のみ』


その返答に頭を掻きむしって幻聴を誤魔化した後、溜息を吐く柴田。もう色々諦めたように言葉を紡ぐ。


「悪いが俺には無理なんだよ。さっきも見ただろ、結局俺は変われねぇんだよ...何度やっても、やっぱり人なんて殺したくない。お前らがそんなに俺を求める大義があるなら...好きに使ってくれ...」


疲れた。戦いも、殺しも、考えるのも...必死に生きようとする他の人間の意思を砕いてまで、俺は生きたいと思えなくなった。


誰も俺を肯定してくれない。皆、誰かの為に俺の事を殺すのなら...それで良いと思う。ただ俺には、応援してくれる家族も、導いてくれる先生も、背中を預けられる友達も、"俺"を見てくれる人もいなかった。

誰かの為に全てを賭けられる人を、羨ましいと思わないかと言えば嘘になる。でももう良いんだ。俺は、柴田恵都やこの体の持ち主ですらない別の誰かなんだから。



「お前が言う通り、勝ちの目なんて見えなかった。やるならさっさとしてくれ」

『拒否します』

「....は?」

『ただの殺し合いであれば、歓喜に身躍らせて受け入れました。ですが、それは――あなたの生き方(信念)では決して許されない。責任が果たされていない。こに来るまで、いったい何人の夢を打ち砕いてきたのですか?』


何人...何人か。それを聞いたら、今まで渦のように絡まっていた思考がひとまとまりになる。"その言葉が欲しかった"...まるで魂がそう言ってあるかのように、目の前の男の言葉を肯定する。


腑に落ちた――と言って良いのだろうか。今まで"当たり前"や仕方ないと言われてきた柴田――それゆえ相手視点で考える事多かったが――今回は違う。じっくりと相手が自身に容赦が無い事、目的の為ならなりふり構わなくなる事をわからせられた。


ローランは、今までの人生で理解していた。友人を通して理解していた。

人間は本能的に、困難を避け、より容易な選択へと傾きやすいものである――と



この条件の上――柴田の天秤は崩壊する。



大勢見捨てて、何人もこの手で殺した。過去を知らない人も殺した。

諦める事は、許されないと言う事も理解した。


【"運命"と...思わなければ...人の心は...死んでしまう】


ごめんなさい、楽になろうとしてました。戻れると思い上がりました。

俺はちゃんと、苦しみ抜いて生き抜ぬくべきなんだ。


『やはり、力の原動力は怒りでは無く...責任感ですか』

「さっさとしろ」

『私の異能について聞かなくてもよろしいのですか?』

「良い。大方追加効果付与(エンチャント)とかだろ...そもそも答えないくせに」

『さて、どうでしょう?』


ローランが時計を押し込む。動き出す針と同時に、世界が動き出した。


―――――――――――――――――――――――――――――


彼女イスの推測が正しければ、なりふり構わず行動に出た場合、この場にいる全員を殺し得る存在へと変貌すると――面白くなってきた。もしかするかもしれない――戦闘を観戦しながら、ローランは笑う。



殺意がよぎる。イス以来強い害意を見せていなかった柴田が魅せる――膨大な殺意。

まるで魔術を使っているかのように、二人の体が硬直した。


『十速――身体強化ストレングス


再び十速と身体強化ストレングスを併用する。本来なら、体が限界を迎える筈だが、今回は違う。覚悟を決めれば、リスクもある行動も可能だ。


『あれを避け――』


金髪の男を頭から地面に叩き落とす。後頭部を地面にぶつけ、男は動かなくなった。


はぁ成程、確かに貴方の力量ならそれが出来くないのか。分析《観戦》に徹していましたが、面白くなってきましたねぇ。


『ッ!!よくも!!』


神崎鏡子 異能名 吸血鬼


吸血衝動や銀、太陽光への脆弱性を代償とし、不死に近い再生力と血の操作を可能とする能力。この場合、血というのは彼女自身の血液だけでは無く彼女が知覚した血液全てを含む。


『灰血』


つまり対象の血を逆流させ、死へ至らしめる事も不可能では無い。


『まさか...治癒で時間を巻き戻し続け――』

「治癒」


そう言った途端、神崎の時間が巻き戻る。再び四肢が鳴き別れた。


自身に使うだけでは無く、相手の時間を巻き戻す――素晴らしい。


『ッ!』

「見えざる刃・アサルト


続いて金髪の男が舞う。様々な銃火器が少女を襲った。


当然見えざる刃は目の前の男には意味を為さない。そう柴田は理解している。

故に、"直接"男達を狙う事は無い。



建物に向けて見えざる刃を放つ。建物に隠れていた子供と目があったが、魔術の詠唱は止めない。


瓦礫を利用した攻撃、それが魔術の効かない対集団での柴田の結論。だが、この動きには欠点がある。

柴田が先ほどまで行っていた、逃げながら戦う戦い方。この戦い方をするならば、確実に建物《遮蔽物》は必須。そして柴田は新倉から渡された発明品により、糸と魔法を使った三次元的軌道が戦闘力に直結する。


つまり戦法は自分の地理的優位を捨て、相手を手早く除去する()()の戦い方。今までの柴田であれば、確実にしない行動。だからこそこの戦場でイスは考え、柴田の戦い方に有利な陣形を作ったのだ。


実際イスの考えは正しい。本来ローランが刺激しなければ今まで通り、柴田の立ち回りは周囲の人間に配慮し、多少犠牲を減らすように動いた筈だ。それがどんなに愚かな選択だろうと...しかし現実は違う。今、柴田は探索者として、人として"何か"を|越えようとしている。現代社会では壊れてはいけない所が、壊れようとしている。今まで自問自答した果てに、怪物に至ろうとしている。


「ウォーミングアップは十分ですね」


力の応用、超人ゾーンなんて言う綺麗なものではない。これは適応だ。

生物として究極の一になろうとしている。そうローランは分析した。


『お前達だって...命を賭けてるんだもんなぁ...なら...覚悟は出来てるよな?』


言い聞かせるように、独り言を呟く。


死体を漁り、手にする...彼女でも使える人類最新の個人武器を...デザートイーグルなんていう彼女が使えば肩を壊す遊戯じゃない。

彼女が使える"凶器"が、懐に入ってしまった。


『ガッ――』

『ウッ!』


何人、いや残機込みならば何百人を虐殺しながら戦闘を続行する。


「あぁ...これが人類の臨界点と呼ばれ、千の顔を持つ者を封印し、生き残り続けた人類屈指の探索者―――柴田恵都――その片鱗――想像以上です」


―*―*―*―*―*―*―*―*―*――*―*―*―*―*―*―*―*―*―


彼らは残機を使い、銃で抵抗したがまるで戦いになっていなかった。

その証拠に、柴田は返り血しか浴びていない。そして、この戦闘も終わりが近ずいているだろう。


『待って!やめて!!許して...お願い!...私は良いから…殺さないで!』

『その再生は後何回出来んだ?何の条件があんだ?限界はあんのか?』

『限界はあるわ!だから!これ以上浅井君(金髪男)を殺すのを――ング!!』

ウルセー口だな(遅せぇ)


四肢を捥いでマウント体勢のまま、銃を口に無理やり咥えさせる。


『じゃあな』


四分五十五秒後、神崎鏡子は体内に銃弾を残留させたまま再生を続けた結果、再生限界に達し死亡。







『お前の高みの見物もこれまでだ』

「...良いでしょう。ようやく――私好みの舞台になってきた」


一対一...これでこそ...対話の真骨頂。


身体強化ストレングス


十速を切る。

想定するは持久戦。目の前の男が強者であると信じるなら、自身の全力はまだ温存しておこうという判断だろう。


面白い。別世界の技ですか...ですが、やはりイスの推察通り、全ては模倣出来ない様子...今までの戦闘から推察するに、圧倒的に魔術の解析が早く、身体強化を絞りカスのような倍率とはいえで覚えられたのは、奇跡...と言った所でしょうか?


分析の後、構える。


「深層―― "炎の外套" 」


詠唱が終わった瞬間、空気が一段、軋んだ。

火が生まれたのではない。世界の温度が、ロ彼を拒絶したかのようだった。


炎は足元から立ち上がり、布を纏うように触手が身体へと絡みつく。

だがそれは燃え移る火ではない。

皮膚を焦がす寸前で留まり、赤と橙の光だけを残して脈打っている。


揺らめく炎の内側で、影が歪む。

熱により輪郭は曖昧になり、距離感すら狂わせる。


万全では無いのは残念ですが、仕方がありませんね。


「さぁ...始めましょうか」



アキベエル アサエル アザゼル アスファエル アスベエル アドナルエル

アナニエル アラキバ アルスヤラルユル アルマロ アルメルス アルメン

アレスティキファ イェクン イェタルエル イェルミエル イゼゼエル 

イヤスサエル ウリエル エゼケエル カマエル ガデルエル ガ◾️リエ◾️

ケエル ゲダエル コカビエル ザキエル サハリエル サラカエル サルタエル

ザレブサエル サンダルフォン シェムハザ シマピシエル シャムシャエル

シャティエル ダネル タミエル タルエル トゥマエル トゥルエル トゥルヤル

ナレル ヌカエル バササエル ハスデヤ バタルヤル バトラエル バラキエル

ヘエル ベカ ペヌエル ペネム ヘルエムメレク ベルケエル ヘロヤセフ 

ミカエル メタトロン メルエヤル メルケエル ヨムヤエル ラグエル

ラファエル ラムエル ラメエル ルマエル ルムヤル


オリヴィエ テュルパン オジェ・ル・ダノワ リナルド マラジジ 

リッチャルデット ジラール・ド・ルシヨン ネーム オットン ベランジェ

ジョフロワ アストルフォ サロモン ブランディマルテ ガヌロン


シャルルマーニュ


瞳 天使 信仰 カミ 英雄 反魂 正気 宇宙 支配者 箱庭 南極 寄生

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