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三茶浪漫  作者: たま


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拾弐

「チャンと送り届けるんだよ。テレビは怖いんだから!」ママがニヤニヤしながら2人をスナックから追い出した。

「僕だって男だからね!それくらい」自分の胸を叩いてむせている。

杏は不安になる。

「家、近いかもしれない!」杏の住所を聞いて大谷は驚く。同じ三茶1丁目なのだ。

246号線に出て道路の向こう側の道沿いのマンションを指さす。

「僕はあのビルの11階だよ。え~っ、10年同じご町内でも会わないもんだね。」大谷は驚く。

「ほぼ会社の向かいじゃないですか!

そりゃー会いませんよ~社畜じゃないですか?」

道路を渡りながら杏は呆れる。

この通勤距離では、ほぼ会社で暮らしてるようなものだ。出会う訳が無い!

「電車がある時間に帰ることが無かったから自動的にココになったんだよね。

今頃だよ。若手が育って煙たがられて早く帰るようになったの…」大谷は少し寂しそうだ。

本当に仕事バカのようだ。

スナックからの帰り道にまさか大谷が住んでるとは。

ビルの横の道を奥に入ると途端に静かな住宅街になる。

「へーッ、ここら辺て静かなんだね。知らなかった。」大谷はキョロキョロしてる。

「なんでマンション裏手をそんなに知らないんですか?」思わず杏がツッコむ。

2つ目の路地を曲がると似たようなエンピツみたいな

3階建の建売が並ぶ。杏の家はその6棟の手前から4軒目だ。

「ココかあ〜むちゃくちゃご近所さんだったんだな。でも、ここらって高くない?」大谷が道の奥を見ると

また1丁目の繁華街の街灯が見える。

「ええ、こんなに小さいのに世田谷の豪邸並みの値段でした。でも、そのせいで夫のお姉さんにココ売って

弟の遺産くれって言われてます…」やっと静かになったが、義兄の会社にチクるぞと脅さないといけなかった。

そこまでやらないと静かにならなかった。

つい杏が凹んでるのを見て大谷が肩に手を置いた。

「色々大変だったんだね。

いや、まだ大変か?

そうだ!話があったんだ。」杏をクルッと自分の方に向けて話す。

「絶対君の近くに真犯人は居る!それを一緒に捜さないか?」大谷が話すとなんだかゲームっぽい。

「エッ、そのスナックの常連さんのお孫さんじゃないんですか?」杏は聞く。

「いや、そいつらは20代前半ばかりだ。ネットには強くても世間には疎い。

生命保険まで考えつかない!裏に真犯人が居る!」

大谷は確信を持ってるようだ。

「大人は、けっして自分が浮かび上がるようなヘマはしないんだよ。

昨今の強盗だって、捕まるのはネットで集められた若い下っ端ばかりだろ?」大谷が言う。

確かにやっと40代のルフィとか中堅幹部が捕まりだしたが、まだまだ組織のトップは謎のままだ。

だから強盗事件は起き続けてる。

「君にターゲット絞ったのは、君が未亡人なってスナック勤め始めて守ってくれる人間がいないのを良く知ってる人間だ!

僕は、そう思ってる。」窓がガラッと開いた。

「お母さん!何時だと思ってるの!」凛が小声で怒った。

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