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三茶浪漫  作者: たま


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肆拾伍

郵便局と都銀の事件当日の防犯カメラを見せて貰う。

女の子連れた男達など映ってない。

杏さんを乗せた車が走り抜けるのは撮影されてたが

実相ビルの前は映ってないのだ。

「これじゃあ分からないし証拠にならない。

犯人達はそんなにマヌケじゃないかあ〜」黒田と年配の刑事はガッカリする。

大谷はほとんど人は見ていないようだ。

「何をさっきから探してるんだ?」黒田が聞く。

「手前の一車線は辛うじて、映ってるだろ?

そこをミキサー車が通らないか見てるんだ。」大谷が画面を真剣に見ながら言う。

「地下通路はその日にもう埋められたって事か?」黒田と年配刑事が驚く。

「多分SITより早いですよ…黒田さん達が裏から銭湯に侵入してる頃に到着してるはずです。」大谷の推理に年配の刑事も驚く。

「多分、表でミキサーからポンプ車でビルの地下室の地下通路の前でホースを下ろして待機してたはずです。

立てこもりは、高嶺さんを圧迫して売買契約書にサインさせ、地下通路を埋める時間稼ぎだった可能性があります。」大谷の話は続く。

「そうか!ビルの1室とかだと出入り口を固められて動けなくなる。

それより要塞みたいな銭湯に我々の視線を誘導して集め、表の246号の幹線道路沿いのビルから普通に脱出する為か!」年配刑事と黒田がうなづく。

「バレる事も計画内だったんですよ。銭湯は。」大谷が説明する。

防犯カメラにミキサー車とポンプ車が映る。

「本当だ!SITより先に来てる!

場所取るせいで郵便局と都銀のカメラにもしっかり映ってる!」大谷と黒田と年配刑事は思わず画面に見入る。

そこには、病院から実相子会社のサラリーマン達を追いかけて歩く黒田と大谷も映る。

血のついた服の黒田と背中に子供を背負った大谷が1番目立っていた。

そして追い返されてスゴスゴと歩く姿も。

「横のミキサー車に全く気付いてないな…マヌケだ…我ながら」思わず大谷が呟く。

2人が帰るとすぐにミキサー車とポンプ車が連結されたのか?管が波打つ動きがわずかに見える。

「2人共にマヌケだよ。後ろを振り返れば、なんか気づいたかもしれないのに…」黒田が大谷の肩に手を置いて慰める。

しばらくするとミキサー車とポンプ車の前後はSITの車輌で埋まる。

とその前を都銀の防犯カメラにサラリーマン姿だが、ガニ股の男とポケットに手を入れた男、辺りをキョロキョロ見てる男が歩いて駅に向う。

「なんかコイツら、ガラ悪いな。」黒田が気にした。

そして郵便局の防犯カメラにも後ろポケットを探す男とデカいキャリーを押すサラリーマンが通る。

「背広に後ろポケットは無いのにな。デカいキャリーも重そうだ。…あれ?このキャリー、さっきも見た気がするな???」年配の刑事が逆再生をお願いする。

「ここだ!」そこでは後ろポケットを探してる男が黒いデカいキャリーを押してる。

「こいつら…仲間だ!」年配刑事が指さす。

元の所までカメラを回してもらう。

さっきと別の小柄な男が黒いデカいキャリーを押して止まる。そして、246号線を反対側に渡って見切れた。後ろポケット探す男はまっすぐバス停を目指して歩く。

「キャリーの男は道路の反対側から渋谷方面のタクシー乗るつもりかもな。」年配刑事が推測する。

大谷が年配刑事の横にへばり付く。

「さっきが凛ちゃんで、今は杏さんですよ!このキャリー!」大谷が叫ぶ。

「エッ、じゃ、コイツラが立てこもり犯人か!」黒田も来た。

そしてカメラ内の時間を指さす。

「今、SITがロープで各ビルから銭湯へ降りてる時刻だ。すでに脱出してたんだ!」黒田が驚く。

「ちょうど帰宅ラッシュの時間だ。サラリーマンが道路や駅に1番増える時間だ。紛れるのに最適かあ〜」黒田が溜め息をつく。

装甲車から熊手のような機具が運び出される。

「ネズミ用のマキビシを銭湯の雑草から除く作業に入った所だ!

あっ、ミキサー車とポンプ車が動き出した!速いな!

もう埋めたのか?」黒田が驚く。

「多分、地下には電気管や水道管が無数に走ってる。

それを避けて最小スペースで地下通路があったんだ。

だから15分あれば埋められるだろう、今時の技術だと。

素人考えでも円形の地下通路なら均等に力が加わるからコンクリートを流し込んでもタイル床が盛り上がらないくらいの充填が可能なんだろ。

そういう人材も抱えてるのが実相の強みだろうし。」

大谷が解説しながら何度もキャリーを押す小柄なリーマンの背中を見てる。

「こいつかあ〜コイツが仮面の男かあ〜」と呟く。




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