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「ええ!?まさか!俺、なんかやっちゃった!?身に覚えがないぞ!」

翌日以降も、リョウの屋台は連日大盛況だった。

ホットドッグは、手軽さと美味しさから飛ぶように売れ、町の新しい名物となりつつあった。

「屋台の兄ちゃん」として、リョウの知名度は町中で高まっていった。

そんなある日、商人ギルドからリョウに呼び出しがかかった。


リオンとガウルも心配して同行してくれた。

「何か問題でも起こしたか、リョウ?」

リオンが不安げに尋ねる。

「ええ!?まさか!俺、なんかやっちゃった!?身に覚えがないぞ!」

リョウは慌てて首を振った。


ギルドのカウンターには、以前登録手続きをしてくれた職員が座っていた。

彼女はリョウたちを見ると、意外にもにこやかな表情で迎えた。

「リョウ様、お待ちしておりました。実は、あなたにご依頼したいことがありまして」

「ご依頼? ですか?私に?」

リョウは首を傾げた。


「はい。あなたの屋台の噂は、すでにギルドにも届いています。特に、その不思議な『屋台』と、そこから生まれる [ホットドック] の評判は、ギルドの最高責任者の方の耳にも入っておりまして」

職員はそう言って、奥の部屋を指差した。

「ギルドマスターが、あなたにお会いしたいと仰っています」

リョウは、まさかの展開に驚きを隠せない。

「ギルドマスターが、俺に!?なんで!?」

リオンとガウルも、この思わぬ展開に顔を見合わせている。


ギルドマスターとは、この町の商人ギルドのトップだ。

並の商人では、そう簡単に会える相手ではない。

リョウは緊張しながら、案内された奥の部屋へと足を踏み入れた。

部屋の奥には、豪奢な椅子に座る初老の男性がいた。

彼の顔には深い皺が刻まれており、その瞳は鋭く、リョウの全てを見透かすかのようだ。

しかし、口元には柔和な笑みを浮かべている。


「ようこそ、リョウ殿。私がこの商人ギルドのギルドマスター、グラハムだ」

グラハムと名乗る男性は、静かにリョウに語りかけた。

「噂はかねがね伺っている。君の屋台と、そこから生み出された料理は、この町の食文化に新たな風を吹き込んでいると。特に、その [ホットドック] なるものは、画期的だと評判だ」

グラハムの言葉に、リョウは思わず「ははは……」と愛想笑いを浮かべた。


「そんな大層な……ただ、美味いものを皆に食べてもらいたかっただけで……いや、本当に!」

グラハムはリョウの様子に満足したように頷いた。

「さて、単なる挨拶のために呼び出したわけではない。君に、一つ依頼がある。この町では年に一度、大規模な『交易祭』が開催される。国内外から多くの商人が集まり、様々な品が取引される一大イベントだ」

リョウはゴクリと唾を飲み込んだ。

( 交易祭……!なんかすごい響きだぞ! )


「今年の交易祭で、君の屋台を出店してもらいたいのだ。それも、ただ出店するだけではない。祭りの目玉として、この町、ひいてはこの国の名を高めるような、新たな『食』を提供してもらいたい」

ギルドマスターの言葉は、リョウにとって驚きと同時に、大きな期待を抱かせるものだった。

( 祭りの目玉……!?そんな大役、俺に務まるのか!?責任重大すぎるだろ! )


彼の心臓は高鳴り、新たな挑戦への予感が胸に広がる。

グラハムは、リョウの返事を待つように静かに見つめていた。

その視線は、リョウの「屋台」スキルが持つ真の可能性を見抜こうとしているかのようだった。



ギルドマスター、グラハムの言葉が部屋に響く。

「交易祭で、祭りの目玉として、この町、ひいてはこの国の名を高めるような、新たな『食』を提供してもらいたい」

リョウは、その言葉の重みに息を呑んだ。

ただ屋台を出すだけでなく、「祭りの目玉」として「新たな食」を提供する。

それは、まだ駆け出しの商人でしかない彼にとっては、あまりにも大きな、しかし同時に胸躍る依頼だった。


( 祭りの目玉……!?そんな大役、俺に務まるのか!?いや、すごいチャンスじゃないか!?やってみたい!だって、俺には最強の屋台スキルがあるんだから! )

リョウの心臓は高鳴り、新たな挑戦への予感が胸に広がる。

しかし、同時に不安もよぎる。


これまで作ってきたのは、あくまで日本の屋台料理の模倣だ。

この異世界で「新たな食」として通用するのか?そして、そんな大役を担うだけの能力が、自分にあるのだろうか?

グラハムは、リョウの返事を待つように静かに見つめていた。

その視線は、リョウの「屋台」スキルが持つ真の可能性を見抜こうとしているかのようだった。

沈黙が数秒続いた後、リョウは意を決して口を開いた。


「ギルドマスター……一つ、お伺いしてもよろしいでしょうか?」

「なんだ、リョウ殿」

「俺のような、この町に来たばかりで、しかも駆け出しの素人同然の商人でしかない人間に、なぜそのような大役を……?まさか、他に誰もいないとか?」

グラハムは柔和な笑みを浮かべた。


「君の屋台と、そこから生み出される [ホットドック] の評判は、すでにギルドにも届いている。特に、あの手軽さと、この町にはなかった独創的な味は、人々を大いに魅了しているようだ。我々は、その可能性に賭けたいのだ。君こそが、その役目にふさわしい」

グラハムの言葉は、リョウの心を強く打った。自分のスキルが、ここまで評価されているとは夢にも思わなかった。

( まさか、ギルドマスターにまで届くとは……、嬉しいぞ )


「それに、今回の依頼は、君にとって商人としての大きな足がかりになるだろう。成功すれば、この町での信頼と名声を得ることができ、ギルドカードの信用度ランクも上がる。決して損な話ではないと思うがね」

リョウは、リオンとガウルの顔を見た。

二人は、リョウの決断を静かに見守っている。


不安がないわけではない。だが、このチャンスを逃せば、いつまたこんな大きな舞台で自分の力を試せる機会が来るだろうか。

そして何より、自分の「屋台」スキルを、この異世界の人々に最大限に活かして喜んでもらいたいという気持ちが、リョウの中に強く湧き上がってきた。

「……分かりました。ギルドマスター。このリョウ、精一杯務めさせていただきます!やらせてください!」

リョウは深々と頭を下げた。グラハムは満足そうに頷いた。


「うむ、良い返事だ。期待しているぞ、リョウ殿。ところで……」

グラハムはそこで言葉を切ると、リョウが傍らに置いた小型化した屋台に視線を向けた。

「その小さな木製のカートは……君の屋台なのだな?以前、門番から大きなリヤカー型の屋台を引いてきたと聞いているが、これは一体……?まさか、魔法か何かかね?」


グラハムの鋭い問いに、リョウは一瞬躊躇した。

自分のスキルについて、どこまで話すべきか。

しかし、このギルドマスターは信頼できそうだ、と直感した。

それに、この依頼を受ける以上、隠し事をするのは得策ではないだろう。


「実は……俺の屋台は、俺の望む形に変化するんです。そして、その形に合わせて、色々な料理に必要な食材も用意してくれるんです」

リョウは、小型化した屋台を指差しながら、正直に答えた。

「よろしければ、お試しでいかがでしょうか?」

リョウがそう言うと、グラハムは興味深そうに頷いた。

「ほう、それは面白い。ぜひ見せてもらおうか」


リョウは

( 屋台、ホットドッグ! )

と念じると、小型カートだった屋台が淡い光に包まれ、瞬く間に [ホットドッグ] を調理する屋台へと変形した。


その様子に、グラハムは驚きの表情を浮かべる。なぜか横でリオンとガウルはドヤ顔でうんうんと頷く。

リョウは手早くソーセージを焼き、パンを温め、熱々の [ホットドッグ] を一つ作り上げた。

香ばしい匂いが部屋中に広がる。

「どうぞ、ギルドマスター。これが、町で提供させていただいている [ホットドック] です」

グラハムは差し出された [ホットドッグ] を一口食べると、その目が大きく見開かれた。


「な、なんだと……!?この肉の旨味とパンの組み合わせは……!それに、この速さで調理できるとは!これは素晴らしい!魔法を超えているではないか!」

グラハムは椅子から身を乗り出し、興奮を隠せない様子だ。

「それは……まさに奇跡としか言いようがない能力だ!素晴らしい!これならば、交易祭での『新たな食』は、より独創的なものにできるはずだ!これはとんでもない人材を発見したぞ!」

グラハムはリョウの能力に確信を得たように頷いた。


「よし、リョウ殿。君に、さらに一つ提案がある。この町の特産品に、君の屋台の『変化』の力を加えて、新たな『食』を生み出してほしいのだ」

ギルドマスターは、リョウが広場で見た、町の特産品について言及した。

「このエクレアは、周囲の豊かな自然に恵まれ、特に [甘露りんご] という甘みが強く大きなリンゴと、 [黄金芋] (おうごんいも)というホクホクとした食感の芋が有名だ。これらを活用し、誰もが驚くような料理を創り出してほしい。それが、この町の交易祭の目玉となるだろう」

リョウは、グラハムの言葉に目を輝かせた。


「 [甘露りんご] と [黄金芋] !なるほど、そういう組み合わせか……!デザート系かな?いや、食事系にもいけるかも!」

具体的なヒントを得て、リョウの頭の中でアイデアが急速に膨らみ始めた。

「分かりました、ギルドマスター!その [甘露りんご] と [黄金芋] を使って、最高の『新たな食』を生み出してみせます!ご期待ください!」

リョウは力強く答えた。グラハムは満足そうに頷いた。


「うむ、良い返事だ。具体的な準備については、後日、担当の者から説明させよう。何か困ったことがあれば、遠慮なくギルドに相談しに来るように」

リョウは「はい!」と力強く答えた。

部屋を出ると、リオンとガウルが笑顔でリョウを迎えた。


「やったな、リョウ!大役を任されたな!」

「すげぇぞ、リョウ!これで美味いものがまたたくさん食えるな!期待してるぞ!」

二人の言葉に、リョウも自然と笑みがこぼれた。

「ああ、頑張るぞ!俺の腕の見せ所だ!」

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