第五話 最長老グエン
ゲンシンは、グエンが暮らす村へ到着すると、早速、館へ赴いて謁見を申し込んだ。
「緑領から直々にいらっしゃるとは……魔女のことを聞きたいのじゃろ?」
「話が早くて助かります」
「残念だが、協力できることはない。正直、わしも何も知らんのだ。前々代の司祭が行った弾圧は、それは酷いもんじゃった。今さら手のひらを返して呼びかけたところで、現れる魔女はおらんだろう」
「……そうですか。では、何か手掛かりになるようなことはありませんか?」
「女性であることくらいじゃな」
「あはは……」
案の定、これといった情報は得られなかった。
しかし、ゲンシンの頭の中には、妙に引っかかるものがあった。
女性であるという情報も、考え方次第では十分な手掛かりになるかもしれない。
もし魔女の一族が現在も存在しているのなら、母から娘へと何代にもわたって魔女の血筋を受け継ぐ女性たちが、一緒に暮らしている可能性がある。
では、彼女たちはどんな村に身を隠すだろう?
女性が多い村なら、その中に紛れ込んでも目立ちにくい。逆に女性が少ない村なら、女性というだけで目立ってしまう。
確率で考えるなら、女性の多い村に身を隠す可能性のほうが高いのではないか。
「最長老、女性の割合が多い村などあったりするんですか? それとも、女性が村長を務めている村とか」
「割合というのは分からんが、女性が治める村といえば、峡谷にあるシャングー村だな。ただ、雨の多いこの時期は崖崩れなども頻発する。村まで行くのはかなり危険じゃぞ。もしかしたら、道も塞がっているやもしれん」
「それは理解しています。でも、時間がありません」
ゲンシンは少し考えてから、グエンに尋ねた。
「最長老にお願いがあるのですが、道案内を頼める、お喋りな女性を紹介していただけませんか?」
「なんだ、お主。いやらしい男じゃな」
「いえいえ! 女性の多い村へ出向くのに、男性一人で行くよりは警戒されにくいかと思いまして……」
「なるほどのう」
グエンは納得したように頷いた。
「口が達者で、道案内もできる女性といえば、リャオリンか。ガイドというわけではないが、山菜取りを生業にしておるから、山道には詳しいはずじゃ。誰かに呼びに行かせよう」
「助かります」




