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三茶浪漫  作者: たま


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参拾捌

黒い車に乗るとすぐに頭に袋を被された。

次に袋を外されたの水の無い銭湯の中だ。高い窓からわずかに陽がのぞく。まるで教会のようだ。声も響く。

凛はタイル床に座り後手に縛られていた。

「なんでお母さん来るの!ダメでしょ!」叱られた。「だって〜生きてるか顔見たかったから」杏はションボリする。

「杏さんでも子供には負けるんすね〜」銭湯の浴槽の縁に座って足組む男が笑う。

「…アナタは誰?」全くの初対面だ。

何となく古河家のホストに似てる。キレイな顔で若いお兄さんだ。

「もう!店長っすよ!そんなに分からないもんかなあ?」確かに小柄で杏と同じくらいの背丈だ。肩幅なら杏の方がある。

がしかし、店長は40だ。すっかり中年だった。

「アイプチでほうれい線作って顔面にオブラートマスクつけてるだけなんだけどなあ〜あっ、頭はカツラだけど。」首にまだ残ってるマスク跡を剥いでいる。

可愛い系のお兄さんは、杏を自分の前に座らせた。

「本当は、困って店長に泣きつく手筈(てはず)だったのに!

スナック勤めだしたり、刑事とゲームクリエイターとイチャイチャしてさ!

本当にムカついたよ。」杏の短くなった髪にふれる。

と髪を掴んで引っ張り上げる。

「イターーッ!何すんのよ!」杏が首を振って払う。

「高嶺さんと君の魅力を語り合ったよ。

女は従順が良いと思ってたが、本当に男の本能を満たすのはアンタみたいな面倒な女なんだよ。

口も立つし気が強いし身体も強い。

難儀な女を自分の思い通りに出来たら、自分のオスが満足するんだ。」2人は昨夜熱心に語り合ってたのは、そんな話だったらしい。

「バカバカしい!

私はミーハーだから、自分がときめかない男なんて1ミリも受付けないわ!

相手に何かされて好きになる事なんて無いのよ!」引っ張られて髪を直せないのでイライラする。

「だろうね。旦那さんは君に追いかけ回されて観念して結婚したと聞いたよ。

だからこそ!好きにさせるのが面白いんだ。

この頃、女飽きたなぁ〜と思ってたが違った。

金や顔が目的で、男の機嫌とる女に飽きたんだよ。

女遊びも極めるとこうなるのさ。」確かに高嶺さんは究極の遊び人だ。

この可愛い系お兄さんも強キャラっぽい。

が、「絶対無いから!私は相手が私を好きかどうかより

自分の人生をひたむきに生きてるかどうかが大事なの。

自分の夢や望みに邁進してる人が好きなの!」杏が元店長を見据える。

「…まあ、俺は薬使うし、高嶺さんはこれから君の為にあの三角地帯を売るよ。君を助ける為に。

それでも自分を曲げないの?」部下のチンピラから携帯を受け取り元店長が電話する。

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