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三茶浪漫  作者: たま


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弐拾捌

「犯人はシナリオを書き直して…足したんじゃない。

省いたんだ。」アクアで大谷がメモを見ながら言う。

「つまり、元々杏さんを高嶺オーナーと再婚させようと目論んでたが、まず自分の女にして手なづけてから送り込もうとしていたって事か?」長年刑事の黒田は話が早い。

ダークサイドのお決まりルートが分かっている。

「いくら杏さんが気が強くても薬漬けにされたら完全な犬になるからな。」黒田が大谷の話に合点する。

「そうなの?薬って、そんなヤバいの?」杏が驚く。

「古河さんの娘さんもそれでコントロールされてたかもしれない。まあ、留置場いるからやってたら禁断症状が出るが。」黒田が笑う。

まだまだ世の中の怖い事を知らないなと杏は驚く。

「いや〜しかし、古河さんと杏さんの家で4億くらいを狙ってるのかと思ったら、まさかの三茶を渋谷みたいなビル街にしょうとする計画が裏にあったとはな。

そりゃ年寄りをサクサク殺すはずだあ〜」大谷はなぜか嬉しそうに話す。

「あ〜、取材したいなあ〜犯人と話したい!

ゲームや物語の面白さは、ヴィランの力が大きいんだ。この犯人は、最低最悪だよ。

良いゲーム作れそうだ!」大谷まで鼻歌を歌いだす。

マイクが差し出された。

「ここはスナックだよ。マイク持って歌いな!」ママが大谷にアゴで促す。オレンジレンジの上海ハニーを熱唱する。

黒田もバーのお兄さん、西条から聞いた話から人物像を予測する。

三茶に入ったのは約1年前。仲間内では刑部(おさかべ)と呼ばれているが、多分それも偽名。

古河家のホストとは異母兄弟らしい。

「あれ衝撃的だったな。富士の樹海なんかでも身分証を遺体から剥いで自分のものにしてるって…」黒田でもショックだったみたいだ。

「うん、今はその人になりきってるって。」杏もショックだった。

だって、杏の顔見知りの中に1年前にすり替わった人物が居ることになる。

が、全く分からない。


「最高だよ!まさにペルソナだよ!

ああ〜早く捕まえたいなあ〜会いたい!」歌い終わった大谷は犯人に恋してるようだ。

「高嶺さんには事情を話しておこう。

前から狙われてるのは知ってるだろうし。

三茶の飲み文化を凝縮した三角地帯をビルなんかにされたら三茶じゃなくなるからな。

あの人が遊び人だからこそ保たれているんだから!」

大谷には何か計画があるようだ。

「その前に宅配の犯人を見つけないと!」黒田の眉間にシワが寄る。

テレビでは相変わらず杏が疑惑の人だ。

警察が事情聴取しない事で、警察も女の色香に迷って捜査してないんじゃないかとか噂されてる。

今の杏の事なんて知らない他人達なので美女のままなのだ。

目の前に居る肩がゴツイ骨太のおばちゃんとは誰も思わないのだ。

噂なんて、こんなもんだ。

「……」大谷が下を向いてニヤニヤしてる。

杏は不審に思ったが、黙っていた。

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