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第五話 連鎖する闇 二都市同時襲撃!

グレアライン区での突発的な襲撃は、ただの始まりに過ぎなかった。

街の要所を狙い撃つように、次々と発生するスプロットの暴走。

その裏で、幹部たちが同時に姿を現すという異常事態が進行していた。


アルトとヴァルカ、アレサとイリス──

それぞれが別の戦場で限界を超える戦いを強いられ、

敵はまるで“何かを試すように”戦線を分断してくる。


そして、三幹部が同じタイミングで姿を揃えた意味は何なのか。

なぜ、圧倒的優位にありながら彼らは撤退したのか。

霧の奥で蠢く“シャドウ”の意図は、まだ誰にも読めない。


連鎖する襲撃の裏で、敵の本当の狙いが静かに形を成し始めていた──。

【本部会議室緊急通報】

警報が鳴り響き、会議室の扉が勢いよく開いた。


オペレーター「緊急事態! グレアライン区がスプロットの大規模襲撃を受けています!」


室内の空気が一瞬で張り詰める。


ヴァルカ「……来たか」


アルト「またかよ……!」


イリス「グレアラインって……港の……?」


アレサ「物流の要だ。落ちれば街全体が麻痺する」


アルトは机に広げられた地図を睨みつけ、状況を整理した。


【グレアライン区混乱の渦中へ】

潮風に混じって、悲鳴と怒号が飛び交っていた。


港町グレアライン区は、すでに“襲撃の真っ只中”だった。


倉庫の屋根が崩れ、市場のテントが引き裂かれ、

スプロットの群れが市民を追い回している。


ヴァルカ「アルト、急ぐぞ! もう始まってる!」


アルト「分かってる! 前方、スプロット十数体!」


アルト「突破する!」


二人は駆け出し、スプロットの群れへ突っ込んだ。


【アルト&ヴァルカの猛攻】

アルトの長剣が閃き、スプロットの爪を弾き飛ばす。


アルト「右側、まとめて落とす!」


ヴァルカのオルファソードが横薙ぎに振るわれ、倉庫の壁ごとスプロットを切り裂いた。


ガギィィィン!!


スプロットが次々と霧散していく。


避難誘導の声が飛び交い、倉庫の影から市民が走り出す。


アルト「避難路を確保した! ヴァルカ、後方を頼む!」


ヴァルカ「任せろ!」


オルファソードが地面を叩き割り、衝撃波がスプロットを吹き飛ばす。


その衝撃波の向こうから、“巨大な影”がゆっくりと立ち上がった。


【幹部の登場】

オークグラットン「ハハハ! また会ったな、人間ども!」


ヴァルカ「前回より魔力が濃い。強化されてるな」


そして――


倉庫の屋根の上から、紫の外套を揺らす男が降り立つ。


ヴァイオレットスパイン「……騒がしいな。俺の名はヴァイオレットスパイン。幹部の一人だ」


アルト「幹部……!」


スパインは長槍を軽く回し、その軌道が風を切る音だけで鋭さが伝わる。


ヴァルカ「来るぞ!」


【激突ヴァルカの剛剣】

オークグラットンの巨大アームが振り下ろされる。


アルトが長剣で受け止めるが、衝撃で足元の石畳が砕けた。


ヴァルカ「アルト、下がれ!」


ヴァルカが倉庫の壁ごとグラットンを押し返す。


オークグラットン「ハハハ! いい力だ!」


スパインの槍がヴァルカの背後へ迫る。


ヴァルカ「いきなりあぶねぇだろ!」


ヴァルカは剛剣を背中越しに振り上げ、槍の軌道を弾き返す。


ヴァイオレットスパイン「……ほう。感がいいな。」


ヴァルカ「百戦錬磨は伊達じゃねぇんだよ!」


ヴァルカが踏み込み、オルファソードの重い一撃がスパインを押し下げる。


スパイン「ぐぬ……!」


アルト「今だ、ヴァルカ!」


【アルトの剣術センス】

アルトは一瞬で距離を詰め、長剣を低い姿勢から斜めに振り上げた。


スパイン「……っ!」


槍で受け止めるが、アルトの剣筋は“読みづらい”。


アルトの剣は、力ではなく“流れ”で相手を崩す。


スパイン「この剣筋……厄介だな」


アルトは連撃を叩き込み、槍の軌道を乱す。


ヴァルカ「アルト、右!」


アルトが右へ跳び、ヴァルカが左から斬り込む。


二人の動きは、まるで長年の相棒のように噛み合っていた。


スパイン「雑魚ではないようだな」


アルト「(こいつら隙が無い!)」


【幹部たちの反撃】

オークグラットンが地面を叩き割り、瓦礫が弾け飛ぶ。


ヴァルカ「くっ……!」


スパインの槍がその隙を狙って突き込まれる。


ヴァルカ「させるかよ!」


ヴァルカが剛剣で槍を弾き、アルトが反撃に転じる。


アルト「はあああっ!!」


長剣がスパインの肩口をかすめ、紫の外套が裂けた。


スパイン「……やるな」


アルト「まだまだ行くぞ!」


ヴァルカの剛剣がグラットンのアームを弾き飛ばし、アルトが踏み込む。


アルト「これで――!」


スパイン「甘い」


槍が横から飛び込み、アルトの剣を弾く。


アルト「いや、まだ行ける!」


二人は息を合わせ、幹部二人を押し返し始めていた。


その瞬間――黒い霧が渦巻いた。


【シャドウの介入】

シャドウ「お前達、次の行動に移るぞ。転送を開始する」


アルト・ヴァルカ「あいつがシャドウ……!」


アルト「逃げる気か!」


スパインとグラットンの足元に魔法陣が展開される。


オークグラットン「また中断かよ。ハハハ! またな!」


二人は霧に飲まれ、消えた。


ヴァルカ「どこへ行く!」


アルト「シャドウ!!」


シャドウは霧となって消えた。


ヴァルカは苛立ちを隠さず吐き捨てる。


ヴァルカ「……シャドウ。厄介過ぎるだろ」


その瞬間、ヴァルカの端末が甲高い警告音を鳴らした。


緊急コード。


ヴァルカ「……嫌な音だ」


通信を開くと、オペレーターの焦った声が飛び込んでくる。


オペレーター『メトロポリス区で大規模襲撃発生! スプロット多数、複数ブロックで暴走中!』


アルトの表情が険しくなる。


アルト「メトロポリス……!」


ヴァルカ「現場の状況は?」


オペレーター『アレサとイリスが、すでに現場へ向かっています』


アルト「急いで援護に向かおう」


通信が切れると同時に、ヴァルカは走り出した。


ヴァルカ「時間がない! アレサ……イリス……持ちこたえてくれ。すぐ行く」


アルトは隣で拳を握りしめた。


【メトロポリス区嵐のような襲撃】

医療施設周辺は、すでに“地獄”と化していた。


建物の影からスプロットが溢れ出し、避難誘導の声と悲鳴が入り混じる。


アレサ「イリス、後方を頼む! 絶対に前に出るな!」


イリス「わ、分かってる……! 《ライトアロー》!」


光の矢が連射され、スプロットの頭部を次々と貫く。


イリスの表情は強張っていた。


イリス「アレサ……数が……多すぎる……!」


アレサ「大丈夫だ! 俺が前で全部受ける! お前は後ろから支えてくれればいい!」


アレサの斧が唸り、スプロットの群れを切り裂く。


しかし、倒しても倒しても湧いてくる。


アレサ「くそっ……! 押し切れねぇ!」


イリス「アレサ、右から五体来る!」


斧が閃き、黒い霧が弾ける。


その霧の奥から――


“赤い影”がゆっくりと歩み出た。


ルージュファング奇襲三幹部の集結

【メトロポリス区・医療施設周辺】

黒い霧の奥から、“赤い影”がゆっくりと歩み出た。


空気が重く沈む。

血のような気配。


ルージュファング。


双剣を肩に担ぎ、退屈そうに二人を見下ろしていた。


ルージュファング「雑魚どもが時間を稼いだ甲斐はあったな。やっと本命が来た」


アレサは斧を構え、イリスは息を呑む。


ファングはアレサを見て薄く笑った。


ルージュファング「お前はアレサだな! 少しは楽しませろよ!」


次の瞬間、ファングの姿が掻き消えた。


【アレサ vs ルージュファング】

アレサは反射的に斧を振り上げる。


双剣が火花を散らし、衝撃が腕を痺れさせた。


アレサの大斧が唸りを上げて振り抜かれ、地面が爆ぜる。

破片が弾丸のように飛び散るが、ファングは紙一重でかわし、赤い残光を引きながら懐へ滑り込む。


ルージュファング「眠たくなるな。そんなものか?」


双剣が交差し、アレサの斧の柄を弾いた。

金属音が火花を散らし、アレサの腕が痺れる。


アレサ「チッ……ちょこまかと!」


アレサは踏み込み、斧を横薙ぎに振る。


ビルの外壁を砕く威力だが、ファングは軽やかに跳躍し、軌道をすり抜けるように背後へ回り込む。


背後からの斬撃。


アレサは反射的に斧を背中へ回し、刃を受け止めた。

衝撃で足元の舗装が陥没する。


アレサ「ぐっ……!」


ファングは双剣を滑らせ、アレサの防御を削るように連撃を叩き込む。


斧は防御に向かない。

それでもアレサは倒れない。


ルージュファング「もっと楽しませてくれよ」


アレサ「舐めんなよ……!」


アレサが吠え、斧を振り上げる。


その瞬間、ファングは地面を蹴り、死角へ潜り込んだ。


双剣が閃き、アレサの脇腹をかすめる。

あと一歩踏み込めば致命傷――


横から弾丸が飛び込み、ファングの足元を弾いた。


イリスの援護射撃だ。


ファングは舌打ちする。


アレサは大斧を地面に叩きつけ、衝撃波を発生させた。


ファングは跳躍して避けるが、アレサはその瞬間を逃さない。


アレサ「おらぁッ!!」


斧の縦振りがファングを地面へ叩き落とす。


だがファングは着地と同時に双剣を交差させ、衝撃を殺していた。


ルージュファング「……今のは少し効いたな」


その瞳に、初めて“戦意”が宿る。


ルージュファング「じゃあ、こっちも少し本気を出すか」


双剣が赤い光を纏い、空気が震えた。


アレサは斧を構え直す。


アレサ「来いよ……!」


【高速戦闘】

ファングが消えた。


次の瞬間、アレサの周囲に無数の斬撃が走る。

赤い軌跡が円を描き、アレサは斧を盾のように振り回して受け止める。


火花が連続して弾け、視界が白く染まる。


アレサ「くそっ……速ぇ……!」


ルージュファング「ついてこれるかな!」


双剣が胸元へ迫る。


アレサは斧の柄で受け止め、押し返す。


二人の力がぶつかり合い、地面が割れた。


その時だった。


ズシン……!


地面が揺れ、空気が震える。

建物の窓ガラスがビリビリと鳴った。


イリス「な、何か来る……!」


【幹部二名、追加参戦】

黒い霧の奥から、巨大な影が姿を現した。


鋼鉄の皮膚。

地面を踏むたびに舗装が沈む。


オークグラットン。


その咆哮は爆音のように街に響いた。


アレサ「こんな時に出てくんのか……!」


だが悪夢は終わらない。


ビルの屋上に紫の残光。

細身の影が軽やかに飛び降りる。


ヴァイオレットスパイン。


ルージュファングは口元を歪めた。


ルージュファング「……はぁ? なんでお前らまで来てんだよ」


「……嘘でしょ」  イリスの声は、もう震えを隠せていなかった。


ファングとの死闘で、二人の体は限界をとうに越えている。そこへ、さらに二体。


勝ち筋は、どこにもない。


スパイン「手こずっているな。」


グラットン「オレも混ぜろよ。ハハハハ!」


ファング「邪魔すんな。こいつらは“俺の獲物”だ」


グラットン「ケチくさ。減るもんじゃねぇだろ」


ファング「下がれって言ってんだよッ!」

(ファングが双剣を抜き放つ。赤い残光が弧を描く)


スパイン「やる気か。」


(スパインが太槍を肩から下ろし、地面を抉るほどの勢いで構える)


ファング「調子乗んなよ、スパイン!」


(ファングが踏み込み、双剣が十字に閃く)


スパイン「遅い!」

(スパインの太槍が横薙ぎに振るわれ、衝撃波のような風圧が走る)


ファング「チッ……!」


スパイン「その程度で独り占めとは笑わせる」


(スパインが一歩踏み込み、太槍の穂先がファングの喉元へ一直線に突き込まれる)


ファング「甘ぇよ!」

(双剣を交差させて受け止めるが、衝撃で地面に亀裂が走る)


(ファングとスパインの殺気が膨れ上がり、空気が震える)


スパイン「お前は前から気に食わない。」


ファング「こっちのセリフだよ。」


シャドウ「やめろ」

(黒い影が三体の間に割って入る。空気が一瞬で凍りつく)


アレサ・イリス「シャドウ!!」


シャドウ「時間だ。ダイロン様のところへ向かう」


グラットン「後でやらせろよ、なぁ?」


スパイン「命拾いしたな。」


ファング「……チッ。舐めやがって。」


シャドウ「今は優先が違う。行くぞ」

(シャドウ、スパイン、グラットンが去っていく)


イリス「……助かった……の……?」


アレサ「今は命拾いしたといったところだ……!でもこいつはどうにかしないとな!

(完全に俺たちに興味が無い様子だった……、あれだけの戦力が揃っていたのに、なぜ引いた?

本気を出せば、ここで俺たちをまとめて潰せたはずだ。……なのに、あいつらは見逃していった。)」

アレサ「奴らの狙いは一体……。(ヴァルカ、アルト…まだか!)」


グレアライン区からメトロポリス区へと続いた連鎖襲撃は、

ただの偶然でも、力任せの暴走でもなかった。

幹部たちはそれぞれが強大でありながら、まるで“何かの段取り”に従うように動き、

圧倒的優位の状況でも深追いをしなかった。


アルトとヴァルカ、アレサとイリス──

仲間たちはそれぞれの戦場で限界を超え、

それでもなお、敵の本当の狙いには触れられていない。


三幹部が揃い、シャドウがそれを制し、

最後に残ったのは「なぜ撤退したのか」という疑問だけ。


街は救われたが、戦いは終わっていない。

むしろ、これまでの襲撃は“序章”に過ぎないのかもしれない。

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