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三茶浪漫  作者: たま


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拾参

夜中だが末っ子も兄も姉も一緒にゲームしてる、大谷と。開発者の話は楽しいらしい。

やらない杏には良く分からないが。

もう時計は夜中の12時を回っているが、

「金曜日だし、良いか?」と呟く。

主人もゲーム好きなので夜は子供達と遊んでた。

つい最近の事なのに、遥か遠い。

怒涛のような3ヶ月から急に元にもどされたようで

気持ちが追いつかない。

しばらくすると末の小学生が船を漕ぎ出したのでお開きに。

「すみません。遊んで貰って、子供達嬉しかったみたい。」冷たいお茶を出す。

「僕もこうやって楽しんで貰ってるんだと実感できて興奮したよ!

やっぱりこの仕事選んで良かったよ!」大谷が嬉しそうだ。

「あの…お子さんとかは?」スナックでこういう話はしない様にしてるが大谷もいい年なので聞いてみる。

「う〜ん、前は田舎の親もうるさかったし、会社でも合コン呼ばれたりしたけど、今はサッパリだなぁ〜

なんでだろう?」大谷が首を傾げてる。

何となく思った通りだ。

「それより!さっきの話、どう?スーパーの時間が空いてるし真犯人を探してみない?

絶対君の近くに居るはずなんだ?

君が探り出せば、何らかの動きをしてくると思う。」大谷がキラキラした目で言う。


「ゲームも主人公を陥れた奴を証拠を集めて追い詰めて行くんだ。より作品にリアリティを与えられると思う。」大谷は大真面目だ。

そして、彼の指摘は正しい気がする。

なぜ杏にワザと似せたのか?

それは夫を亡くし子供を抱え1人で生きてる『弱者』だからだ。

義両親も義姉も、弱った杏にキバを剥いてきた。

それが「人間の本質」なんだろう。

『弱い奴から搾取するのが、世の常なのだ。』

「そんな奴ら、許さない!ブッ潰す!」杏は思っただけだが声に出てたようだ。

大谷がビックリして後ろに下がった。

「ああ、ごめんなさい〜つい」杏は口を抑える。

夫を亡くして段々自分本来の闘争心の高さに驚く。

「分かりました。私をナメた奴を成敗しましょう。

生まれてきた事を後悔させてやる!」杏が笑った。

「アハハハハ…」大谷は引きつり笑いする。


「それで相談なんだが、まずはそのホストに会いたい。彼は受取人だが金額的には1000万くらいのもんなんだ。

こんな騒ぎになるのは不利じゃないか?

何かカラクリを感じるんだ。

そして、古河さん家に潜り込んでるのも本当に彼が考えたのかな?」大谷が杏の顔を覗き込む。

近い!この人は考えに集中すると距離感がバグるようだ。

「それはどういう意味ですか?」椅子を後ろに押しながら聞く。

「つまり木村さんは試験体なんだよ。そして、謎の女で君に全ての罪を被せて、これから億を狙いに動くんじゃないかな?」

大谷の話が良く見えない。

「なんで億になるんですか?」杏が聞く。

「古河さん家は娘さん除いて4人も人間がいる。

その人達が謎の女に殺されれば…そして、家を売れば…」大谷がとんでもない話をする。

「ホストと娘さんが籍を入れて娘さんも謎の女に殺されれば?」

「そんなの通る訳がない!謎の女なんて!」杏が思わず席を立つ。

「そう、証拠はない。だって、殺ってないんだから。

でも、ずっと人に疑われ続けるんだよ。

いくら気が強くても君も弱る。誰かに救いを求める。

君を手に入れれば、この家も…買った時が7000万くらいだろ?だから数年で1億になる。

古河家のホストと君が縋る男が結託していたら?」

杏は目眩がしてきた。

そんな事を誰かが考えて…実行に移そうとまず木村のおじいちゃんを殺したのか?

「昨今の事件をゲームの為に調べてたからね。

実現可能なんだよ。

まあ、これは僕の推理だけどね。」大谷が淡々と話す。


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