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三茶浪漫  作者: たま


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参拾陸

黒田がハナマ◯の店長を取り調べるため署に戻ろうとすると、黒田の携帯に電話が掛かってきた。

顔色が変わる。

「店長室はもぬけの殻だ。その上置き土産まであったそうだ。自宅は家具すら無かった。」黒田が舌打ちする。

「どういう事だ?置き土産って?」大谷が聞く。

「店長室には催涙ガスが充満してた。おかげで署員が5人も使い物にならなくなった。これからの捜査の人手を削られた。」黒田が眉間にシワを寄せる。

杏は修斗を前抱きして背中にリュックを背負ったままだったが、その時やっとリュックに振動を感じた。

「あれ?私、携帯どこ入れたっけ?」杏がリュックを下ろす。

大谷に急かされてバタバタと高嶺の家を出たので、携帯も放り込んだような…

修斗の着替えの間からやっと携帯が出てきた。

開くと凛から大量の電話が。

「どうしたの?今、取り込み中で…」凛に文句を言おうとしたら、

「おんどりゃあ〜なんで電話にすぐ出ないんだ!

娘がどうなっても良いのか!」ガラの悪い男の声が。

「なによ!アンタ誰!ウチの子は?」杏もつられて怒鳴る。

あっちでやり取りがあった後、聞きなじんだ声がした。

「僕です。店長ですよ。」ハナマ◯の店長の声がした。

「店長!なんか警察が探してますよ!早く行った方が良いですよ!」杏が言うと、店長が溜め息をついた。

「人の話を聞いて下さい。まず、娘さんの携帯から僕が電話してるんだからおかしいでしょ?」店長が声を荒げる。

確かにいつもとキャラが違う。杏が声出すとビクビクして黙るのに…

「アンタ、誰よ?凛はどこ?」杏がまた怒鳴る。

「さあ、どこだろうね?」店長だった人物が笑う。

「…今どこよ?店にはいないって刑事さんが言ってるけど?」杏が聞く。

「お母さん?」凛の声だ!

「凛?今どこにいるの!」凛は泣いてるようだ答えない。

「死ぬなら、かしわやの今川焼き食べたかった…」そのままワ〜ッと泣き出した。

「?」なんかキャラ変してる…凛はそんな殊勝な子じゃない!殴られたり脅されてるなら、余計に冷静になるような気質だ。

携帯を黒田に奪われる。

「オイッ!今どこなんだ?!」黒田が、ほえる。

「さあね、人員削ったから難しいでしょう?ヒント欲しい?」元店長は全くキャラが違う。

声もハッキリして若々しくなってる…いや、半グレのメンバーなら若いのか?

「おちょくるな!サッサと言え!」黒田が怒鳴るが相手は慣れてるようだ。

「杏さんを病院の外に出して。そしたらヒントあげるよ。」完全に黒田をおちょくっている。

杏は、修斗とリュックを大谷に預けて部屋を出て行く。

「杏さん!ダメだ!行ったら!」黒田は携帯を持ったまま杏を追う。

杏は病院を出る前にエントランスの看板を蹴る。

そのまま、外に出ると車が横付けされた。窓も全部真っ黒な車だ。杏はそれに自ら乗ってしまった。

大谷も修斗を前抱きしリュックを背負いながらやっと出てきた。前後で15kgだ。

急にこの重さは、男でも堪える。息がきれる。

「杏さんて力持ちだなあ〜これで僕と同じ速さで歩いてたし」お尻のメモに手が回らない。

「本当に飛車取り王手されたな。」溜め息をついたが…なんだか違和感がある。

あんなにスッと行くかな?

凛ちゃんが心配だとしても?

杏がわざわざ看板蹴ったのも変だ。気が強いが手が早いタイプじゃない。

どっちかと言えば、もっと面倒なタイプだ。

あ〜言えば、こう言うタイプだ。

15kg担いだまま看板を拾いに行く。

駅前から病院までの道案内だ。病院にあっても意味がないような…まあ、タクシーで来た人や救急車で入った人用か?

杏が蹴った部分が凹んでる。

病院が246号線沿いで横が郵便局、真後ろに警察署がある。

そして、その裏の警察から細い路地が駅に向かって伸び途中にゲーム会社の入ってるビルの裏からもっと細い路地が入り組んだ三角地帯へ。

その中にアクアがあり、蹴られた部分はちょうどその前だ。

「ココって…?」大谷が首をかしげる。

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