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三茶浪漫  作者: たま


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拾壱

「本当に失礼な人ですね!気付きなさいよ!」人が減った頃合いでゲーム会社の大谷の天パを叩いてしまった。

「なんだよ!ん?………んん?あーーーーーッ!!!」

人を指さして口をパクパクさせてる。

「ハハ、スゴいだろ?

警察でも、こんだけ変装の名人はそう居ないよ。」

ずっと笑いを堪えてた黒田が空いたので大谷の横に座る。

「本当はこっちの方が本来なんですよ。

主人が長い巻き髪の淑やかな人が好きだったので

頑張ってただけで。」杏は溜め息をつく。

元々はスポーツ女子で髪が伸びるとすぐ切ってた。

水泳部だし真っ黒だった。

が、舞台で夫に一目ぼれして追っかけになって様変わりしたのだ。

が、夫も亡くなり夫の実家とゴタゴタしてる内に色んなモノが剥がれ落ちた。

主人が好きだったステレオタイプの女子を演じる必要もなくなった。今となっては弊害だ。


「俺は良いと思うぜ。会社の女みたいで付き合いやすいし。」黒田は気に入ってるようだ。

「…僕はスゴイなと思う。いや、好都合かも?

一緒に事件を調べたいなと思ってたから。

これなら全然動ける!」大谷は何が画策していたようだ。

「おいおい、探偵のマネゴトはやめてくれよ。事件は警察に任せておけよ。」黒田が迷惑そうだ。

「だってさ、彼女が未亡人なって働きだして1ヶ月だろ。そんな短期間で初対面の奴が彼女を見つけ出して、保険金殺人の犯人に仕立てようと思う?」眼鏡天パの大谷は、頭が良くて意外に鋭い。

「こっちも身近な人間か?その血縁か?その辺りだとは思ってる。

今、保険金の受取人のホストを洗ってる。

その客の中にスナック常連の孫が見つかってる。」黒田がポロッと話してしまった。

「ちょっと!それは問題よ!お兄さん。」カウンター越しにママの手が黒田の肩に。

黒田がしまったと言う顔をしたが遅かった。

「もしかして古河さんの孫かい?」ママが声をひそめて聞く。

まだ奥のソファでグループ客が歌ってる。

まあ、おかげで賑やかでこちらの声は聞こえていない。

オープン組のおじいちゃん達は仲良しだが、それぞれ生活環境は違う。

若い子好きな殺された木村さんは、独居。

浮気がやめれなくて奥さんと子供に見捨てられたらしい。昔の上場企業のリーマンだったので金回りは良かった。

片や古河さんは三世代同居。奥さまも健在で息子さんも大手に勤めている。

一見幸せそうだが、孫の長男は引きこもり。

妹は無職でホスト通いが辞められなくなってるらしい。

この頃は、そのホストがなぜか孫の部屋で同棲してるとか…噂だが。

「あっ、あのすぐ携帯で写メる人ですね?

孫と同居してるから若者文化にも詳しい人!」杏はそこまで詳しくは知らなかった。

だが、確かに携帯で初日に合同写真撮った!

おじいちゃん達に囲まれて写真撮られた。

メルアドに送ると言われたが、面倒で断ったのですっかり忘れてた。

「それなら、私の容姿が分かるはず!おじいちゃんの携帯に私の写真入ってる!」杏は合点する。

「じゃあ、その孫の部屋に居ついてるのが、保険の受取人のホストなのかい?」ママが黒田にぐいぐい聞く。

「ダメ!これ以上は話せない!」黒田が逃げた。

「私の送りは?」杏が黒田に追いすがる。

「大谷〜っ!お前、杏さん送れ!いいな!」と言って7分くらいの警察署へ帰って行った。

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