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三茶浪漫  作者: たま


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30/46

参拾

「確かに僕が今倒れたら杏ちゃんが疑われる訳だもんね。」黒田から室内にカメラを付ける提案をされる。

シッターとして通ってもらうにしても、それがないと危険なのだ。

「そして6時で上がらせて下さい。自分の子供の世話もありますから。残業はしません。」杏が提案する。

さっきの様子を見ても、高嶺は子供の世話にタッチしてなかった。

お母さんがまずそんな時代の人なのだろうが、如何せん身体がもう無理出来ない。

「高嶺さんも60ですが、子供を作った責任は年齢関係ないです。お子さんを6時からは育てて下さい。

しばらく飲みにいけない生活なりますが…」杏がにらむ。

「分かったよ。杏ちゃんのやり方見て勉強させてもらうよ。」高嶺が降参のポーズをする。

警察の監視カメラを家中につける事と杏のシッター契約がその場で決まった。


杏が帰ろうとすると高嶺のお母さんが出てきて、このまま居てくれと泣かれたが、明日からだと断った。

絶望した顔をされたが仕方ない。

何をどうして良いか分からない高嶺とお母さんを置いて豪邸を出る。

「あの人の世代だと保育園とか託児所とか悪だしね〜

自分で自分の首絞めるしかないんだよね。

明日まで頑張って貰うしかないわ。」杏が溜め息をつく。

黒田は監視カメラの手配で署に戻る。

「バーのお兄さんの所へもう1回行くんだよね?」杏が大谷に聞く。

「うん、今だと開店準備中かな?すぐ済むから。」

大谷がニヤニヤしてる。

さっき大谷の手帳を見たら本当に将棋盤が描かれてた。そして王将や飛車の固まってる部分とは別に両端の香車に矢印が。

アレは誰を攻める『指し』なのか?


「な〜に?まだ、何か用ある?」大谷と杏の姿を見た西条がウンザリと言う顔してる。

借金がチャラになるチャンスを潰されたのだ。当然だ。

「高嶺さん家でシッターする事になったよ。」杏が手を上げる。

「ええっ、良いじゃん!可能性は出てきたよね?」嬉しそうにビールケースを軽々と担いでカウンター下にセットした。

「細身に見えて結構力持ちだよね。」大谷が西条に微笑む。

カウンターに背を向けて周りを見る。

「仲見世通りはどうしても空き店舗があるよね。

特にこの入り組んだ中の方は。」大谷が後ろの西条を仰ぎ見る。

「まあ、だから安くで借りれたんだよ。もっと賑わってる所だと高いしね。」大谷の動きが気になるのか?

警戒してる。

「ちょっと寂しいよね、ココは。高嶺さんが空き店舗生かしてウォーターサーバーの受付けとストック置き場にしてるけど…」そう、バーの斜め向かいはウォーターサーバーの会社なのだ。

と言っても社員が1人で切り盛りしてる。

「ココだと仲見世通りの端だから出入り口近くて外の車に近い。毎日あのお兄さんの動き見てる君なら、彼が店から離れるタイミング分かるよね?」大谷が西条を見上げる。

「さすがナンバー1ホストだよ。顔もシュとしてキレイだし。巻き髪のカツラでアゴと首の太さ隠して口紅ひいたら…」杏も小さく「アッ」と言ってしまった。

言われたら杏と似てる!

杏は骨太なせいで、165cmなのに170cmくらいに見られる。

でバタフライで鍛えた立派な肩幅なので、杏が西条に似てると言うべきか?男みたいな骨格だ。

「車の鍵が付けっぱなしなのも知ってる。」大谷が話す。

「刑部に頼まれた水を届けて戻るのは、君には容易いよね?」大谷がダメ押しする。

「ちがう!」西条がカウンターを叩く。

大きな音にウォーターサーバーの店のお兄さんも驚く。

西条が声をひそめて2人に話す。

「僕は、純粋に水を届けただけなんだ!ホスト時代も

アイツ手が早いし成績悪いし良くからかってたんだ。

だから、インターホン見たら僕だとわかるはずだからって。イタズラだと思ったんだ!」

西条が必死で弁明する。

「僕、そこのゲーム会社の社員だから。特に誰にも言いつけないよ!大丈夫!

仕事で昭和から平成の犯罪は全部頭に入れたから、刑部の手口は良くあるんだよ。」そう言いながら大谷が西条の肩を叩く。

「騙して犯罪に加担させて、刑部を裏切れないようにされたんだよ。君が独立したからね。保険だよ。」大谷の説明に舌打ちして西条がうなづく。

杏は話を聞いて、自分も本当はそうやって絡め取られて薬で逆らえなくされてから、

高嶺の嫁として送り込まれるはずだったのかあ〜と想像して震えた。


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