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三茶浪漫  作者: たま


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参拾弐

「大谷さんのこの将棋盤さあ〜おかしいんだよ。」

末っ子が大谷にダメ出しした。

ベテランゲームクリエイターが小学生にダメ出しされてる…面白くて杏は肩で笑う。

長男長女はゲームはしても将棋は知らない。

末っ子の小学生だけは少し学童に通ったのでボードゲームは一通り嗜んだようだ。

「僕はチェスの方が好きだけど。将棋は成りとか相手駒を自分駒に出来たりで長期戦なるから飽きちゃうんだよね〜」と言いながら、大谷のメモの問題点を指摘する。

「相手にも駒があるんだよ。王将だけじゃない。

飛車や香車が。

大谷さんのは自分の攻撃しか考えてないから、相手が見えなくなってるんだよ。」

「全くそうだよね…相手の駒は自分の攻撃したい駒しか考えて無かった…」小学生にド正論で責められて大谷がうなづく。

「こっちの飛車がお母さんなのは、相手の王将が大地主の高嶺さんだからだよね。」長男の慶が携帯で調べながら理解しょうとしてる。

「そうすると、相手にも飛車に当たる人物が居て、こっちにも王将に当たる人物が存在する訳ね。」長女の凛も携帯見ながら理解しょうとしてる。

「そう!飛車は、上下左右に何駒でも盤の中を移動出来て王手を打てる可能性が高い駒なんだ。

お母さんは、三茶をチャリで走り回る主婦で高嶺さんとも10年以上前から知り合いなんだ。

でも、相手の犯人側にも飛車みたいな人物が居るから捕まえられない。

そして犯人にとっての王将は誰?かも分からない。

それじゃあ〜大谷さんは動けないし見えないよ。」

小学生のド正論に皆沈黙するしかない。


「犯人は王手を掛けられて絶体絶命なはずなんだ。

手先の銀将は香車を成りにして金将にして獲った。」大谷が西条の事を言ってるらしい。

「もう一つ、香車を打ってたよね?これは?」杏がもう一つの方を指さす。

「これは、古河家の引きこもりのお兄さんにオンラインゲームで課金させまくって借金を膨らませて脅してたんだよ、渋谷のブルードラゴンが。

でも、それ偽サイトの違法ゲームだから。

周りのパーティーメンバーは皆ブルードラゴンなんだよ。

こっちは、ゲーム会社だからね。

それは把握して黒田と追ってたんだ。両親を毒殺して遺産を早く受け取るよう指示してたんだ。お兄さんに。」杏は驚く。

目に見えないオンラインゲームの世界にも半グレが浸透してるのか…怖い!


「相手の打った手は全て塞いだ。

焦ってバタバタするはずだから、それで見極めようと思ったのに…動かないんだ。」大谷が腕を組む。

「焦らないのは相手の飛車も王将も見えてない事がバレてるからじゃないかな?

つまり、大地主さんは相手から見たら守られてない…とか?」末っ子の推理に大谷はギクッとする。

「相手の飛車から狙い放題って事?」大谷が明らか焦る。

「家のセキュリティー固めても、高嶺さんは飲み歩いてる。つまり、外でヤラれるって事?

でも、それじゃあ〜濡れ衣は杏さんに掛けられない!

自分の立場が危うくならないか?」大谷が動揺してる。

「相手からこっちの王将をちゃんと守らないと!

動ける飛車が大急ぎで守りに戻ったら、飛車王手掛けられるよ?」末っ子に言われて大谷の顔色が変わる。

「飛車王手って?」慶が末っ子の宅に聞く。

「つまり飛車を取られて王手も掛けられる最悪の負け方だよ。」末っ子が話した。

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