表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
10/23

第十話 【七色の覚醒】瓦礫の街で起きた、イリスの限界突破

復興が進むメトロポリス区で起きた、アレサとイリスの“転機”の物語です。

二人の限界と覚悟がぶつかり合う、シリーズでも重要な章になりました。

普通の少年の、並々ならぬ努力から生まれた胸熱な展開をどうぞお楽しみください。

【復興中のメトロポリス区】

場面変わり、アレサとイリス

瓦礫の山と仮設足場が並ぶ街に、突如としてスプロットの群れが押し寄せた。


イリス「来るよアレサ! 左側の路地、突破される!」


アレサ「任せろ。右は頼んだ!」


二人は慣れた動きで市民を避難させながら、

押し寄せるスプロットを次々と撃破していく。


イリス「数が多い……でも、まだいける!」


アレサ「落ち着け。パターンは読めてる」


いつもの防衛戦。

いつもの連携。

勝てる戦い――のはずだった。


だが、空気が変わった。


瓦礫の向こうから、重い足音。

地面を震わせる気配。

そして――


ファング「……探したぞ。アルトはどこだ」


イリスの顔が凍りつく。


イリス「ファング……!? なんでここに……!」


アレサ「……双剣……完全復活かよ」


ファングは以前よりも明らかに強い。

纏う気配が違う。

まるで“力を蓄えて戻ってきた”かのように。


ファング「アルトを呼べ。奴と決着をつける」


アレサ「あいにく、ここにはいねぇよ」


ファング「ならば――お前たちを斬り伏せて呼び寄せるまでだ」


次の瞬間、ファングが双剣を振り抜いた。

その速度は、以前の比ではない。


イリス「アレサ、避けて!!」


アレサ「ぐっ……!」


アレサは吹き飛ばされ、瓦礫に叩きつけられる。

イリスが駆け寄ろうとするが、スプロットの群れが壁のように立ちはだかった。


イリス「邪魔だって言ってんだろ!!」


イリスは無心で斬り伏せる。

焦りが、動きを鋭くする。

だが、数が多すぎる。


アレサは立ち上がり、深く息を吸う。


アレサ「……セイレン化、起動」


光が弾け、アレサの身体が変化する。

ファングと互角に渡り合える唯一の手段。


ファング「ほう……その力、以前より増しているな」


アレサ「遊びじゃねぇんだよ……ここは守る場所だ!」


二人の激突は、街全体を震わせた。

双剣と双剣が火花を散らし、

アレサの蹴りが地面を砕き、

ファングの斬撃が空気を裂く。


互角。

だが――


イリス「アレサ……市民が……! 避難が追いつかない……!」


押し寄せるスプロットの波。

アレサはファングに足止めされ、動けない。


アレサ「イリス……悪い……! 今、そっちに行けねぇ……!」


ファング「行かせると思うか」


ファングの双剣がアレサを押し返す。

アレサは歯を食いしばる。


イリス「くそっ……くそっ……! どれだけ来るんだよ……!」


イリスは必死に市民を守る。

だが、限界が近い。


アレサ(心の声)(イリス……持ちこたえてくれ……!)


ファングは一歩も引かない。

アレサも一歩も退けない。

だが、状況は悪化する一方。


ファング「アルトが来ないなら……この街を壊すだけだ」


アレサ「させるかよ……絶対に……!」


アレサは全力でファングを押し返す。

だが、ファングの力は重い。

圧倒的だ。


イリス「アレサ……っ!!」


アレサ「イリス……絶対に……守る……!」


ファングの双剣が、獣のような速度でアレサに襲いかかる。


アレサはセイレンフォームで応戦しながら、片手で戦斧を振り抜き、迫るスプロットをまとめて薙ぎ払った。


ファング「二つも三つも相手にして……余裕だなァ、アレサ!」


アレサ「余裕なわけ……ねぇだろッ!」


アレサは板チョコシールドを展開し、バリアフィールドを広げる。

六角形の光壁が周囲を包み、ファングの斬撃を受け止めた。


アレサ「板チョコシールド……バリアフィールド展開!」


ファング「ほう……時間稼ぎか。だが――」


ファングの双剣がバリアを軋ませる。

衝撃がアレサの腕を痺れさせる。


アレサ(心の声)(持って……数分。押し切られる……!)


だが、止まれない。

止まった瞬間、街が死ぬ。


一方、イリスはスプロットの波に飲まれそうになっていた。


イリス「はぁ……はぁ……! くそっ……減らない……!」


市民の悲鳴が響く。

避難が追いつかず、スプロットが次々と迫る。


そのとき――

イリスの視界に、小さな影が映った。


瓦礫の陰で震える、数人の子どもたち。


イリス「……あの子たち……!」


それは、いつもアルトに懐いていた子どもたちだった。

「アルト兄ちゃん遊んで!」と笑っていた、あの子たち。


今は、恐怖で動けずにいる。


イリス(心の声)(このままじゃ……死ぬ……!)


イリスの顔色が変わる。

焦りが、恐怖が、胸を締めつける。


イリス「アレサ! 子どもたちが……!」


アレサはバリア越しに振り返る。

ファングの双剣がバリアを軋ませる。


アレサ「……見えてるよ……、でも動けない!俺が動くとバリアが吹き飛ぶ!

今だろ!お前が何とかしろ……!」


アレサは戦斧でスプロットを薙ぎ払いながら、

ファングの双剣を受け止め、

バリアで市民を守り、

同時に子どもたちの位置を確認する。


三つの戦場を、ひとりで背負っていた。


ファング「守りたいものが多い奴ほど、弱い」


アレサ「違ぇよ……!」


バリアが砕け散る寸前、アレサは踏み込んだ。

ファングの双剣を戦斧で受け止め、歯を食いしばる。


アレサ「守るものがあるから……立てるんだよッ!!」


ファングの斬撃が重い。

アレサの足が地面を抉る。

後退しながらも、決して倒れない。


イリス「アレサ……!」


アレサ「イリス!!!」


イリス「どうしよう……!こんなんじゃ……、何も守れない……!」


その声は震えていた。


アレサはファングの双剣を受け止めながら、

背後の子どもたちを庇うように立ち続ける。


ファング「アレサァ……その身体、もう限界だろう」


アレサ「限界なんて……知るかよ……!」


アレサの叫びが、戦場に響いた。


【七色の戦士イリス】


ファングが双剣を地面に叩きつけた瞬間、

爆風が街を薙ぎ払った。


瓦礫が宙を舞い、建物が崩れ、

数十人規模の市民が巻き込まれて吹き飛ばされる。


市民たち「きゃああああ!!」「助けて!!」


アレサ「くっ……!!」


アレサは咄嗟に板チョコシールドを傾け、

子どもたちだけは守り切った。


だが――


バリアは軋み、ひびが走る。


アレサ「(限界が……近い……!)」


子どもたちは泣き叫び、

アレサの背中で震えていた。


一方、イリスは爆風で吹き飛ばされ、

地面に膝をついていた。


イリス「あ……あぁ……なんで……こんな……」


周囲にはスプロットの群れ。

市民の悲鳴。

子供たちに迫る危機


そして――

アレサが、ひとりで全部を背負っている。


イリス「僕……僕……何もできてない……!」


涙がこぼれる。

声が震える。


イリス「怖い……もう嫌だ……!」


弱音が漏れた瞬間、

スプロットが一斉にイリスへ飛びかかった。


アレサ「イリス!! 立て!!」


アレサの叫びが響く。

だが、イリスの身体は震えたまま動かない。


そのとき――

イリスの視界に、泣き叫ぶ子どもたちが映った。


瓦礫の陰で震える小さな手。

助けを求める声。

恐怖で母親に抱きついたままの幼い子。


イリス「(このままじゃ……あの子たち……死ぬ……!)」


胸の奥で、何かが弾けた。


涙を拭い、立ち上がる。


震えが止まった


イリス「このままじゃ駄目だ……!」


声が震えながらも、確かに響く。


イリス「みんな……戦ってる……!

僕がやらなきゃ……!」


大量のスプロットが迫る。


イリス「僕がやるんだ!みんな……僕が倒すんだ!!!」


その瞬間イリスの雰囲気が変わった――

イリスの身体が七色の光に包まれた。


アレサ「……イリス……!?」


ファング「なんだ……この光は……!」


光が弾け、イリスのセイレンフォームが爆誕する。


手には、虹色に輝く弓――マーブルアロー。


イリス「……行くよ」


イリスが弓を引いた瞬間、七色の矢が空を裂いた。


アレサ「……嘘だろ……」


ファング「マジか……。こいつはヤバい!」

ファングは一歩、後ろへ下がる。

その動きは、獣が“危険な相手”を見極めたときのそれだった。

ファングは双剣を翻し、瓦礫の影へと跳び去った。

その姿は、あっという間に視界から消える。


次の瞬間――


スプロットの群れが、バリアフィールドの数倍の範囲で一瞬にして消滅。


戦場が静まり返る。


皆が振り返ると、そこには――


もう弱々しいイリスはいない。


七色の光を纏い堂々と立つ、一人の戦士がいた。


イリス「……もう、大丈夫だよ」


子どもたちが泣きながら駆け寄り、イリスの手を握った。


子ども達「イリス……ありがとう……!」


アレサ「……こいつぁたまげた。こんな力が眠っていたのか。」

しかしファングの奴、野生動物みたいなやつだ。あの一瞬で逃げに転じたようだな。

挨拶くらいしていけばいいのにな。ワハハ!」


二人は互いに肩を貸し合いながら瓦礫の街をゆっくりと歩き出した。



アレサの“背負う強さ”と、イリスの“恐怖を越える強さ”。

この二つが同時に描けたことで、物語の軸が一段深くなった章でした。


ただこれだけでパレットバトラーズがネオイクリプスと対等に戦う準備が完了したとは言えません。

今後の展開も是非追っていただきたいです(^^)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ