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三茶浪漫  作者: たま


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弐拾

子供を送り出してテレビを付けると、丁度保険金詐欺でホストが逮捕されていた。

がしかし、なんと古河さんの娘さんと入籍して婿養子になっていた。

大谷と杏が行った時はそんな話出てなかったはず。

「古河さんのおじいちゃん、どうするんだろ?」心配になる。

この頃は、スナックに来なくなってた。

ホストと娘が共謀して木村さんのおじいちゃんに生命保険の書類にサインさせ毒殺した疑いがあるとテレビが報じた。

そのため、娘さんも事情聴取される事に。

「あれ?それじゃ、『謎の女』伝説が消える?」にわかに喜んだが、テレビが古河家の玄関の防犯カメラの映像を映す。

「これは数日前の映像です。古河家の奥さまから提供されました。」とアナウンサーが注釈を入れる。

宅配の車から深く帽子をかぶった巻き髪の真っ赤の唇の女が軽々と水の箱を持ち古河家の呼び鈴を鳴らす。

無言でサインを貰いまた車でいなくなった。

女性の加工された声が流される。

「ウォーターサーバーの水なんですが、いつもの人と違うんで変だなと思ったんです。

でも、そのまま設置したら散歩から帰宅して飲んだおじいちゃんが倒れて!

その時、娘も婿も家におりました。はい!本当です!」とテレビから流れた。

「ああ〜っ、またややこしい!」頭をテーブルに突っ伏した。

「入院されたお祖父様とウォーターサーバーの水から

エチルグリコールが検出されました。

前回の釣り店の毒物と同じです。

配達した女性は身元不明で…」テレビのアナウンサーの声が淡々と流れる。


「1杯、飲む?」黒田に勧められて1杯貰った。

「ママ、泡盛下さい!」杏が頼む。

「それはやめなあ〜キツいって!」ママが止めた。

「もうちょっと軽いのにした方が良いよ。」黒田も止める。

「これにしときな!」ママが泡盛のミルク割りを出してくれた。

「どうしたの?」送るために大谷が来た時には、黒田の頭を組んだ両足で挟んで持った片腕を引っ張りながら笑ってる杏が居た。

「荒れちゃってね〜黒田さんに奢って貰って泡盛飲んだら…こうなったのよ。」ママが説明する。

黒スキニーにヒラヒラブラウスの宝塚の男役みたいな服装で手足が長い杏が、黒スーツの逃走中のハンターみたいな黒田の首を足で締め付けている。

「黒田、抜けれるだろ?なんか羨ましい気もするが…」大谷が言う。

「バカ野郎、これは柔術の技で簡単に抜けないんだよ!下手に動くとドンドン締め付けがキツくなるんだ。」黒田は割と本気で抜けようとしてるようだ。

「杏さんの両脇をくすぐってくれ。それで腕が抜けたら、何とかなる。」黒田に言われたので杏の背後から両脇を狙うと急に杏が笑いながら振り返る。

そして近付いた大谷に顔を突き出し舌を出す。

まるでメデューサみたいだ。

「うわあ〜!!!」思わず大谷は怖気ついて下がる。

「なんで逃げんだよ!早く解いてくれ!」黒田が怒る。

「だって〜顔が怖いんだよ〜」大谷も泣きそうな顔をする。

バシャ!!

笑い続ける杏の顔面にママがコップの水を掛けた。

「こんな酒癖悪い女と知らなかったよ!

もう絶対、飲むんじゃないよ!」口の中に水が入って気道に入ったのか杏がむせまくる。

やっと解放された黒田が首を何度もひねる。

かなり首を締め付けられたようだ。腕も(ねじ)られていたので痛かったようで腕の(けん)を撫でている。


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