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「いよいよ本番か……!やったるぞ!」

ギルドの担当者であるエリナにも、試作品の [甘露りんご] を使ったりんご飴と [黄金芋] の大学芋を見せ、試食してもらった。

エリナは、その見た目の美しさと、斬新な味に目を輝かせ、ギルドマスターにも絶賛の報告をすると約束してくれた。

「リョウ様、素晴らしいです!これならば、交易祭の目玉として、間違いなく成功するでしょう!感動しました!」

エリナは、すぐに町の中心部の広場にリョウの屋台を設置する許可を取り、本格的な宣伝活動を開始した。まるで敏腕プロデューサーのようだ。


リョウは、屋台で甘露りんご飴と黄金大学芋を販売し、町の人々にその味を広めていった。

「甘くて美味しい、りんご飴だよ!いかがですかー!」

「ホクホクの甘いお芋、大学芋はいかがですか!疲れた体に染み渡るぞ!」

最初は物珍しさから遠巻きに見ていた人々も、一口食べるとその美味しさに驚き、次々と行列を作るようになった。

特に子供たちには大人気で、連日リョウの屋台の前には長蛇の列ができた。


「屋台の兄ちゃんの新しいお菓子、美味しいって評判だぜ!毎日食べちゃう!」

「あれを食べたら元気になるって噂だ!私も毎日買ってるわ!」

町のあちこちで、リョウの屋台の噂が広まっていく。

リオンとガウルも、リョウの護衛と称して(実際は味見役として)、毎日屋台に顔を出した。

彼らの存在もまた、リョウの屋台に活気を添えていた。


交易祭までの一ヶ月間、リョウはひたすらりんご飴と大学芋を作り続けた。

その過程で、彼はさらに効率的な調理方法を身につけ、スキルも少しずつ成長しているような感覚があった。

そして、町の人々の反応を見ながら、味の微調整も行った。

祭りの日が近づくにつれて、町はお祭りムードに包まれていった。

色とりどりの旗が飾られ、通りには続々と屋台の準備が進められている。


リョウの屋台は、すでに多くの人々に知られる存在となり、交易祭での彼の出店は、町の人々の間で大きな期待を持って語られるようになっていた。

「いよいよ本番か……!やったるぞ!」

リョウは、交易祭が開催される広場に設置された、巨大な特設会場を見上げた。

そこは、これまでの小さな広場とは比べ物にならないほど広く、国内外から集まる商人のためのテントが所狭しと並んでいる。

彼の屋台は、その中でも一際目立つ場所を用意されていた。

彼の新たな挑戦は、まさにここから始まるのだ。



ついに、交易祭の当日がやってきた。

町は朝早くからお祭り騒ぎで、リョウの心臓も期待と緊張で高鳴っていた。

特設会場には、国内外から集まった様々な商人の屋台がひしめき合い、活気と熱気に満ちている。

リョウの屋台は、ギルドから用意された一際目立つ区画にをもらい、ガウルが引いてきたリアカーになった屋台を設置した。


「さあ、リョウ!最高の甘露りんご飴と黄金大学芋を作って、皆を驚かせてやるぞ!気合入れていこうぜ!」

ガウルが力強く拳を突き上げた。

リオンも穏やかな笑みで頷いている。

「ああ、頑張るぞ!俺の腕の見せ所だ!」

リョウも気合を入れ直し、準備に取り掛かろうとした、その時だった。


ギルドの担当者であるエリナが、血相を変えて駆け寄ってきた。

その顔には、明らかに焦りの色が浮かんでいる。

「リョウ様!大変です!ギルドで保管していた [甘露りんご] と [黄金芋] が……届きません!」

「ええっ!?届かないって、どういうことですか!?」

リョウは耳を疑った。


エリナは言葉を詰まらせながら説明した。

「今朝、運搬の部隊が向かったのですが、道中で馬車の車輪が外れるという事故が起きたそうで……。積み直しと修理に時間がかかり、午前中には間に合わないと連絡がありました!」

リョウは青ざめた。

午前のピークを逃せば、今日の売上はもちろん、何よりも交易祭の目玉としての期待に応えられなくなる。

しかも、せっかくギルドが用意してくれた特産品だ。

彼自身の屋台スキルがあれば材料は出せるが、それはギルドの厚意を無にする行為になる。


「そんな……!どうしよう、リオン!ガウル!どうしよう!?」

リオンは眉間に皺を寄せ、状況を把握しようとする。

ガウルも悔しそうに唸った。

「ちくしょう!こんな時に!俺の腹が鳴り止まねぇぞ!」

その時、リョウは嫌な予感に背筋が凍りついた。


隣の区画に目をやると、見覚えのある屋台が軒を連ねている。

彼らは、リョウの屋台で大ヒットしたホットドッグを真似て販売しているのだ。

粗悪な見た目と匂いだが、それでも人が集まっている。

「まさか……この状況を狙って……?なんてこった、ライバルまで!」

リョウは奥歯を噛み締めた。


特産品が届かない上、競合まで現れた。

まさに四面楚歌だ。

焦りと不安が、リョウの心を支配していく。



「リョウ様!どうしましょう!?ギルドマスターからも、午前中の準備は万全にと厳命されています……!」

エリナが切羽詰まった声でリョウに助けを求めた。

リョウは頭をフル回転させた。


(このままでは、ギルドマスターの期待を裏切るだけでなく、エリナさん、リオンやガウルの顔にも泥を塗ることになる。それに、せっかく信用してくれた町の人々にも申し訳ない……!俺はここで終わるのか!?)

「くそっ……!」

その時、リョウはふと、自身の屋台スキルの「どんな食材も完璧に揃える」という能力と、「その場で屋台の形態を変える」という能力に改めて意識を集中した。


これまでは、自身の記憶にある日本の食材や料理を呼び出してきたが、もし、この世界で目にした食材を意識したらどうなるだろうか?

リョウは、交易祭に集まる多種多様な人々、そして彼らが持ち寄っているであろう品々に目を向けた。

この町だけでなく、遠い国々からも商人が来ている。

ならば、彼らが持ち込む食材も、この町では見慣れないものがあるはずだ。


(そうだ!「新たな食」は、特産品にこだわる必要はないんだ!それに、午前中は特産品が無くても、手軽に、そして華やかに提供できるものにしよう!ピンチはチャンスだ!)

ギルドマスターの真意は、この町の名を広めること。

ならば、「リョウの屋台」そのものが生み出す奇跡の「食」こそが、祭りの目玉になるべきだ。


特産品が間に合わないなら、手持ちの「屋台」スキルを最大限に活かすしかない!

リョウは、意を決してエリナに言った。

「エリナさん!俺に任せてください!別の『新たな食』を用意します!後でギルドマスターには、俺から説明しますので!大丈夫、きっと成功させます!」

エリナは驚いたが、リョウの目にある強い光を見て、ハッと息を呑んだ。

「分かりました!リョウ様を信じます!お願いします!」

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