第十一話 レオンのキーホルダー(残された音声記録)
失踪したレオン、そして突如として覚醒したイリス。
レイフォールの地下が「消失」するという異常事態の中、それぞれの戦いを終えた一行は再び集結する。
イリスが手にした新たな力――“セイレン化”。それは希望の光か、それともさらなる激闘の幕開けか。
喜びも束の間、アルトが戦場から持ち帰った「レオンのキーホルダー」が、静まり返った空気を一変させる。
小さなキーホルダーに隠されていたのは、闇に葬られかけた**“真実の断片”**。
録音されたレオンの声が、一行をシャドウマーケットの心臓部へと誘う。
運命の糸がルミナス区の坑道地下で絡み合う。
今、失われた仲間を救うため、そして世界の破滅を止めるための、最後の行軍が始まる。
アルトとヴァルカがレイフォールから戻り、
少し遅れてイリスとアレサがセントラルから帰還した。
ヴァルカがイリスを見るなり、目を見開く。
ヴァルカ「イリス、その肩……って、それより……!
お前、本当にセイレン化したのか!!」
イリスは堂々と頷く。
イリス「うん。成功したよ」
ヴァルカは思わず声を上げた。
ヴァルカ「すげぇ……! イリス、お前……本当にやったんだな!」
アレサが横からニヤッと笑い、
ヴァルカの肩をバンッと叩く。
アレサ「おいヴァルカ、聞いて驚けよ。
今日のイリスは“別物”だったぞ」
ヴァルカ「ど、どんな感じだったんだ?」
アレサは待ってましたと言わんばかりに胸を張る。
アレサ「まずな、スプロットが通りを埋め尽くす勢いで押し寄せてきた。
ファングも相当強い。俺たちの状況は最悪だった。」
ヴァルカ「うん」
アレサ「市民も俺らももう限界が近かった。もう駄目か!と思ったその時だ。
イリスの覚悟がセイレン化を起こした。」
イリスは誇らしげに微笑む。
イリス「もう駄目だ。。と思ったんだけど、子供達を見てたら、僕がやらなきゃ!って思えたんだ。」
ヴァルカ「いやいや、力を引き出せるかどうかは本人次第。
イリス、お前……本当に強くなったな。レオンもびっくりするだろう。」
その言葉に、空気が一瞬だけ静かになる。
イリスは小さく息を吸い、
アルトは険しい顔で口を開く。
アルト「レオンの件もまだ何も掴めてない。レイフォールの地下は……完全に“消えてた”」
重い空気が落ちる。
アルトはその沈黙を破るように、ポケットから小さな金属音を鳴らした。
アルト「……そうだ。これ、レイフォールの現場で拾ったんだ」
手のひらに乗っていたのは――
レオンのキーホルダー。
ヴァルカ「レオンの私物か……」
イリスはキーホルダーを見た瞬間、ハッとしたように目を見開いた。
イリス「アルト! それ……中、開くよ!」
アルト「え?」
イリス「レオンが昔言ってた。“非常用のギミックがある”って。
中に小物を入れられるようになってるはず!」
ヴァルカ「そんな仕掛けが……?」
アルトはキーホルダーを慎重に回し、
小さなロックを押し込む。
カチッ。
内部の空洞から、
小さな黒いボイスレコーダーが転がり出た。
アレサ「……レオンの記録装置か」
アルト「再生する。」
全員が息を呑む。
アルトがスイッチを押した。
――ピッ。
スピーカーから、
聞き慣れたレオンの声が流れ始めた。
【レオンの録音】
レオン《……ここはどこだ。見慣れない洞窟に転移させられたらしい。
アレサの気配は……感じられない。完全に分断された》
レオン《奥の通路に、子供たちが連れ去られていくのが見えた。
スプロットが護衛のように囲んでいる。追跡は可能だ》
レオン《……魔力濃度が異常だ。
この洞窟全体が“魔力の塊”みたいになっている。
シャドウの仕業か……いや、もっと大きな力を感じる》
レオン《敵の幹部らしき気配は、今のところ見当たらない。
だが……この魔力量、何かが“起きようとしている”》
レオン《とりあえず、スプロットの後をつける。
どこへ向かっているのか……確かめる必要がある》
【レオンの録音・第二記録】
レオン《……スプロットを十数体、静かに排除した。
子供たちの安全は確保。今は別室に隠してある。
泣き声が響くと危険だから、しばらくは動かせない》
レオン《ここがどこなのか……まだ把握できていない。
洞窟のようだが、人工物の気配もある。
空気が冷たい。湿度も高い。
おそらく地上からかなり下の階層だ》
レオン《大きな音は出せない。
敵に気づかれたら、子供たちを守りきれない。
だから階段を探しながら、上層へ向かうつもりだ》
レオン《……途中の部屋で、とんでもないものを見つけた。
エネルギーキューブが……山のように積まれていた。
数百……いや、千を超えているかもしれない》
レオン《さらに奥に“装置”がある。
用途は不明だが……魔力の流れが集中している。
何かを“起動”させるためのものだ》
レオン《敵の幹部らしき気配は、まだ感じない。
だが……この規模の魔力を扱えるのは、
シャドウマーケットの中でも上位の連中だろう》
レオン《スプロットの一団が、さらに奥へ向かっている。
……追跡を続ける。
【レオンの録音・第二記録】
レオン《……スプロットを十数体、静かに排除した。
子供たちの安全は確保。今は別室に隠してある。
泣き声が響くと危険だから、しばらくは動かせない》
レオン《ここがどこなのか……まだ把握できていない。
洞窟のようだが、人工物の気配もある。
空気が冷たい。湿度も高い。
おそらく地上からかなり下の階層だ》
レオン《大きな音は出せない。
敵に気づかれたら、子供たちを守りきれない。
だから階段を探しながら、上層へ向かうつもりだ》
レオン《……途中の部屋で、とんでもないものを見つけた。
エネルギーキューブが……山のように積まれていた。
数百……いや、千を超えているかもしれない》
レオン《さらに奥に“装置”がある。
用途は不明だが……魔力の流れが集中している。
何かを“起動”させるためのものだ》
レオン《敵の幹部らしき気配は、まだ感じない。
だが……この規模の魔力を扱えるのは、
シャドウマーケットの中でも上位の連中だろう》
レオン《スプロットの一団が、さらに奥へ向かっている。
……追跡を続ける。
この先に“核心”があるはずだ》
【レオンの録音・第三記録】
レオン《……敵の幹部を確認した。
黒ローブの三名。魔力の質がスプロットとは桁違いだ》
レオン《奴らはどこかへ向かう準備をしている。
会話を盗み聞いたが……目的地は“メトロポリス区の医療地区”らしい》
レオン《どうやら、あの地区からエネルギーキューブを盗み出し、
ここへ運び込んでいるようだ。
医療地区なら警備は薄い……狙いとしては合理的だな》
レオン《しかし……これだけのキューブを集めて、
一体何を動かそうとしている?
魔力の流れが不気味なほど整っている。
ただの兵器ではない……もっと大きな“何か”だ》
レオン《幹部たちは全員、外へ出た。
今なら基地内を調べられる》
(少し息を整える音)
レオン《……探索を続けた結果、ここがどこなのか分かった。
壁の刻印、地形、空気の流れ……全部一致する》
レオン《ここは――“ルミナス区の坑道地下”だ》
レオン《まさか、こんな場所にアジトを作っていたとは……
地上からのアクセスはほぼ不可能。
完全に隠れ家として機能している》
レオン《……アジトの位置は特定した。
子供たちも無事だ。これより地上へ戻る》
レオン《記録を切る――》
【ここから先は“レコーダー切り忘れ”による生音声】
(カチッ……とスイッチ音。だが録音は続いている)
レオン「……ん? 今の気配……誰かいるのか?」
レオン「……ノヴァ!? どうしてこんなところに……!」
ノヴァ「……レオン……助けて……」
レオン「おい、しっかりしろ! なんで拘束されて……
この装置……魔力吸引装置か!? 誰がこんな……!」
(鎖の擦れる音、レオンが駆け寄る気配)
レオン「ノヴァ、今外す! 何があったんだ、説明してくれ!」
ノヴァ「……レオン……あっち……見て……」
(レオンが振り向く気配)
レオン「……これは……っ!?まさか……そんな馬鹿な……!」
(息を呑む音)
レオン「ノヴァ、これは一体――」
振り返ろうとした時、ノヴァの強烈な一撃……
レオン「……え?」
(ドン!)
ドスッ!!(レオンが倒れた音)
――ブツッ。
録音はここで途切れる。
アレサ「……ルミナス区だ」
ヴァルカ「ルミナス区……坑道地下……!」
イリス「アジトはそこにある……間違いない」
アルト「……あいつら、そこにいるんだな」
アルトはゆっくりと立ち上がり、 キーホルダーを強く握りしめた。
イリス「……ネオイクリプスとダイロンの野望を食い止めよう」
アルト「ここで決着をつける。」
ヴァルカ「最終決戦だ!気合入れてくぞ!」
静まり返った部屋に、アルトが握りしめるキーホルダーの金属音だけが冷たく響きます。
ついに特定された敵の本拠地、ルミナス区・坑道地下。
そこには大量のエネルギーキューブと、何かを「起動」させようとする恐るべき陰謀が待ち構えています。
イリスのセイレン化という切り札を手に、一行は迷わず決戦の地へと足を踏み入れます。
果たしてレオンは本当に洗脳されてしまったのか? ノヴァの真意とは何なのか?
ネオイクリプスとダイロンの野望を打ち砕くための、**最終決戦**がいよいよ幕を開けます。
次章、物語はついに核心へ。
彼らの絆が試される時が来ました。




