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三茶浪漫  作者: たま


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弐拾肆

「オーナーに誰から君の事を勧められたか聞いた?」スナックからの帰り道大谷に聞かれる。

「あっ、そういうの聞かなかった〜!!

葬儀で少しだけど顔出して下さって!御香典頂いたのにお返し出来てないから、その事謝るの必死で!」

そうなのだ。夫の両親が香典を持って帰ってるので香典返しが出来ないのだ。

名簿はあるが先立つものが無いのだ。

「少なからず犯人のシナリオに狂いは生じさせてると思うんだ。

まず君を孤立させるはずだった。

君が追い込まれた所で犯人が君に助け舟出す予定だったはずだが、それが出来なくなってるはず。

しかし、とんだ伏兵が来たな…」大谷がニヤニヤする。

「まさか三茶のあの駅前三角地帯の大地主が現れるとはね。多分前から鉄道会社やあそこに陣取ってる大手スーパーの親会社から売れと言われてるはずなんだ。

あのオーナーが三茶の路地裏文化を支えてると言っても過言は無い。

まさか知り合いだったとはね。」杏を見てニヤニヤしてる。

「そんな知り合いって程じゃないです!

夫の後援会長がオーナーの友達なんです。」杏がキッとにらむ。

「後援会?芸能のそういうシステム知らないや。教えて?」大谷が聞く。

「イケメン俳優とかなら女性客が支えてたりするんですが、女優とか脇役は地元の有力者が後援会長やってくれる事が多いんです。

主人は三軒茶屋の地元不動産屋の加賀さんが後援会長引き受けて下さって劇団も応援して下さってたんですよ。

後援会と言っても、主に舞台やる時にお金出して下さるのがメインでお返しに不動産屋がある銀座商店街のお祭りで神輿担いだり露店手伝ったりボロ市の店番やったりですね。」杏が説明する。

不動産屋の加賀さんの友達がオーナーだった縁で葬儀に顔出ししたり追悼公演のスポンサーになってくれたのだ。

「じゃあ、顔見知りで何年くらい?」大谷が聞く。

「私がまず主人のファンクラブ会員でパーティーとかに参加してた時から後援会のオジサマ達の輪の中に居たと思います。」杏が遠い記憶を辿る。

「僕がまだ入社前だな。大学生くらいか?」大谷が驚く。

「君が結婚し子育てに奔走してるのずっと知ってた訳だね。そして、誰かに唆されたのか?

あの感じだと葬儀後だな。その不動産屋の後援会を探りたいな…」大谷がキラキラした目で言う。

「えっ…ちょっと、それは…」杏がにごす。

「主人の追悼公演あるまで、そこらへんの人の気持ちを害したくないなあ〜」杏が困ったと言う顔をする。

「まっ、なんか作戦考えよう。

今日も子供達とゲームして良い?」もう窓には末っ子が手を振っている。

起きて大谷を待っていたのだろう。

玄関を開ける音がする。

杏は仕方ないって顔で微笑む。

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