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三茶浪漫  作者: たま


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拾肆

夕方には自宅に戻り、子供の迎えやスナックと自宅への食材をネット注文の受取をしないといけない。

結局ママは電話注文も面倒らしい。

「電話がさあ〜聞き取りにくいのよ。このごろ。

アンタにお願いするのが楽なのよ。」との事だった。

ママにお願いしたら古河さんが自宅に呼んでくれた。

古河さんも誰にも相談できずママにグチを聞いてもらうしかなかったようだ。

「眼鏡のお兄ちゃんも一緒かい。

いや、その方が安心だ。アイツ、わしにはたまに蹴り入れてくるからな!

息子にいくら言っても信じてくれないんじゃ!

わしの頭がボケてきたと思ってるんじゃ!」

古河さんのお宅は三軒茶屋駅から徒歩10分の昔からの古いお宅だ。土地は100坪と昔としては普通なのだが、

現在では邸宅と呼ばれる家でも都内は30坪ぐらいなので、古河さん家は桁違いだ。

「わあ〜これは売ったら3億いくわ!そのホストと娘さんには絶対黒幕が居るよ。」大谷は小声で杏に話す。

大谷は制作チームでゲームを作るため昭和から平成の事件ファイルを作ったらしい。

その中の2002年の北九州監禁殺人事件が近いそうだ。

娘の婿が三世代家庭に入り込み、家族を支配していった事件だ。

話しぶりではすでにおじいちゃんはホストから暴力を受けてるようだ。

「多分、同じ部屋で過ごしてるお孫さんは性暴力で思考力を削がれてるんだろ。

九州の事件でも犯人の命令通り娘さんは親も殺してるし。

ただ九州の犯人は30代だ。

ホストとお孫さんは、20代前半。

「誰かに入れ知恵されたんだと思うなあ〜」

扉の前でおじいちゃんは逃げてしまった。

叩くとホストが顔を出す。

確かに綺麗な顔だ。ただ、すごく邪悪な気配がある。

「生命保険会社の者です。少しお話を伺えませんか?」真っ赤なウソだ。

保険会社から連絡が来なくて、どうせイラついているだろう。

保険会社もいくら孤独な老人とは言え、縁もゆかりも無い若者を受取人にされては、ポイとは払えない。

「いつまで待たせんだよ!」ホストは部屋の中には入れてくれない。

「少し聞きたいことがあるのです。

中に入れて貰えませんか?古河さんのお孫さん?

入って良いですか?」中から返事はない。

ハァハァと苦しそうな呼吸が聞こえる。

思わず杏が強めに扉を押した。

中には下着でスクワット姿勢の女性が居た。

「古河さんのお孫さんですよね?何されてるんですか?」若い女は首を横に振るだけで返事しない。

「こいつ、すぐデブるから運動させてんだよ。」ホストが代わりに返事する。

女は十分細い。いやガリガリだ。

雑誌やブラウン管の向こうのような。

しかし3次元の本当の目で見ると少し嫌悪感ある細さなのだ。戦時下みたいな細さ。

この低能っぽい男は、それが普通と勘違いしてるのか?

「ちょっと栄養失調みたいになってますよ!

あなた大丈夫ですか?」お孫さんを抱える。

背丈は同じくらい。

ただ水泳で鍛えた杏とは骨格が違う。

杏が骨っぽいのは痩せてるせいじゃない。骨が人より全部太いのだ。骨が細い女性が杏くらいまで痩せるとただの餓鬼なのだ。

「オイッ、まだ俺が許してないのに何やめてんだ!」

ホストが怒鳴る。

明らかなモラハラ、洗脳状態だ。

日本では今だにこれが普通みたいな年寄りジジイはいるが、

若者でこれは明らかな犯罪だ。

「貴方はこの家の居候ですよね?

なぜ住人にそんな横柄な口が聞けるんです?

結婚されてないですよね?」大谷が問いただす。

携帯を出してどこかに掛けるふりをする。

「オイオイ、待てよ!

分かった、分かったから!外で話そう!なっ?」

ホストがやっと立場を理解したらしい。

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